復讐するは誰にあり? 『復讐したい』鑑賞記
2016年2月27日、109シネマズ名古屋(名古屋市 中村区)6番スクリーンは、満員の観客を飲み込んでいた。名古屋発から全国区の人気となった男性パフォーマンス・ユニット【BOYS AND MEN】(通称:ボイメン)が総出演する映画『復讐したい』(原作:山田悠介/監督・脚本:室賀 厚)が、3月5日の全国公開に先駆け中部エリア先行ロードショーがスタートし、【BOYS AND MEN】のメンバーが初日舞台挨拶に立ったのだ。
『復讐したい』Story:
2020年に制定された通称“復讐法”、それは犯罪被害者・遺族に加害者への制裁を認める謂わば“現代の仇討ち法”である。中学教師・高橋泰之(水野 勝)は、この賛否両論ある新法制を生徒にどう向き合わせるか苦慮していた。しかし、それも束の間、彼は復讐法の当事者となる。愛する妻・泉(高橋メアリージュン)が、小寺(吉原雅斗)と言う男に刺殺されたのだ。
復讐が適用されるのは、関東地方にある蛇岩島。18時間生き延びることが出来れば、受刑者は無罪放免となってしまう。それどころか、制限時間内は外部からの介入は禁止となっており、受刑者が復讐者の武器を奪って殺傷する可能性も低くはないのだ。
暴行殺人の被害者の兄と、犯人の男。無差別テロの被害者遺族の代表者と、4人のテロリスト。両親を殺された娘と、殺人者。そして、高橋と、小寺――太平洋に浮かぶ孤島を舞台に、サバイバル・バトルが幕を開ける――。
水野 勝(高橋泰之役) 僕たちのホームで、こうして沢山の人に集まってもらって、僕たちが本気で取り組んだ作品を観てもらえるのは、本当に嬉しいです。
小林 豊(田所哲也役) 法務省の役人と言うことで、いつもの小林豊とは180°違う真面目な一面を観て頂けたかなと思います。皆さんと同じ観点で物語を進めていくことが出来たので、そこも注目して観てください。
辻本達規(野崎 誠役) 僕も法務省3人、ずっとゆーちゃむ(小林)と岡ちゃむ(岡田義徳:猪狩明広役)と一緒でした(場内笑)。僕はオペレーターで画面を見ながらの作業だったんですけど、キーボードだったんで自慢のタッチタイピングの速さをしっかり披露できたのでよかったです。
本田剛文(日野翔太役) 大学生の男の子が、どう言った気持ちで復讐……人に銃を向けるのか?そんなところ、皆さん自身を投影して観て頂けると嬉しいなと思っております。復讐に駆り立てられるシーンは、凄く胸に焼き付くようなショッキングなシーンになっていると思うので、そう言った所にも注目してもらえると嬉しいです。
田中俊介(板垣潤也役) この役を演るに当たって、色々な被害者の方の想いを背負いやっていくこと、そこまで気持ちを、モチベーションを上げていくってことを一生懸命頑張ったので、そこを観てもらいたいなと思います。
田村侑久(佐倉裕二役) 僕はお兄ちゃんが殺されて、ショックで自分自身も変わってしまい、そして復讐しようと思った。そう言う人を変えてしまうほどの強い気持ちを持って、この現場も臨んだので、そんな強い想いも受け取ってもらえると嬉しいです。
勇翔(前田達也役) 僕の役は自衛隊員と言うことで、ガンアクションが多目になってるんですけれども、なぜ復讐しようと思ったのか、その理由が映画の後半に明らかになってきます。そこが今回の見所だと思ってます。
吉原雅斗(小寺 諒役) 主役の奥さんを殺した殺人犯の役なんですけれども、普通の一見か弱い青年が殺人を犯すに当たって、色々な理由があります。その理由の部分を演じるのが凄い難しかったですし、頑張ったところです。そこを注目して観て頂けると嬉しいです。
土田拓海(佐久間洋一役) 僕の役は妹を乱暴されて殺害されたお兄ちゃんの役なんですが、あのシーンは復讐と言うものの悲惨さやエグ味を表現していると思ってます。そこも注目してください。
平松賢人(霞 太郎役) 今回は、主演の水野勝くん演じる“泰之”と、その結婚相手“泉”が出会うきっかけとなった合コンを企画しました。僕が居なければ、このストーリーは生まれてなかったと思います(場内笑)。泉と僕が結ばれていたら、僕が主演になっていました(場内爆笑)。ハードなシーンが苦手な方も僕のシーンならしっかり観れると思うので、是非お楽しみください。
――水野さんと吉原さんは敵対する役でしたが、苦労した点はありましたか?
水野 色んな所で喋らなかったとかありますけど……仲良くする必要はなかったので。ただ、吉原くんが演じた役も、訳があるんだよね?
