378日のロングラン!川崎チネチッタ『侍タイムスリッパー【デラックス版】』最終上映舞台挨拶
川崎チネチッタで『侍タイムスリッパー【デラックス版】』の最終上映舞台挨拶が行われ、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、庄野﨑謙、井上肇、安藤彰則、田村ツトム、安田淳一監督が登壇した。(2025年9月11日)
本作は池袋シネマ・ロサの1館にて2024年8月17日に封切られ、チネチッタでは同年8月30日より【デラックス版】の上映がはじまり、378日(うち休映・休館19日)にもおよぶロングラン。予告編を観ただけで同館の担当者が安田監督に上映オファーをしてきた逸話もあり、熱烈ラブコールで今日まで上映が続いていた。池袋シネマ・ロサでの371日連続上映と肩を並べる大記録である。
安田監督が「はじめて観た方はいますか?」を客席に問うとチラホラと手が挙がり、続けて「去年の8月17日にはじまりまして、配信や金曜ロードショーなど、あらゆるタイミングで観る機会があったと思うんですけど」と切り出すと、「なにをやってたんですか、今まで!(笑)」と田村がひと笑いを取り、さらには観た回数について「5回以上」「20回以上」「50回以上」と刻んでも手は挙がり、最高記録は「242回」のファンも。
冨家が「1年間みなさんにずっと応援していただいて。ちょっとウルウルしてしまいまして。今一番忙しいのは監督だと思うんですよね。本当にみなさんに応援していただいたおかげで、未来へ繋がる仕事になったのがこの作品で。1年間この作品を愛してくださって、応援してくださってこんなに幸せなことはないと思ってます。俳優人生でこんな思いができる役者はそうそういないぞと実感してます。楽しいことは言えなくて、本当に感謝の言葉しかないです」と胸いっぱいの思いを述べた。
沙倉は「(デラックス版にしか含まれない)田村さんと一緒にやったヨーロッパのシーンや、安藤さんとの鳥取砂丘を走ったシーンとか、本当にすごい頑張ったんですよ。めちゃくちゃ大変でした。あの撮影は田村さんとも、安藤さんとも丸1日中やってたんです。それをみなさんに楽しんでもらえたのがすごく嬉しいです」と振り返ったが、出版したばかりの写真集の話題になると、撮影を担当した安田監督が「(沙倉が)いろんな衣装を着ておりまして、中にはちょっと大人っぽくてドキッとするような衣装とか、女子高生の衣装も。僕が選んだものは1つもありませんので!」と沙倉のセレクトであることに誤解がないよう弁明。
チネチッタで初となった昨年8月30日の舞台挨拶後に、控室でキャスト陣が乾杯している動画をSNSで見て感動した庄野﨑は「(舞台挨拶に)僕も出たいです!」と、その時に直々に申し出ていたことを明かし、以降の舞台挨拶では度々登壇するように。「みなさまが応援してくださったおかげでここにもいれるし、俳優を続けられています。これからも応援よろしくお願いします」と笑顔を見せた。
『侍タイムスリッパー』をきっかけに、舞台やドラマなどオファーが増えたと話す田村は「本当に支えてくれたみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです」と感謝を述べ、お決まりの口上を披露。過去に口上を忘れるという失態を何度か経験した苦い思い出も、今では笑い話に。
ロングランとともに舞台挨拶の回数が多いことも特徴である本作だが、井上は「キャストとこれだけ会うことが(他作品では)まずなくて。それも1年以上続いてるんです。だから本当にファミリーというか、挨拶をしなくてもいいくらいの感じで。お客さんの顔も覚えました。役者冥利に尽きると言ったら大げさですけど、本当に奇跡ですよね」と話し、安藤は「10スリッパー、20スリッパーと観た回数を表現していますが、デラックス版を観た方は“1チッタ、2チッタ”と数えて欲しかったなと。“10スリッパーの5チッタです!”という数え方を浸透させたかった」と笑いを交えて心残りを明かした。
「今日はスペシャルゲストが来ております。山口馬木也さんではございませんが!」と安田監督が前置きし、本作が東映京都撮影所で撮影できることになった立役者であり大恩人の元・東映京都撮影所の進藤盛延プロデューサーが登場。「この作品がここまでになるとは思っていませんでした。今は“安田さん”と言いますが、当時は“安田くん”と言っていて。そこからはじまった作品なので、自分で自分をほめてあげたいと思います」と語ると、「もっと僕の悪口を言ってもらっても良かったです。思いのほか褒めていただきありがとうございます」と自虐を入れつつも安田監督がお礼を述べた。
最後に安田監督が「小さくはじめた旅でしたが、みなさんと今日の日まで一緒に旅をしてこれたことが本当にかけがえのない宝物になりました。僕たちの物語であり、みなさんも登場人物として参加している物語でもあると思います」と締めくくった。外はあいにくの雷雨で劇中を彷彿とさせる天候だったが、本作同様にそれが終わりではなく新たなはじまりであることを物語るようにフィナーレを迎えた。
取材・撮影 南野こずえ