在日韓国人シンガーの芸と旅の記録『だぁほ‼ ~パギやん、愛사랑(サラン)と怒분노(プンノ)の遺言~』レビュー
“パギやん”こと趙博(ちょう・ぱぐ)は大阪出身の在日2世。大学と予備校で20 年間教師稼業を務めた後、48 歳で芸の世界でに生きる決意をした信念と行動の人である。芸歴20年を越えた現在、シンガーソング・ライター、役者、作家として幅広いジャンルにおいて存在感を発揮。大阪・沖縄・北海道・広島・東京、韓国・済州島・光州と旅を続けるパギやんを大須賀博監督が追い続け、3年かけて制作したドキュメンタリー映画が『だぁほ‼ ~パギやん、愛사랑(サラン)と怒분노(プンノ)の遺言~』である。
パギやんの友人・知人、ファンなどがコメントするシーンが印象的だ。ミュージシャン、芸人、役者、市井の人など、大勢の人々から信頼と共に愛されている様子がうかがえる。多方面に渡って活躍しているからこそといえよう。
パギやんの歌・芸には、反戦・反差別・反権力が深く根差している。日本のリベラルと相通じる部分もあるが、必ずしも一致していない。映像を観れば理解できるであろう。
インテリの面を持ちながらも、道理に合わないことに対して「だぁほ!!」と意を示す力強さも魅力的だ。パギやんはこれからも世の中に対して喝を入れ続けるに違いない。そう思わせる熱量が本作には溢れている。
文 シン上田
『だぁほ‼ ~パギやん、愛사랑(サラン)と怒분노(プンノ)の遺言~』
配給・宣伝:『だぁほ!!』製作委員会
2025年6月14日(土)から ポレポレ東中野にて公開