夢は叶う!『加藤くんからのメッセージ』×「惡の華」漫画家、押見修造トークイベント!
妖怪になりたい加藤くんと、その妖怪活動を追っかける萌え声の綿毛(わたげ)監督。
綿毛監督から加藤くんへの愛がめいっぱい詰まったドキュメント映画『加藤くんからのメッセージ』のトークイベントに、大学の同級生で『惡の華』や『ぼくは麻理のなか』の漫画家、押見修造が駆け付けました。(2014年12月7日 渋谷シアターイメージ・フォーラム 妖怪ポーズでお写真 右:加藤志異、左:押見修造)
加藤くん:「僕と押見は、学生の時に知り合って、一緒に漫画家目指していたんですけれども、彼は『惡の華』とかでぼぉっー!!とヒットして、僕はどんどんどんどんどん底を這いずり回って・・・」
押見:「何をおっしゃいますやら(笑)まず加藤くんがドキュメンタリーを撮られるってことを聞いた時に、それは絶対撮るべきだと思って、加藤くんはある種、現代の象徴みたいな人間だと思うから」
加藤くん:「象徴?!」
押見:「この映画のコメントにも、空っぽだということを書いたんですけど、基本的に何も考えてないじゃないですか」
加藤くん:「一応、考えてるよ!!」
押見:「や、考えてない!加藤くんに何が好きか聞くと、『うしおととら』や『SLAM DUNK』とか熱血な漫画が好きとかいうけど、心の底では別にそんなこと思ってないよね??」
加藤くん:「でも、そうありたいと思ってて、できない自分がすごく情けなくて、そう生きたい、でもそれが出来なくて、グズグズしている自分が嫌だ!みたいなのを行ったりきたり・・」
押見:「なんかそれもポーズに聞こえるんだよね。本当は何も責任を取りたくないし、ただひたすら逃げ続けていたいっていうところだと思うんだけど」
加藤くん:「そんなことない!本当ね、いつもがーっと演説してますけどね、いつも家に帰ると暗い気分になって落ち込むわけ。でもそっから立ち上がりたいんだよね。」
押見:「でも加藤くんはちゃんと努力をして絵本作家になったわけじゃない?ネームっていうか、下書きみたいなのが出来る度に見せてくれて。最初の絵本が出来た時に、俺は生まれて初めて努力したみたいなことを言ってたじゃない??俺はすごく感動したのよ、や、初めて加藤くんが努力するのを見たと思って、今まで加藤くんは努力するふりばかりしてきたから」
加藤くん:「ふりっていうか、自分なりには努力したかったんだけど、なかなか努力が続かないというか、漫画もね・・・」
押見:「漫画家にないたいと言いつつも、机の前に長時間いられないじゃない??」
加藤くん:「いられないね(笑)書いてるといられないんだよね。やっぱり外に出て、いろんな人に会いたいみたいな感じになっちゃって。それに俺は、押見みたいに家に10時間とか籠ってられないなと思ってさ」
押見:「根本的な問題なんだね」
加藤くん:「そう、根本的な問題。直線が引けないとか、いろんな問題があったのよ」
押見:「こんな加藤くんが、嫌いだった時期もあるんですけど、今はおおむね好きと言える感じなので、みなさんも好きになってくれると嬉しいですし、この映画を観て、色々考えてくださると。自分の鏡として加藤くんを見て欲しいなと思いました」
加藤くん:「優しい!ありがとうございます。最後に“妖怪な演説”をして終わりたいと思いますけど、いいですか??」
押見:「お好きなように・・・」
加藤くん:「夢は叶う!夢は叶います!どんな夢でも叶うのです。だから、僕は死なない。夢は叶う、夢は叶います。どんな夢でも叶うのです。だから、僕は生きる、僕は妖怪になる!!」
押見:「J-POPだね」
In your own “AYAKASHI” way 『加藤くんからのメッセージ』レビュー に触発され、あの『惡の華』の押見先生とのトークイベント開催と聞いては、居ても立っても居られず劇場まで来てしまいました。劇場には真っ赤な妖怪チラシが8種類あり、左上には番号が振ってあって、8枚を繋げると加藤くんが卒業制作で描いた一枚の絵巻になるという芸の細かさ。見かけた際にはぜひ8枚繋げて、加藤くんの妖怪絵巻を堪能してください。
「わけのわかんない使命感で、俺がやらなきゃ誰がやるんだ!」と、上映期間中は「ほぼ毎日来る!」と公言している加藤くん。夢を描くよりも現実に追われて、スマートに生きるためのオトナ仮面を被らなきゃいけない世の中で、この加藤くんの叫びはなぜか胸に響いて、なかなか離れてくれそうにない。
取材:佐藤ありす
【STORY】
空前の“妖怪”ブームに沸くニッポン。そんな空気をぶっ壊す!
妖怪史上、最も人間臭い妖怪、ここに誕生!!加藤くん、36 歳・独身。大学受験の失敗、大失恋、漫画家になる夢の挫折。青春のすべてを過ごした早稲田大学を 11年かけて卒業するも、契約切りにおびえながら月収 9 万円で働く日々。そんなどん底の彼を這い上がらせたのは、“妖怪になる”という夢だった。作家・沢木耕太郎さんから贈られた「in your own way」という言葉、そして芸術家・荒川修作さんの思想を胸に、彼は妖怪・加藤志異(かとうしい)として生まれ変わる!
『加藤くんからのメッセージ』
出演:加藤志異 製作・監督・撮影・編集:綿毛
配給:東風(C)綿毛
渋谷シアターイメージ・フォーラムにてレイトショー公開中
公式 HP:http://www.yokai-kato.com/