安田淳一監督がエール!「古本監督はアーティスト。僕は商売人」『ラストノート 名もなき者たちの歌』初日舞台挨拶オフィシャルレポート
『ラストノート 名もなき者たちの歌』の初日舞台挨拶が行われ、たむらもとこ、水津亜子、小林萌夏、南久松真奈、小林康雄、古本恭一監督、ゲストとして安田淳一監督が登壇した。(2026年1月10日 池袋シネマ・ロサ)
国内外の映画祭で130以上の受賞経験を持つ、古本恭一監督の19作目となる本作は、半年余りのリハーサルの中で不意にカメラを回し始める製作スタイルで、主に監督自身がiPhoneで撮影。演出家の三回忌に集う「劇団石神井電気缶」の元劇団員たちが、公演がかなわなかったチェーホフ作『かもめ』の話をする内に、一人その場に来ていないことに気づくが、「オザワ」という名前以外なかなか思い出せず、断片的な記憶をめぐって劇団員たちの思いが渦巻く、映画と舞台の臨場感あふれるハイブリッド作品へと昇華させた。

壇上にキャストが揃った後、ゲストである『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督が登場すると、かねてより親交のある古本監督に向けて「本日はおめでとうございます!」と固い握手を交わした。
2人の交流について古本監督は「『侍タイムスリッパー』の前作である『ごはん』のキービジュアルを見て、どうしても作品を観たくなって。唯一上映していた京都にすぐに行ったんです」と経緯を話すと「その時、お客さんが3人しか入ってなかったんです」と安田監督が吐露。さらには水津が「そのうちのふたり(古本と水津)で」と初めて会った時のエピソードが明かされた。
実は本作をまだ観ていない状態で登壇した安田監督は「こういうトークショーの時は事前に観せてもらえるのですが」と話すと「大画面で観ていただきたかった」と、トーク後の上映を観ていただく旨を古本監督が説明。

ドキュメンタリータッチの作品で、どこまでが台本なのかわからない生々しさが印象的だが、脚本も手がけた水津は「大筋の設定は決まっていましたが、古本監督はエチュード(即興)で作ることが多く、今回もいつ撮ってるのかわからない状態ではじまった」と思い返すと、たむらも「ある日稽古場に行ったら、撮影がはじまっていた」、小林萌夏も「稽古だと思っていたのですっぴんだった」とまさかのエピソードが飛び出し、安田監督も思わず「身内に対してゲリラ撮影をするのはなかなかですね」と付け加えた。
さらには安田組でのリハーサルについて聞かれると、「リハーサルはほとんどないんです。2本目まで(『拳銃と目玉焼』『ごはん』)は事前の台本はなして撮っていて、撮影の朝にその日の分を書いていたんです。『侍タイムスリッパー』だけクランクイン前に台本があった」と安田流にキャスト陣も驚いた。
今回の登壇オファーは、蓼科高原映画祭で一緒になった際に安田監督にゲストで出てもらいたい旨を古本監督が伝えたところ即答で快諾したそうで、その際も「舞台裏では壇上で話せないようなことを何時間も話していた」と水津が振り返り、気心が知れた仲であることがうかがえた。
また、古本作品のイメージを聞かれると、安田監督は「(過去作は)作風がめちゃくちゃで。今回はエチュードとのことで想像ができない。ワクワクしている」と本編が楽しみなようす。「結末が決まっていない。一発撮りのような感じで、その場で起きることを古本監督は欲している」と、たむらが補足を入れた。

本作は全編iPhoneで撮影していることも特徴だが、古本監督は「お客さんもその場にいるような感覚になって欲しかった。映り込みも関係ない」とのこだわりを明かすと「アーティストですよね。僕は商売人なんで、アーティストだから尊敬しますね」と安田監督が敬意を表した。
最後の挨拶ではたむらは「自分が出ているのが分かっているのに、ドキュメンタリーみたいで。みなさんにはどのように観ていただけるか楽しみです」と呼びかけ、古本監督は「観終わったあとのお客様のお顔を見ることが楽しみ」と笑顔を見せ、「古本監督は真摯に誠実に映画に向き合っておられる。運に任せたエチュードではなく、この方向に導きたいという確固たるディレクションを持ったアーティストだと思っています。これから観るのが楽しみです」と安田監督は期待に胸を膨らませた。
取材・撮影 南野こずえ
『ラストノート 名もなき者たちの歌』
キャスト:たむらもとこ 水津亜子 小林萌夏 Sufa 千咲としえ 春名海咲 ショウジ 小池首領 黑田剛 齋藤舞華 齋藤忍 浜田瞳 南久松真奈 小林康雄 古本恭一
監督:古本恭一
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