関西4劇場で「日本アカデミー賞」最優秀作品賞の受賞報告!『侍タイムスリッパー』舞台挨拶レポート


史上初となる自主映画からの「日本アカデミー賞」最優秀作品賞を受賞し、興行収入10億円を突破した『侍タイムスリッパー』の舞台挨拶が関西4劇場で行われ、総勢27名が登壇した。(2025年3月30日)

MOVIX京都で行われた舞台挨拶にて、山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、峰蘭太郎、田村ツトム、多賀勝一、江村修平、谷垣宏尚、西村裕慶、Rene、皷美佳、安田淳一監督が登壇。

2024年8月17日に池袋シネマ・ロサの1館で上映がはじまり、シネマ・ロサをメインに全国各地で舞台挨拶を行ってきたが、今回が舞台挨拶の100回目となる。京都生まれのインディーズ映画が「第48回日本アカデミー賞」の最優秀作品賞と最優秀編集賞のトロフィーを掲げ、記念すべき100回目をこの地で迎えた。

心配無用ノ介こと錦京太郎役の田村が、撮影時に台本を唯一もらっていないキャストとして自虐ネタにしてきたが、ようやく台本を受け取るというサプライズがあり、念願の代物を手にし喜びをあらわにした。

アカデミー賞の裏話になると、山口・沙倉・安田監督が授賞式に出ている間、キャスト陣は近くのホテルで行われた打ち上げパーティー会場におり、3人の到着と吉報を待っていたことを冨家が明かした。しかし山口はそのパーティーの存在を知らなかったため、授賞式が終わったあとに着替え済で慌てて来場したため「僕だけパジャマみたいな格好で、みなさんスーツでバシッときめていて(笑)」と振り返った。

続いて向かったのはなんばパークスシネマ。山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、峰蘭太郎、田村ツトム、福田善晴、紅萬子、矢口恭平、佐渡山順久、五馬さとし、篠崎雅美、江村修平、Rene、安田淳一監督が登壇。

4劇場ともに舞台挨拶回は満席になったが、客席に向かって「エキストラで入っとる?」と早々に笑いを取りながらも「(キャスト)みんなの交通費やお弁当代、お礼を監督はちゃんと出しとるんです。新聞広告も何千万も出しとるんです。すごい男です」と紅らしい称賛をし、田村は「ゴールデンウイークまでと言おうと思ったんですが、ここまで来たら1年行きましょう!」とさらなるロングランを願った。

「完成するかもわからないまま撮影が始まり、1館が決まった時はどれだけみんなで喜んだか」と話し、続けて「まさかこんな賞までいただいて。まだ夢のなかにいるようです。このすべてを作ってくれたのはお客様です」と感謝を語る山口。「おしん」で俳優デビューした冨家だが「胸を張って「僕の代表作は『侍タイムスリッパー』です」といえる作品にめぐり会えた」とコメントし客席からは拍手が起きた。

後半はキャスト陣が客席を練り歩く「お練り」が行われ、直接トロフィーを触ったり、会話を楽しんだりする時間だが、BGM代わりに安田監督が漫談のようにひとり語りをしてるなか、終了時間が迫ると紅は「まもなくふれあい動物園終わりますんで!」とキャストに壇上に戻るよう集合をかけた。


さらにはTOHOシネマズ梅田では、山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、峰蘭太郎、田村ツトム、福田善晴、紅萬子、山本拓平、楠瀬アキ、結月舞、吉永真也、安田淳一監督が登壇。

3月21日より「アマゾンプライム」と「J:COM STREAM」での配信がはじまったが、劇場でも今もなお130館以上で公開されているという異例な状況。助監督であり、助監督役・優子を演じた沙倉は「公開からもう7ヶ月経ちましたが、今でも劇場に観に来てくださったり、配信でも楽しんでくださったり、両方で楽しんでいただけているっていうことがすごく嬉しくて。自分の映画のように、自分が出ているかのように、みなさんがこの作品のことを大切に思ってくださっているのを日々感じています」とお礼を述べた。

関本役の峰は「亡き福本清三先輩の代役として監督に見つけていただいて、嬉しく思いました。“頑張って努力していたら、きっといつかどこかで誰かが見ていてくれるよ”と先輩が言ってましたが、本当にその通りでございました。俳優として60年やってきまして、こんなに素敵な映画に出させていただいたことに感謝しております」と感慨深い思いを語り、「『侍タイムスリッパー』の宴会部長ならびにぶち壊し部の紅でございます。ほんまにね、こんなにアホほど長いこと上映していただき、ほんまにくそ長いご支援、ありがとうございます」とおなじみの紅節で挨拶。

山口は日刊スポーツ映画大賞にて主演男優賞やブルーリボン賞の主演男優賞、日本アカデミー賞にて優秀男優賞など個人賞が続いているが、「いまいち実感が沸かないです。俳優として評価されたという感覚がまるでないんです。賞を獲ったのは高坂新左衛門みたいな」と劇中の役柄そのままの謙虚な姿勢を言葉にした。


最後はTOHOシネマズ西宮OSにて、山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、田村ツトム、高寺裕司、きらく尚賢、夏守陽平、楠瀬アキ、石川典佳、雨音テン、安田淳一監督が登壇。

沙倉の地元ということもあり、客席からは「おかえり~!」との歓声があがると「ただいまー!」と笑顔で応じ、「2023年の12月に『侍タイムスリッパー』の公開が決まった時に、2つ目標を自分の中で決めたんです。地元のTOHOシネマズ西宮OSでみなさんに観てもらって舞台挨拶をすることで、それが去年の10月に叶って。もう1つは日本アカデミー賞に『侍タイムスリッパー』を持っていくこと。その嬉しい報告とともに西宮にまた帰ってくることができて本当に感謝でいっぱいです」と声を震わせながら喜びを語った。

安田監督は「作品賞は作った人みんなの賞でありまして。僕らの方からも一緒にここまで押しあげてくださったみなさんにおめでとうを言わせてください」と言うと、キャスト陣から「おめでとうございます!」と祝福の言葉を客席に贈った。

山口は「この映画は奇跡の連続で。それはもちろんお客様に支えられてここまで来たんですけど、なぜこの奇跡が起きたかっていうことはまだ分からなくて。なぜお客様の心をこんなに動かせたのかっていうのはいつもみんなで話し合ってるんですけど、その答えはまだ出てないんですよね。なんでですか?」と問いかけると客席から「みなさまの演技が素晴らしいからです!」との声があがった。

冨家は「どこで公開されるか、どうなるのかもわからない状況だったんですけど、どうしても自分がやりたいと思った作品だったので、監督の書かれた脚本にすごいチカラがあったのは間違いないんです」と力強く話すと、安田監督は「僕は褒められ慣れてないんでね……でも嬉しいわな(笑)『拳銃と目玉焼』『ごはん』ともに脚本なしで撮ってたんで、初めて書いた脚本なんで。才能あったんかもしれんね(笑)たまたま運が良かったんです。なにかに導かれて作ってしまった映画かなと」と照れ隠しをしながらも「みんなが素晴らしいビルを建ててくれたような感じで。地震では崩れない、強固な美しいビルを建ててくれたからここまで来れたんです」とキャストあっての作品であることを強調した。

取材・撮影 南野こずえ

『侍タイムスリッパ―』
©2024 未来映画社
配給:ギャガ 未来映画社
絶賛公開中

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