自由過ぎる中国人女性ダンサーに密着『XiXi、私を踊る』レビュー


台湾出身の女性監督ウー・ファンにとって、『XiXi、私を踊る』は、初めての長編ドキュメンタリー作品。主人公は、フランスを拠点に活動する中国出身の女性コンテンポラリーダンサー、XiXi(シィシィ)。パリのクラブで踊るXiXiに魅了された監督が出演を直訴して、撮影が始まったという。

自由奔放に生きるXiXi。ダンス、音楽、映像、写真などのクリエイティブな分野での才能がスクリーンから伝わってくる。監督が惚れ込むのも頷けるほど、オリジナリティに溢れているのだ。ファッションも含めた、個性豊かなパフォーマンスシーンを観るだけでも楽しい。ときに覗かせる母親の顔も魅力的。元夫と暮らす愛娘・ニナに向ける眼差しが微笑ましい。家族関係の新しいスタイルを提示しているようにも思える。

母と娘の関係性は、本作の大きなテーマ。北京で暮らすXiXiの母・桃のストーリーが興味深い。全体主義体制時代の中国でダンサーだった桃。シャープな感性が際立つXiXiとは違い、桃は知性的なインテリ派。この親子、意見は衝突するが、根底にはアーティスト精神が。そして現在、XiXiから次世代のニナへと受け継がれようとしている。三世代に渡る女性たちの人生模様。ノンフィクションとは思えないほどドラマチックだ。

元夫の存在も忘れてはならない。唐突にヒッチハイクで家出することもある、XiXiのわがままを受け入れる懐の深さに驚いた。別れた元妻にニナと会わせる優しさも印象的。心の底から嫌いにはなれないのだろう。アーティストXiXiに、今でも惹かれていると思えてならない。

文 シン上田

『XiXi、私を踊る』
監督・ウー・ファン
配給・宣伝:テレザ、ノンデライコ
©SVEMIRKO AUDIOVISUAL ART PRODUCTIONS
2026年4月4日(土)ユーロスペース、5月16日(土)第七藝術劇場ほか全国順次公開。

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