『あと1センチの恋』レビュー


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「幼なじみ」――この甘美な響き。
一緒にいるための理由はいらない、特別な存在。近くて遠い微妙な距離がもどかしく、いとおしい。
この冬、胸をときめかす「幼なじみラブストーリー」が公開される。

イギリスの田舎町で暮らす、ロージー(リリー・コリンズ)とアレックス(サム・クラフリン)は6歳からの幼なじみ。ずっと一緒に過ごしてきた二人は18歳の今も、人生のこと、恋愛のこと、何でも話し合えるサイコーの親友同士だ。ホテル経営を夢見るロージーと、医師を目指すアレックス。二人が交わした夢は、一緒にボストンの大学に進学すること。

しかし、高校卒業を間近に控えたある日、ロージーはクラスで人気の男の子とベッドを共にし、あろうことか妊娠してしまったのだ。ロージーはボストン行きの夢を諦め、アレックスを送り出す。お互いを思いながらも、イギリスとアメリカに遠く離れた二人。そしてそこから、10年以上にも及ぶ二人のすれ違いが始まるー。

一人の人をずっと想い続ける、切ない、胸を締め付ける映画なんだろうな……。

と思った、そこのアナタ!
いい意味で期待は裏切られる。
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シングルマザーとなったロージーは、地元のホテルで働きながら娘を育て、ホテル経営の夢を抱き続ける。一方のアレックスはボストンで友人や恋人に恵まれ、大学生活を謳歌する。二人は、それぞれに別の相手と恋愛し、それぞれに充実した人生を送るのだ。

結ばれない相手を想って泣き暮らしたり、変なポエムを書いたり、げっそりやつれたり、、、なんかしない。
「げ、現代っ子……」と呟いてしまうぐらい、「ひたすら一人だけを想い続ける」しっとりしたラブストーリーのイメージとは、チガウ。

しかし、そこがこの映画の魅力なのだ。大切なのは「ずっと変わらず心にいるのは、誰か?」ということ。どんなに離れても、喧嘩して会わなくても、他の誰かといても、心には常にお互いが居る。

恋人との交際に疲れたアレックスはロージーをボストンに招待する。今度こそ、、、と淡い期待を抱くロージーだが、行き違いから二人は決定的な仲違いをしてしまうのだ。その後、娘の父親と再会したロージーは、寂しさから彼と結婚してしまう。それを知ったアレックスもまた他の女性と結婚を決めてしまうのだ。

大切な人は分かっているのに、何で素直になれないのーっ!?
飛び出していって、二人をくっつけてしまいたい衝動が沸き上がる。
あと一歩、もう一歩、二人の距離は縮まるのか、それとも――。

明るく前向きに突っ走るロージーを、『白雪姫と鏡の女王』のリリー・コリンズ。彼女を見守る優しい青年、アレックスを『スノーホワイト』のサム・クラフリンが演じる。

「こんな幼なじみが欲しかった~!」と思わずにいられない、二人の恋の結末を是非、劇場で見届けよう。

文 小林麻子

『あと1センチの恋』
キャスト:リリー・コリンズ サム・クラフリン 監督:クリスチャン・ディッター
配給:ファントム・フィルム (C) 2014 CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH.
公式サイト:http://1cm-movie.com/
12月13日(土)新宿武蔵野館ほかにてロードショー!

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