潮風に吹かれ 山を仰ぎ ペダルを漕げ!『海すずめ』鑑賞記


_11106092016年6月28日、センチュリーシネマ(名古屋市 中区)は、梅雨空の平日にも拘らずセンチュリー1(定員154名)の席を埋めつくす映画ファンで溢れかえっていた。
7月2日(土)より同劇場で封切りとなる『海すずめ』の先行上映会が開催され、大森研一監督、武田梨奈(“赤松雀”役)、小林豊(BOYS AND MEN “岡崎賢一”役)の3人が舞台挨拶に立ったのだ。

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大森研一監督 つい先ほどまで愛媛の先行上映イベントに行ってたんですが、豊くんの本拠地に乗り込んできて、ちょっと緊張してます(笑)。

武田梨奈 皆さんとの距離が近いので緊張します。何か……女性の良い匂いがしますね(場内笑)。

小林豊(BOYS AND MEN) 何、ちょっと、大丈夫(笑)?何か、(武田さんの中に)おじさんが入ってるの(場内爆笑)?……それでは、いつもの元気よさで行きたいと思います……皆んな、準備は良いですかー?あいらぶ~??

(客席) ゆーらぶ~!!??

_1110574小林 ゆーちゃむ で~~すッ!!(場内拍手)

【ボイメン】お馴染みのコール&レスポンスも、バッチリ決まった。

――……如何ですか、監督?(MC:木俣誠プロデューサー)

大森監督 この映画の舞台となった宇和島市は、人口8万人の小さな街なんですけど、そこに集まってくださった大勢の前で今のをやっていただいて……お爺ちゃん、お婆ちゃん達も巻き込んで、凄いパワーだな!と(笑)。

武田 凄かったですよね(笑)!

――『海すずめ』は、どういった経緯で出来た作品なんですか?

大森監督 宇和島市には、伊達家があります。伊達というと皆さん仙台を想像されると思うんですけど、実は伊達政宗の長男が築いたのが宇和島市で、現在の13代目ご当主・伊達宗信さんと「映画を作ろう」って話になったんです。昨年【宇和島伊達400年祭】があったんですが、その真っ只中、秋に撮影しました。

小林 ご当主と歩いてると、街の方が「あ、殿っ!」って(笑)…

武田 凄かったんですよ、「殿が歩いてる!」って。

小林 こないだ目黒(祐樹)さんが「時代が違えば、絶対に会えない存在の人だよ」って仰ってて……不思議な気分でしたね、僕たちは。

――撮影中の思い出は、どうですか?

武田 ひたすら、食べてました(場内笑)。

小林 基本“自転車課”なんで、1時間空きがあると、「自転車でどこでも行くぞ!」っていうのをPRしようかな、と(笑)…

_1110582武田 現場で空き時間があると、「自転車課3人皆んなで、ご飯行こうね」って言ってたんですけど……私ひとりのシーンだった時に、豊さんが佐生雪(“原田ハナ”役)ちゃんとお寿司食べに行ってて……ブチ切れたことがありました(場内笑)!

小林 「なんで私がいないのに、お寿司行ってるんですかぁ!?」って……

武田 凄く怒ったら……土下座してくださいました(場内爆笑)。

――いちばん思い出に残ってる物は、何ですか?

小林 “アレ”だよね?

武田 “アレ”ですよね?

小林&武田 (せーの…)鯛めし!!(場内拍手)

小林 宇和島の鯛めしは、ちょっと違うんですよ!公開のタイミングに合わせて、クックパッドにレシピを上げようかなと思ってます(笑)。

――お二人は、どんな役柄なんですか?

武田 雀は、将来に不安を持っていたり、夢に挫折してしまった子なんですけど、宇和島に戻ってきて家族や友人や仲間に支えられながら、成長していく役です。

小林 僕は、元ロードレーサーで(場内爆笑)……

――……これ、どうして笑いが起きてるのか、補足してもらえますか(笑)?

小林 僕が、運動音痴だからなんですけど(笑)……“元”ロードレーサーですからね(場内笑)!で、夢に破れまして、宇和島に帰ってきたんです。自転車課で一緒に働く雀とは、とある事件がきっかけで一緒に過ごす時間が増えるという……ちょっとカッコいい役を演じさせてもらってます(場内拍手)!

_1110594――自転車のシーンは如何でしたか?

小林 僕、本当に、自転車に乗れるか心配だったんですよ(場内笑)。

大森監督 スタッフの皆も心配してたけど……向こうから豊くんが「乗れたーーー!!!」って現れた時は、本当に安心しました(場内爆笑)。

小林 基本的に運動大嫌いなんですけど、自転車に乗ってる時間は大好きだったんですよ。景色は良いし、空気は澄んでるし……本当に、時間が止まればって思うくらいでした。

武田 撮影終わってからも、「あの自転車ほしい!」って言ってましたもんね。

――撮影で使われていた自転車は、実際に撮影が行われていた宇和島図書館に展示されてるんですよね?

小林 実際、跨れます!

武田 是非、写真撮っていただきたいですね。

――監督、お二人の印象は如何でしたか?

大森監督 武田さんは、本当に“雀ちゃん”ぴったりで、表情とか難しかったと思うんですけど、細かいところも表現してくれました。小林くんは、この役を演じる上で“スイッチ”を入れてくれてたんですよ。男らしいシーンも観られますので、楽しみにしてください。

武田 “岡崎”役とのギャップが凄すぎて、カットが掛かかってオフになった瞬間の豊さんのキャラのギャップに追い着かなくて(場内爆笑)……いきなり、しーんとした中で唄い出したりとか(場内笑)……本当に、ちょっと怖かったです(場内拍手)。

――映画の見所を、お願いします

小林 現代で忘れてしまってるような時間軸というか、時間がゆったり流れる中で芯のあるシーンが多いので、そこが『海すずめ』一番のPRポイントなんじゃないかと思ってます。景色がとにかく綺麗なんで、観て楽しんでいただけたらと思います。

武田 登場人物それぞれ皆悩みを抱えているんですけど、人と人とがぶつかることによって、何か新しいことが生まれたり、成長したり出来る……悩めることって、大切だなって思える作品です。多分、今持ってる悩みが、少し楽になるんじゃないかと思います。

大森監督 故郷のパワーであったり、家族や仲間との絆であったり、当たり前と思ってたことって、自分にとって何なんだろう?そんなことを感じて頂けたらと思います。

_1110602この後、武田・小林の“自転車課コンビ”の写真撮影コーナーが始まった。
「お座りの席を離れないでください」とのインフォメーションに観客は肩を落としたが、その意味する所を知るや逆に歓声が沸き起こった。それもそのはず、出演者2人は客席の通路を練り歩き、カメラやスマホを構えるファンの間近に急接近したのだ。
ゆっくりと静止しては回る二人にぐるり360°全方位からフラッシュが瞬き、「今、お尻撮ったでしょ!?」と御道化るゆーちゃむに、更なるシャッター音が降り注いだ。

宇和島の、過去・現在・未来を、挫けそうな青春真っ只中の、雀・岡崎・ハナが駆け抜ける――
地元・愛媛県出身の大森研一監督だからこそ撮ることが出来た、今でなければ撮ることが出来なかった“宇和島発 青春ムービー”を、是非とも劇場で。
海の青と山の緑には、そして、“図書館 自転車課”の青いジャケットと白いクロスバイクには、大画面で観てこそ感じとれる何かがあるのだから――。

取材 高橋アツシ

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