安田監督「ロサ最高!」『侍タイムスリッパー』応援感謝!舞台挨拶全レポート


『侍タイムスリッパー』応援感謝!舞台挨拶が新宿・渋谷・池袋で行われ、主演の山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、井上肇、田村ツトム、高寺裕司、安田淳一監督が登壇。(2024年10月14日)

今回はキャスト全員が劇中の衣装で登場。完全な再現をするために京都から衣装や小道具などを取り寄せ、途中で着替えることなく1日中扮装でいるという妥協のない大掛かりな1日となった。その理由は、たった1館からはじまった本作は、多くのファンからの応援のおかげで大きく羽ばたくことができ、その感謝を伝えたい、喜んでもらいたいという思いが詰まっている。

また、初日から2か月となる現時点(10月17日)で、全国306館での公開も決定している。

まずは新宿ピカデリー。

舞台挨拶開始早々、主演・高坂新左衛門役の山口が「やっぱりこの扮装をするとなんか思い出しますよね。いろんなことを」と思いを馳せたが、「みんな久しぶりに扮装をしたので裏ではしゃいでいて。あまりはしゃいではいかんなと思った」とライバル・風見役の冨家はコメント。ヒットしている実感を聞かれると安田監督は「一生懸命“いいね“を押しております。ただ追いつかなくなって」とSNSの反響で実感しているようす。田村は「急に知らない親戚がいっぱい増えた」と話し、沙倉は誕生日に“いいね”をたくさん押してもらえたとコメントした。

メディア露出が増え、声かけられたか?という質問について、コンビニで塩おむすびを買った際「おめでとうございます」と店員に祝福されたと語ったのは山口。一方、「近くの映画館でパンフレットを12冊買ったのに全く気づかれなかった」と話すのは助監督・優子役の沙倉。安田監督は「新幹線に乗った時におめでとうございますと言われた」と振り返ると、所長役の井上から監督がもっとも露出が多いと指摘され「出たい方じゃないんですよ。この映画のために、みなさんのために、仕方なく出ているんです!それだけはわかって欲しい」と強調して笑いを誘った。

次なる目標を問われると安田監督は「トムクルーズさんにこの映画をリブートで撮ってほしいです!ハリウッドに行きたいと思っております」と大きな夢を語り、冨家は「マッキー(山口)に主演男優賞を獲ってもらいたい。現場の居かたやこの作品に対する取り組み方、姿勢に僕は惚れてまして。そして僕に助演男優賞を!」と便乗して沸かせた。沙倉も「日本アカデミー賞で作品賞を獲りたいなって思っています」と話すと場内からは拍手が起き、安田監督も「いけるんちゃますか!」と希望を語った。

最後に安田監督が「ふざけたことも言いましたけど、みなさんの顔を見ていると1館からはじまったことを思い出します。本当にこういう日が来るということを僕としてはぼんやりと描いてはいたんですけど、本当にこんな日がやってきたということを心の底からスタッフ・キャスト一同喜んでおります。本当にみなさまありがとうございました」と締めくくった。


続いて向かったのは渋谷・シネクイント。

シーンの再現や軽快なトークを繰り広げ、フォトセッションのあとにキャスト陣が壇上からおり、客席を回って握手や写真に応じてファンとの触れ合いを楽しんだ。その後、次の場所への移動のため渋谷のスクランブル交差点を戸惑いながら歩くサムライたちは、まるで劇中から飛び出してきたかのような光景。海外からの観光客はカメラを向けていたが、意外にも街に馴染んでいた。

最後の地は池袋シネマ・ロサ。

割れんばかりの拍手に迎えられ「帰って参りました!」と声を張る安田監督。さらには「ちょうど1年前、京都国際映画祭ではじめてお披露目してから、まさかこのような時が来るとは思っていませんでした」と言葉を詰まらせながらもすぐに「ひとことで言うと、ロサ最高!」と立て直して沸かせた。

劇中での人気キャラクター心配無用ノ介こと、錦京太郎役の田村が口上を披露し、丸顔のご同輩こと村田左之助役の高寺が印象的なシーンを再現。さらには壇上に腰掛けた山口と冨家は即興で芝居をはじめ、山口が「おぬし『最後の乗客』とかいう映画に出ておるそうではないか」と現在公開中で冨家が出演している映画のタイトルを挙げると「知らんなぁ」ととぼける冨家に場内は爆笑。まるで続編を思わせる展開で場内を盛り上げた。

