天才ボクサーの生き様がここにある!『ジョーのあした ―辰吉丈一郎との20年―』初日舞台挨拶
『ジョーのあした ―辰吉丈一郎との20年―』の初日舞台挨拶が行われ、出演の辰吉丈一郎、阪本順治監督が登壇した。(2016年2月27日ヒューマントラストシネマ渋谷)
日本で圧倒的な人気を誇るボクサー・辰吉丈一郎を、『どついたるねん』などの阪本順治監督が20年追い続けたドキュメンタリー映画。取材開始は1995年8月、辰吉丈一郎が25歳のとき。JBC(日本ボクシング・コミッション)のルールにより国内戦ができないため、海外にリングを求めた時期からはじまる。44歳までの20年間を、家族との絆、一人のボクサーとしての辰吉丈一郎と向き合った比類なきドキュメンタリー映画だ。
辰吉丈一郎が登場すると、劇場は辰吉コールの大歓声に包まれた。冒頭、辰吉は「僕はまだ現役です。まだ引退していませんから」と話し、観客から大きな拍手が起こる。初日を迎えての感想を、阪本順治監督は「20年前にはじめたときは少人数でのスタートだったが、こうやって上映できて、やって良かったと思うし、嬉しい」と率直な胸の内を語った。
舞台挨拶では、俳優の江口洋介がスペシャルゲストで登場。辰吉と江口の意外な交流が明かされた。阪本監督が辰吉のファンである江口を誘い、大阪まで辰吉の試合を観に行ったことがきっかけで交流がはじまった。辰吉は当時の江口の印象について、江口が出演していた人気ドラマ『ひとつ屋根の下』のイメージもあり、「熱い男だなと思った」と当時を振り返った。
江口は今作について、「辰吉くんはリアルなアスリートであり、ボクサー。映画では、辰吉くんが自問自答しているなかで言葉を拾っている。ある種の緊張感のなかで撮っていたんだろうな」と俳優としての視点から推察した。阪本監督は「ほかの媒体で見られないような辰吉くんを見せるために、できるだけ仕事をしている感覚やカメラで構える感じにならないように撮っていた」と撮影の様子を語った。
江口はこれから鑑賞する観客に、「いろいろなものがバーチャルになる時代で、この映画を通してリアルな人間、生き様をご覧になってください」と熱いメッセージを投げかけた。辰吉は「自分が出ているのは小恥ずかしい。今日観たことは忘れてください」と笑いを誘った。最後に、阪本監督は「よくスポーツ選手が試合の後で、これからも応援よろしくお願いしますと言いますけど、大嫌いな言葉なんですよね。でも、応援よろしくお願いします」と、ユーモラスに舞台挨拶を締めくくった。
取材 吉田遊介
『ジョーのあした ―辰吉丈一郎との20年―』
出演:辰吉丈一郎 企画・監督:阪本順治 ナレーション:豊川悦司
※「吉」の正確な表記は(「土」の下に「口」)「丈」の正確な表記は右上に点
製作:日本映画投資合同会社 特別協力:日本映画専門チャンネル 特別協賛:J:COM
2016年/日本/82分/カラ―/DCP/1:1.85 (C)日本映画投資合同会社
公式サイト:www.joe-tomorrow.com
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