『結婚の報告』全国拡大上映記念!監督・キャストインタビュー
親友に結婚の報告をしたいが、肝心の結婚相手は……親友の母!2025年5月31日より池袋シネマ・ロサのみで公開し、2200人以上を動員した映画『結婚の報告』。当初は2週間の上映予定だったが、初日から3日連続の満席が続き、最終的には5週間という延長を記録。ワンシチュエーションで繰り広げられる68分の会話劇である本作が、10月31日よりキネカ大森を皮切りに待望の全国拡大上映がはじまる。
チームワークの良さが際立っていた『結婚の報告』チームが池袋シネマ・ロサで過ごした5週間を振り返りながら、今後への思いを高橋里央、岡本智礼、市原朋彦、今村美乃、阪本武仁監督にうかがった。
―― 池袋シネマ・ロサだからこその特別な体験・チラシ配り。
高橋「『第25回TAMA NEW WAVE』で上映をしていただいて、池袋シネマ・ロサさんで上映しようという座標が定まったあたりからみんなの熱量が高まった感じで。何よりもやっぱり監督が毎日チラシ配りをしていたんですよね」
阪本監督「公開前からロサさんでチラシ配りをはじめて、連続では94日間。合計4ヶ月近くはずっとチラシ配りに来ていた感じでした」
市原「監督は背中で語るタイプなんですよ。言葉数は少ないんですけど」
高橋「本当に毎日熱意を持ってチラシ配りをやられていて。僕たちはそばで見ていて伝染しないはずはないなっていう」
今村「チラシのデザインも何パターンも送ってきてくださって。千草さん(結婚相手)役のモデル候補も、“どの方がいいですか?”と聞いてくださったんです」
市原「で、岡本君が自分のおかんを立候補として挙げてきて(笑)めっちゃ美人なんですよ。実現したらリアル千草さんになっていました(笑)」
―― 公開前に記された未来予想図。
今村「2024年の12月に宣伝会議として5人で集まったんですけど、細かく逆算で“この日で何人動員”、“この日にヤフーニュースになる”とか、未来予想図を監督が書いていて。それを見てこの通りになるように乗っていけばいいんだなと。すごく分かりやすかったよね」
市原「最終的に日本アカデミー賞って書いてあって」
高橋「キャストやスタッフ、監督という垣根を越えて、共有してみんなでやっていこうっていう空気を作り上げてくださったのが一番大きかったですね。撮影の時からずっとです」
市原「チラシ配りも勝手にみんなが自主的にやっていて、やらされてるわけではないから成立していたんだと思いますね」
―― 同志たちの横の絆。生まれた他チームとの交流。
今村「ロサさんで上映する他の映画チームの方たちと一緒にチラシ配りをやっていてすごく楽しかったんです。他のチームともどんどん仲良くなって仲間になっていて。チラシ配りに行ったら友達がいる感じでした」
市原「あ、ロサ行こうぜ!みたいなね(笑)」
高橋「ロサっぽさというものがあるとしたら、僕たちが最初入ってきた時は他のチームはロサっぽいなという感じがしていたんですよ。でも、ロサさんでの上映を終えた僕らは、ロサっぽくなれたなと感じています」
―― 5週間の上映で思い出に残ったこと。
今村「“映画を観てロケ地に行ってきました”っていうお客様が増えたことがすごくびっくりでした。体験型な感じが面白いなと印象に残りました」
高橋「チラシ配りはすごく効果があるなと。“チラシ見て来たよ”とか、“クチコミで来たよ”って言ってくれるお客様が多くて。 10回以上観に来てくださったとか、1つの映画を何回も映画館で観るってすごいことだと思うんですよね」
市原「結婚記念日のご夫婦がいらっしゃって。元々この映画をを知ってるわけではなく、結婚にちなんだ映画をネットで調べたら『結婚の報告』を見つけてくださって観てくれたお客様もいましたね」
岡本「はじめてお客様からお花をいただいたんです。その方はロサで過去に上映された僕の出演作のチラシを持っていてくれて、“ファンです”って言っていただいて。すごく嬉しかったですね」
市原「お客様が入って作品が完成するってよく聞きますが、身をもって体感しました。お客様の笑い声が入って完成を感じました」
高橋「作品にかける熱量が多分今までで 一番高いんです。もちろん主役というのもあるんですけど、人間的にめちゃめちゃ成長ができたなって。チラシ配りや宣伝など、普段経験しないような分野も考えたりとか。今後もこの熱量を常にキープして作品に臨みたいですね」
阪本監督「いろいろなことがありすぎて。監督は3本目ですが、お客様がお客様を連れてきてくださってることがありがたくて。過去作では経験できなかったので本当に貴重でした」
―― あこがれの控え室はまるで部室。
今村「本当に大人の青春でしたね。舞台挨拶に来てくださる方が、隣の学校の同じ部活の人みたいな感じで」
市原「僕は『劇場版 米寿の伝言』チームに対してそう思っていて。うちらが湘北で向こうが海南みたいな(笑)」
今村「でも例えるなら『劇場版 米寿の伝言』チームは先輩じゃないかな?だって先輩のことを見送って、その部室を私たちがその後使っていたからね」
岡本「控え室に入っていくのがすごくうらやましく見えていたんです」
―― 5週間に延びた上映、予想はしていた?