吉原 そうなんですよ、色んな理由が……
水野 でも、僕は人を殺す理由は何があろうと無いと思います。だから……矛盾してるんですけど、僕は絶対に殺してやろうと思いましたね。
吉原 でも、僕もそれなりの理由がありますからね。観ていただいた方には分かると思います。お互いに食事も摂らない感じで……いつも用意して頂く弁当が、2つ余ると言う……。でも、大事なシーンが終わった日の夜は、2人で焼肉行きました。
水野 お互い、讃え合ってました(笑)。
――法務省のお2人は、岡田(義徳)さんと共演されたんですよね?
辻本 色んな所で経験を積んでやってらっしゃる方なので、凄いオーラもありました。僕たち、ずっとCG(に対する演技)だったので……目の前にスクリーンは無かったんですけど、岡田さんに引っ張っていただいたおかげで3人の統率が取れて、皆で目線とかを合わす事も出来ました。僕たちボイメンだけじゃなく岡田さんが1人いることで、全く違う現場になったので、凄くありがたいと思ってました。
小林 岡田さんは凄い発想力が豊かな方で、ワンシーンワンシーン「あ、こう来るか!?」って言うのを僕たち自身も感じ取って、それに追い着き追い越せの気持ちでやってたので、その経験が出来たのがまず嬉しかったです。エグ味だけじゃなく色んな感情を表現できてると思うんですが、それは岡田さんと共演できたからだと思います。
――復讐者の4人は、大切な人を奪われて復讐しに行くんですが……難しい心境ですよね?
本田 気持ちとしては凄く高めてお芝居に臨ませていただきましたけれども、その設定自体は自分自身投影しようと思っても中々現実味が無くて。僕は姉を殺される役だったんですけれど、実際には妹がいて……その妹を、頭の中で一回殺して(場内笑)……
田中 メンバー4人でそれぞれが気持ちを高ぶらせるのは苦労したんですけれど、撮影の前に意見交換をして同じチームとして意思統一できたのはボイメンのメンバーだからこそだったかと……このメンバーでやれた強味だったかなと思いますね。
田村 撮影は、割かし和気藹々としてましたよね……そうでもないですか(笑)?皆で「こうしよう」「ああしよう」って意思統一は撮影前に出来てましたので、いい感じに撮れたんじゃないかと僕は思ってます。
勇翔 現場に移動する間とかは和気藹々としてたかなと思うんですけど、衣装に着替えてからはお互いそれぞれの心境があるので、それを作るためにもそこからは真剣モードに入ってましたかね。盛り上がったりって言うよりは、次のシーンの確認をしたり、そんな雰囲気でした。
――ガンアクションは特訓されたんですか?
水野 銃は凄く重かったです。種類が役によって違うんですけど……勇翔くんの奴とかは、メチャクチャ重たいよね?
勇翔 僕の銃は、いわゆるマシンガンなんですけど、下にランチャーがくっ付いてまして、とても重いんですけど……僕は昔サバイバルゲームをよくやっていたので(場内笑)、銃の扱いに関しては全く問題ありませんでした。
田中 僕も現場で色々教えてもらったの、勇翔に。僕たち活動してもう6年目に入るんですけど、初めて助けられましたね、彼に(場内爆笑)。
――何か裏話を教えていただけますか?
小林 辻本さんが取材でもお気に入りって言ってたシーンが…なんと、カットされたんです(場内爆笑)。
辻本 岡田さんがコーヒーを飲むシーンがあるんですけど、本当は先があったんです。
小林 (室賀)監督、絶賛してたんですよ、「いいですね~、辻本さん!」って!……なのに、カットになってて(笑)。監督に会った時に聞いたら、「尺とかの関係もあるんですけど……第1候補で切りました」って(場内爆笑)!
――本田さん、裏話は無いですか?
本田 さっき勝くんも吉原も弁当が喉を通らずって話だったんですけれど……撮影中に差し入れていただいた、五平餅が美味しかったです(場内笑)……済みません、僕の引き出し、これしか無かった(場内笑)。
――五平餅と言えば、全編愛知、岐阜と東海エリアでの撮影だったんですよね?
吉原 地元ならではの話と言えば……今話に出た五平餅、作ってくれてたの僕の同級生のお父さんです。
一同 えぇぇ~~~(場内爆笑)!?
尚、上映初日のこの日までにTwitter『復讐したい』公式アカウントのフォロワーが2万人に届かなければ、広報大使を務めている本田、田村の両メンバーは罰ゲームと言うお約束になっていたが……結果と顛末は、ご自身の目でお確かめを。ファンには堪らないTweetに巡り会えるかも知れない。
「自分なら、復讐するか、しないか……それを考えながら観てもらって、最後に自分の答を出してもらえたら良いなと思います」
『復讐したい』主演を見事に務め上げたリーダー水野がこんな風に締めると、大きく手を振りながら会場を後にする【BOYS AND MEN】一人ひとりに、満員の観客は割れんばかりの拍手を送り続けた。いつまでも鳴り止まない拍手は、今後は各地のスクリーンでも響くのだろう。
中部エリア先行上映がスタートしたこの日から1週間後の3月5日より、いよいよ『復讐したい』は全国でのロードショーが始まる。
取材 高橋アツシ
※辻本の「辻」は、正確には一点しんにょう。