中村倫也のオススメは水族館からの寿司『サイレント・トーキョー』初日舞台挨拶



東京を舞台にしたノンストップサスペンス『サイレント・トーキョー』の初日舞台挨拶が行われ、佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、広瀬アリス、井之脇海、勝地涼、波多野貴文監督が登壇した。(2020年12月4日 丸の内TOEI)

本作の内容は、クリスマス・イブの東京に爆破予告があり、刑事・世田(西島秀俊)と新米刑事の泉(勝地涼)は事件を追うが、渋谷で大きな爆破が起きてしまう。次のタイムリミットが迫る緊迫感とともに、巻き込まれた人々を描いたクライムサスペンスとなっている。

舞台挨拶は全国295館の映画館へライブ中継されており、容疑者として疑われる朝比奈役の佐藤は「明日がどうなるかという状況下のなかで、とりあえず初日を迎えられて良かった」と胸をなでおろし、刑事役の西島も「(出演している)撮影がストップしていたり、まだ公開していない作品もあるなか、こうやってちゃんと初日を迎えられてみなさんに観ていただけるのはとても幸せに思っています」と喜びを語った。

ネタバレを避けてのトークが難しい本作だが、「自身の役以外で演じてみたい役」について問われると、怪しい行動を取るIT起業家の須永を演じた中村は「(新米刑事の)勝地の役をやりたいですね。西島さんが吸ったタバコの火を消したい」と答え、OL役の広瀬が「今まで容疑者をやったことがないので容疑者役をやってみたい」と話すと「容疑者って、犯人じゃないと言っているようなもの」と佐藤がコメントをすると会場がざわつきはじめ、すかさず「わかりませんよ!」と自らフォローを入れた。

「(中村)倫也さんがやられた影がある役をやってみたい」と述べたのはTV局員役の井之脇。「真っ直ぐな好青年の役が今まで多いので」と続けると、中村は「もう、まんまだね!」と井之脇を見つめながら微笑んだ。さらには勝地も「中村倫也君の役。中村倫也のミステリアスな雰囲気は格好いい。僕はおバカなキャラというか、明るい役が多いので“ミステリアス勝地”もやってみたい。倫也よりはいい芝居をするんじゃないかなと。嘘です、すみません」と褒めながらもおちゃらけて場を和ませた。

劇中に出てくる東京の観光ルートにちなみ、おすすめの観光スポットを聞かれると「東京生まれで60年生きてきたんですけど、デートは映画館しか行ったことがない」と意外なプライベートを吐露した佐藤。主婦役の石田は馴染みのある「玉川高島屋あたり」を挙げ、八王子市出身の西島は「新宿とか渋谷のスクランブル交差点にビックリした。人が多いところに連れて行くかな」と話したが、八王子の観光スポットを聞かれると「僕は西八王子なんで。百円ラーメンがあって、南口にドムドムハンバーガーがあるほう」とコアな情報を披露し、笑いを誘った。

いっぽう、水族館が好きな中村は「金魚がいっぱいいる『すみだ水族館』、『サンシャイン水族館』でざんねんないきもの展を見て、品川の水族館(アクアパーク品川)でイルカショーを見て、『葛西臨海水族園』でアカシュモクザメ を小一時間見て、寿司食って帰る」と魚を満喫するコースを提案。

静岡出身の広瀬は「地元の友達とかが来たときは表参道に連れていく」とコメントし、横須賀出身の井之脇は「代々木公園や新宿御苑とか、自然が多いところ」。勝地は「僕は自由が丘というオシャレな街で育ったので、オシャレなスイーツとか、母親のやっている花屋さんに連れて行ったりとかシティな感じで。すみません」とオシャレ男子アピールし、思い思いのスポットを紹介した。

予告やポスターで誰が犯人なのかを会場のお客さんに挙手でアンケートを取ったところ、須永役の中村が一番多かったが、容疑者役である佐藤が「何を言えばいいのか、本当に難しいよね。裏の裏の裏はあるかもね」と匂わせた。

また、謎を解くためのキーポイントについて、「事件に巻き込まれていく(石田)ゆりちゃんと一緒に映画の世界に引っ張られてもらいたい」と佐藤が話し、石田は「手袋」、西島は「腕時計」とヒントを答えていたが、中村が劇中には出てこない「西八王子の百円ラーメン」と話題をぶり返すと「八王子の市民プールに行って、帰りに百円ラーメン。ヒロミさんも絶対そうしてた」ときちんとノッて返した西島。

俳優生活40周年を迎えた佐藤に対して共演者から尋問が行われることになり、勝地から「大きな壁にぶつかった経験や、どう乗り越えたか」を聞かれると、「壁って、その時の自分はわからないんだよね。後で思い返してみると、壁だったんだんだなと」と回答。井之脇の「もし役者をやっていなかったら、どんな職についているか?」の問いには、「芝居の経験もなく20歳前にこの世界に入って、10年くらいはいつでも辞めてやるという気持ちだった。30歳くらいで役者以外できないと気づいて、急に怖くなった。結局、自分には役者という生業しかない」と数々の名言に全員が聞き入った。

広瀬は真面目に「好きな漫画はなんですか?」と尋ねると空気が一変し、佐藤は苦笑いしながら「ジョージ秋山さんの『アシュラ』。カニバリズムを描いている作品」と答え、広瀬が「おすすめがあるんですけど『渋谷金魚』という漫画で、渋谷で金魚が人間をバンバン食べていく話」と紹介すると会場からは笑い声が漏れた。

終始ムードメーカー的な中村は「こんな機会じゃないと聞けないので」と空気を戻すかのような前置きをしたが「ゴルフのアプローチショットの距離感の調節って……」と言うと「ちょっと待って!役者が役に対するアプロ―チだろ?」と佐藤が聞き直すが「グリーンに対するです」とキッパリの中村。「どんな球を打ちたいか。明確なイメージを持って……こんな話、面白いのかよ!」と見事なノリツッコミを見せた佐藤。

空気を戻したのは西島で、「今までで一番辛かった現場ってなんですか?」と聞くと「みんな一緒だと思うんだけど、その時すごく辛くても、終わるとその気持ちがどこかに飛ぶ。辛さを忘れないとやっていられない」と力強く語り、石田が「女性の好きな仕草を知りたい」と言うと「キレイに化粧をしているのに、ガーッと豪快に鼻をかんでいるのを見ると可愛いなと思う」と飾らない瞬間に惹かれることが明らかになった。

最後に「監督や制作陣が99分にこだわった理由が分かっていただけると思います。ちょっとでも目をそらすと話についていけなくなるので、99分間しっかりとスクリーンを観て、満足して帰ってください」と佐藤が呼びかけて締めくくった。

取材・撮影 南野こずえ


『サイレント・トーキョー』
Ⓒ2020 Silent Tokyo Film Partners
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