『侍タイムスリッパー』公開1周年記念舞台挨拶!山口馬木也「あっという間の1年」


池袋シネマ・ロサにて『侍タイムスリッパー』公開1周年記念舞台挨拶が行われ、主演の山口馬木也、沙倉ゆうの、庄野﨑謙、紅萬子、井上肇、田村ツトム、高寺裕司、きらく尚賢、神原弘之、夏守陽平、山本拓平、谷垣宏尚、楠瀬アキ、石川典佳、安田淳一監督が登壇した。

1年前の2024年8月17日にインディーズ映画の聖地である池袋シネマ・ロサ1館で封切られてから瞬く間にクチコミで話題となり、一大ブームを巻き起こしながら「第48回日本アカデミー賞」にて最優秀作品賞を受賞した本作の出発地点である同館での上映が1年を越え、8月22日(金)でついに終了を迎える。上映日数は池袋シネマ・ロサでの上映作品のなかでは最長記録となる。

関西から駆けつけたキャストも多いなか、1周年をお祝いすべく、チケットは発売後すぐに売り切れとなり満席で迎えた。キャストそれぞれが挨拶を終えると、笛を吹きながらまさかのナース服で安田記念病院の看護師長・節子を名乗って紅が登場し、歓喜の声。

「昨年8月から蔓延しておりました『侍タイ』病、全員かかっております。症状は、チケット争奪戦による血圧の上昇、応援による喉の痛み、涙腺崩壊による目の充血など。後遺症はロスや、目が覚めるとなぜか映画館に足が向いてしまいます」と客席に向かって診断結果を発表。

続けて「処方箋がございます。アマプラ、ブルーレイ、時代劇専門チャンネルなどがございます。週1回以上の服用をお願いします。あと、まだ治験の状態ですけど、沙倉ゆうの写真集は効くか効かないかわかりません。とりあえず1度お買いになってお試しください」とさりげなく宣伝を交え、「長きに渡りご利用いただきました特別個室のロサ様、ありがとうございました。処方箋が出てますね、良質の自主映画となっております。こちらでは手配できませんので自力でお探しください。長い間でしたので、かなりのお会計でございます。よろしくお願いします」と上映を続けてくれた劇場に対してもイジりで感謝。

さらには「まもなく大口のギャガ様からご入金があります。貯金残高7000円弱が、なんとマルがたくさんついて参りますので、その時にはぜひ院長、私たちの福利厚生をお願いいたします」と訴えかけると「任せてください!」と安田監督も便乗。最後に「ロサ様の退院は22日に決まっておりますので、ベストドクターが回診に参ります。大変混雑されると思いますので、お早めのご予約お願いいたします」と、衣装を発注してまでこの舞台挨拶に賭けてきた紅のひとり漫談に客席は大笑い。

主演の山口は今日に至るまでを振り返り、「あっという間の1年でした。この映画のことを思わない日は1日もなかった。この映画が夢だったという夢を見るんですよ。みなさんに応援してもらえるような作品や役にまた出会えるかわかりませんが、どこかでまたみなさんの笑顔を見れることを糧に、役者を続けていきたいと思います」と決心を語った。

「この映画のおかげで仕事は増えましたか?」と紅が投げかけると、山口は「増えました」、井上が「いただいております」、庄野﨑も「おかげさまで」と笑顔を見せ、さらには田村も手を挙げ、さらなる活躍に期待が寄せられている。

1周年を迎えての心境をそれぞれ聞かれると、神原は「すごいことが1年で起きて。人生って面白いな」と振り返り、石川は「幸せな1年間を過ごさせていただきました」とコメント。夏守は「何回も観たくなる映画に出演できて嬉しい」と話し、去年の9月に拡大上映が決まった際にいてもたってもいられなかった高寺は、お礼を言いたくて大阪から車でロサに駆けつけたことを思い返した。

きらくは泣き笑いの演技で笑いを取り、楠瀬は「作品を愛してくれたいろんな方々に出会えたことが奇跡」と感極まり、山本は「気づいたら富士山の頂上にいた」と例えで感慨深い思いを表現し、谷垣は「1年経ってまさか壇上でご挨拶させていただくとは思っていなかった。感無量です」とコメント。

「1年経ってここにまた自分が立っていることを想像できなかった」と初日にも登壇していた庄野﨑は振り返り、ロサで単独舞台挨拶も行った田村は「映画を作ってくれたみんなが私たちを笑顔にしてくれたと言われたことが嬉しかった」と話し、さらには「1年間、僕の人生を変えてくれてありがとうございました」と涙を見せた。

「俳優は自分で作品を選べない。いい作品との出会いは運だと思います。僕は神様からのご褒美だと思っています」と俳優生活43年の井上はベテランならではの言葉を述べ、「勇気や元気をもらったという言葉をもらえることが嬉しくて幸せです。この『侍タイムスリッパー』を応援してくださったみなさんのおかげでこんなに大きくなることができたと思っています。どうもありがとうございます」と涙声の沙倉。

紅は「赤ちゃんは1年経つとハイハイから立ち上がると聞いています。安田監督はやっと立ち上がったと思います。これから歩き始めると思います」と安田監督へのエールを込めながら「私ももう一皮むけて前へ一歩ずついきたいと思います。今日は涙腺崩壊、血圧上昇でお過ごしくださいませ」と今日の“役”を貫いた。

最後に安田監督が「この物語は、僕たちや役者ではじめた物語だったんですけど、いつの間にか劇場の方、映画関係者の方、そしてお客様が一緒に旅をしてくださったと思ってます。今日までの旅路を振り返ると、本当に素晴らしい思い出の数々です。僕たちの応援はこれからもお願いしたいんですが、今もインディーズ映画で頑張っているみなさんがいらっしゃいます。この劇場だけが彼らを後押しをできる劇場だと僕は思っています。どうか本作に続くような面白い作品があったら、是非とも全力でお力添えをいただければと思います。1年間、本当にどうもありがとうございました」と精一杯の感謝を述べ、最後に仰げば尊しを合唱して締めくくった。

取材・撮影 南野こずえ

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