市原「してないです。さすがにしてないです」
今村「延長になったらいいなという感じでした」
高橋「2週間で終わってたまるもんか!という気持ちはありました。絶対延長してやるぞ!っていう思いはあったんですけど、5週は全く予想していなかったですね」
市原「同じお客様が何度も来てくれて。その方々に対してこれ以上なにがお返しできるんだろうっていう気持ちになったんですよ。ありがとうございますというお出迎えしか僕らにはできなくて。その答えがまだ出てないですね」
岡本「それは、この映画が広がることだと思う。あと、自分がもっと世に出ることが一番のお礼になると思っていて。僕はお芝居で演技をするのがあんまり好きじゃなかったんですよ。今はすごくお芝居が楽しいし悩みまくってます」
―― これからはじまる全国拡大公開への期待。
岡本「映画レビューアプリでずっと評価が良かったんですよ。でも終盤では星2つの批評をいただくようになって。あ、広がりつつあるなって思ったんです。それが嬉しくて」
高橋「いいものって批判と賞賛の声が入り混じりますしね」
市原「全国展開は期待の方が強いですね。ストロングタイルです!不安はないですね」
高橋「映画を観ていて面白いと感じるのは、俺だったらこうするのにとか、そういう気持ちにさせてくれることだと思うので、本作は楽しめると思っていますね」
今村「難しい作品や社会的な作品は個人的には苦手で。笑えて楽しい気持ちにだけなりたいタイプなのでそういう方にはとてもオススメです。やっぱり人生って辛いこともあるから、楽しいこともないと世の中が成り立たないんで。そういう方のための映画だと思います」
高橋「こんなにもド正面からのコメディって最近ないと思うんです。ロサさんでは笑い声と拍手が起きるんですよ。この文化は広めていきたい。全国の劇場でも笑っていいし、手も叩いていいんです。それは僕たちがオッケーを出します!」
阪本監督「楽しんでもらいたいという思いだけで作って、自分の中では納得しているので観た方には自由に捉えていただければ」
―― 池袋シネマ・ロサの存在をひとことで表現するなら?
市原「実家」
岡本「部室かな」
今村「学校!」
高橋「部室」
阪本監督「家や学校という表現に共感ですね」
―― 今後の野望は?
今村「原作の中野劇団の中野さんがとても喜んでくださっているので、ぜひ京都でも上映して洗礼を浴びたいと思います。あと普段映画を観ない人にこそ観てもらいたいですね。せめて作品名は知ってもらいたいです」
市原「ひとりでも多くの方に観ていただきたいですね。観やすい上映時間ですし」
高橋「関西の方たちに観ていただきたいですね。ぜひ厳しいお言葉をいただきたいです」
岡本「日本国民全員に観ていただきたいですね。あと、フィンランド国民全員にも(笑)。そこまで行けるようになりたいです」
―― キャスト4人に対しての思い。
阪本監督「感謝しかないですね。チラシ配りとかたくさん時間を割いてくださって、本当に大変だったと思うんです。みなさんが参加してくれて、いっぱい熱を出してくださったおかげで全国拡大公開も決まったので、ここからどんどん広げていけるよう僕も一生懸命頑張りますので、今後ともよろしくお願いします。本当にありがとうございます」
―― これから観る方へメッセージ。
高橋「普段映画を観ない方、映画に興味がないという方が観ても面白いと思ってもらえる作品で、それこそがコメディだと思っています。フィンランドでの上映も決まっていて、言語の壁も越えてどの国でもあてはまるシチュエーションだと思うんです。誰かの役に自己投影しながら観ていただけたらなと思います」
取材・撮影 南野こずえ
『結婚の報告』(68分)
高橋里央 岡本智礼 市原朋彦 今村美乃 山田かな 古賀勇希 石井建太郎 井星景 七海遼平 久保健太 たけいまい 神吉春果
原作・脚本:中野守(中野劇団)、監督:阪本武仁
© 映画『結婚の報告』製作委員会
10月31日からキネカ大森 他全国順次拡大上映