恋に落ちることをためらわないで『暮れ逢い』パトリス・ルコント監督スペシャルトークショー
すべてが巧みに練られていて、めまいを引き起こすほどの官能的映画『暮れ逢い』公開記念!
恋愛映画の巨匠パトリス・ルコント監督が来日し、芥川龍之介賞作家の柴崎友香とスペシャルトークショーが行われました。(2014年12月3日 代官山蔦屋書店の3周年記念イベント)
2004年に公開された行定勲監督作『きょうのできごと』の原作者でもある柴崎友香。『橋の上の娘』や『列車に乗った男』などルコント作品が大好きとのことで、ファンを代表して質問をしていただきました。
柴崎:「いつも監督の映画では、女性が美しく撮られていますけど、女優さんを選ばれる時や撮影の時、どういうところに注目されるんですか??」
ルコント:「ハートで選ぶことがあって、女優さんの場合は本当に心が動いて、ほとんど一目ぼれというのが必要なんです。やっぱり自分が恋してなかったり、思入れがなかったら、素晴らしくて感動する映画っていうのは撮れないものです。自分が撮っている女優さんに、恋に落ちるなんてことは本当に最低限のことです。人生と同じで、好かれているなと思うと、出来るだけその人にもっと好かれようとして、自分の魅力的な部分を引き出すっていうのがありますよね。監督と女優の関係でも、女優が自分が愛されていると思うと、自分の一番最高の部分を差し出そうとしてくれる訳です。」
柴崎:「こんな傑作を撮られたら、次回作は大変なんじゃないですか??」
ルコント:「自分では傑作とは思っていなくて、この映画は撮りたくて撮った作品なんですけれども、実はこの後、既に1本撮り終えていて、この月末にフランスで公開されるんです。それは100%喜劇でとっても軽く、ちょっと勢いで撮っちゃった感じです。」
会場のお客さんからは、「3本映画を撮ったら引退説」についての質問が!
ルコント:「まだ撮り続けていきます。でもいいタイミングで辞めようかなとは思っています。映画が僕から立ち去ってゆく前に、僕の方が映画から立ち去ろうかなと思っています。」
最後にお二人からのメッセージ。
柴崎:「ルコント監督の映画は本当にまなざしというものが素晴らしくて、登場人物の視線を、目を見ているだけで、彼らの中で何が起こっているのか、手に取るように伝わってきます。それを味わっていただきたいなと思います。」
ルコント:「あなたの人生において、一度たりとも恋に落ちることをためらわないでください。この地球上で、みんなもっと憎み合ったりするのではなく、愛し合っていったら、もっとうまくいくんじゃないかなと思っています。」
取材:佐藤ありす
【STORY】
あなたと出会い、生きることが喜びとなった。
夕暮れ ルール・ブルー(青の時)に 染まるわずかな時間。そして、ふたりはめぐり逢う・・・
1912年。初老の実業家ホフマイスターの屋敷に、秘書として青年フリドリックがやってくる。一つ屋根の下で暮らすうちに、若妻ロットとフリドリックは惹かれあうが、触れあうことはもちろん、愛を口にすることも出来ず想いだけが募ってゆく。突然、フリドリックの南米への転勤が決まったとき、お互いに胸にしまいこんでいた気持ちが溢れ出し初めて想いを伝え約束を交わす。「2年後、戻ってくるまで、変わらぬ愛を誓おう」と。しかし、まもなく訪れた第一次世界大戦によって運命は大きく揺れ動く――。
『暮れ逢い』
監督:パトリス・ルコント
出演:レベッカ・ホール、アラン・リックマン、リチャード・マッデン
配給:コムストック・グループ © 2014 FIDELITE FILMS – WILD BUNCH – SCOPE PICTURES
12月20日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
http://www.kure-ai.com/