日本の農業とエネルギー問題に新たな希望が『陽なたのファーマーズ フクシマと希望』レビュー



小原浩靖監督の三作品目となるドキュメンタリー映画『陽なたのファーマーズ フクシマと希望』。福島で農業を続けながら、農地の上部に太陽光発電設備を設置して発電を行うソーラーシェアリングに取り組む若い農家の人たちの姿を追っている。

ソーラーシェアリングやエネルギー問題に関する難しい知識は必要ない。小原監督の手によって、前作『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』同様に、わかりやすい内容になっているのだから。

主要な登場人物は以下三人。原発事故によって廃業を余儀なくされた、福島県二本松市の有機農業家である近藤恵さん。ソーラーシェアリングに活路を見出し、農業と並行して電力を作ることに。近藤さんの理想に感銘して、共に働く塚田晴さんと菅野雄貴さんはとても真面目な熱血漢。自分たちの仕事に前向きに取り組む姿勢に誰もが心を打たれるであろう。

福島市からほど近い川俣町の齋藤広幸さんも、2012年からソーラーシェアリングを始めたひとり。原発事故によって耕作放棄された農地を復活させるという成果をあげている。
作品で描かれている、現在実践中のソーラーシェアリングのさまざまな現実。エネルギー問題と新たな農業の理想が感じられる。とはいえ、自然を相手にしているのだから失敗はつきもの。試行錯誤を余儀なくされるが、難題を乗り越えようと誰もが必死。本作は、大きな理想を追い求める若者たちのヒューマンストーリーでもあるのだ。

文 シン上田

『陽なたのファーマーズ フクシマと希望』
企画・製作・監督・脚本・撮影・編集・配給・宣伝・主題歌作詞:小原浩靖
(C)小原浩靖2025
2025年9月6日(土)東京・ポレポレ東中野より全国順次公開

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