主演の山口は「みなさまの本当に暖かい声援とお言葉で、こちらの方が何十倍にもお客様からいろんなものをいただくという。おかげで僕の毎日の生活が変わりました。本当に感謝しております。この映画はまだもう少し続きます。もう少しだけみなさまのおそばに置いていただいて、もう少しだけ成長を一緒に見守っていただければ、これ幸いです」と精一杯の感謝を述べた。

冨家は「みなさんのおかげで本当に遠くまで来れました。本当にみなさんのおかげです。『侍タイムスリッパー』が何かの作品賞とか獲れたらすごく嬉しいんです。1つお願いがあるんです。作品賞、監督賞、脚本賞などがあります。そして主演男優賞に山口馬木也に一票を入れてほしいんです!」と力強く訴えかけると大きな拍手が。さらには「助演男優賞は冨家ノリマサで」とちゃっかりアピールして笑いを誘った。

「昨日も大阪で舞台挨拶があったんですけど、関東の皆さんが駆けつけてくださったり、大阪のみなさんが「明日ロサに行くから」と言ってくださったりして。何度も何度も映画を観てくださって、ずっとすっと応援してくださったおかげでここまで来ることができました」と沙倉は涙声で話し、安田作品の前作『ごはん』にも出演している井上は「本当に才能のある監督だと思っています。俳優を40年やっていますが、こんな監督に出会うことはなかなかありません。奇跡的なものが重なって今日があります」と敬意を表した。

田村は「撮影しているときはこんなことになるとは想像もしていなくて。僕の夢ですが、子供たちがこの映画を観てチャンバラごっこで遊んでくれたらなと。そういう作品になってくれたら。おかげさまで知らない親戚もいっぱい増えて戸惑っておりますが、もっともっと知らない親戚が増えてほしいので、もう一押し応援してください」と笑いを誘い、高寺は「安田号という電車だと思っており、みなさんも乗客の一員だと思っております。まだまだ旅は長いですけど最後までお付き合いください」と呼びかけた。

安田監督は「この作品を、今日の日を見てもらいたかったのは、福本清三さんです。もうひとりは撮影中に亡くなった僕の父親です。今日この時を父が見たらどれほど喜んだかと思うと、それだけが心残りです」と感極まったが「無事にパンフレットも出来上がったことですし」と、10月11日より発売となったパンフの話題に切り替えて和ませる一幕も。また、井上が着ている衣装のスーツは安田監督の父のものであることも明かされた。その後、キャストと監督がお客さん一人一人と写真を撮る撮影会が行われ、大盛況のなか幕を閉じた。


彼らにとって特別な映画館、池袋シネマ・ロサ。8月17日の初日から週3回ほどのペースで舞台挨拶とお見送りを続けてきた。日に日に見慣れた顔がどんどん増えるのと比例し、満席になる回も目立ちはじめた。舞台挨拶を重ねるごとにマイクパフォーマンスも少しずつ上達し、時にはグダグダになっても温かく見守られ、飽きさせないように様々なネタを披露。控え室では笑いの絶えない時間を過ごし、合間にみんなでご飯を食べに行ったり、「今日はどんなトークをしようか」という打ち合わせも毎回あるようでないようなノリ。しかし、舞台挨拶の直前になると、扉の向こうから聞こえてくる温かい拍手に感謝の思いを募らせながら、一同はいつも壇上に向かっていた。

助監督の沙倉は、公開後も裏で助監督ぶりを発揮していることはあまり知られていない。キャストへの連絡や劇場との舞台挨拶時間の相談、さらには監督への愛あるダメ出しも19年間関わっているからこその役目。そして作品のためキャストのため、無数のインタビュー取材を1つも断ることなく受けては、休憩を挟まずに何時間もしゃべり続け、京都に帰って稲を刈り、夜中にパンフレットの原稿を書く日々を過ごしてきた安田監督。誤字脱字の多い「安田文体」は、はやくファンに届けたかった思いの証である。

「侍タイドリーム」が確定となった今、ロサで産声をあげるインディーズ映画が今後さらに注目されることは間違いない。そして、チーム侍タイの快進撃もまだまだ続くことは言うまでもない。

取材・撮影 南野こずえ


『侍タイムスリッパ―』
©2024 未来映画社
配給:ギャガ 未来映画社
絶賛公開中

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