17歳だった私が全身全霊を込めて作りました『偽神The Second God』小川深彩監督インタビュー
第14回『田辺・弁慶映画祭』でキネマイスター賞に輝いた『偽神The Second God』。現在、テアトル新宿で開催されている『田辺・弁慶映画祭セレクション2021』において上映が決定(9/11~13日21:00〜)。公開を控えた小川深彩(ミサ) 監督に話を伺った。
Q.アメリカと日本のハーフで、現在20歳の小川監督。幼少期からステージに立っているとのことですが。
アメリカのジョージア州で生まれて、舞台演技は6歳の頃からやっています。11歳ぐらいに東京に来て、劇団にも3年間入っていました。それから父親の仕事の関係で引っ越した沖縄でも続け、監督もするようになったのです。
Q.現在はどのような活動を。
劇団とかには入らずフリーで俳優と映画監督をさせていただいています。高校生になるぐらいまでは、映像や映画で監督をするとは考えていませんでした。
Q.監督デビューはいつ頃ですか?
初めての自主映画は16歳のときです。
Q.小川監督は監督業だけではなく脚本と編集もやられていますが、ひとり3役にはこだわりがあるのでしょうか?
はい。脚本へのこだわりは特に強くて、気をつけています。脚本がよくないと、どんなに頑張っても、きれいな絵を描いても納得できないので。私の作品は全部を通してツイストがあって、それを自分のトレードマークにしたい気持ちもあります。まっすぐなストーリーではなく、必ず何か隠れている。エンディングで何かショッキングなツイストがあるとか。そういうのが好きです。
編集は初めての映画のときは大変でしたね。父のパソコンで編集したのですが、何度もクラッシュしたり(笑)、編集したいろんなデータを無くしながらやりました。沖縄でお世話になっている映像制作のPROJECT9さんの編集方法を見て学んでからは、作業が楽になりました。『偽神The Second God』の編集はどちらかというと楽でしたね。
Q.『偽神The Second God』は何作目ですか?
5分ぐらいの短編作品を除けば、2作目ですね。
Q.作品紹介をお願いします。
一見、幸せそうな家族がいます。夫の正人と妻、そして小さな男の子の3人家族。その人たちはちょっと狂信的なキリスト教徒の一派。教会以外の人たちとは見ない、話さないという。そんな家族のもとに、男の子の誕生日に突然、不気味な彫刻が届きました。そして、正人は愛する者の心臓を彫刻の足元に捧げるように迫られ、追い込まれていきます。また、正人は暗い過去があることを隠そうとしますが、それを知りたいと願う妻……。やがて、日常は崩れていき、正人はどうするのかというストーリーです。
Qホラーチックな要素が強いのでしょうか?
どちらかというとサスペンスとかサイコスリラーと私は思います。
Q.この作品をご覧になる方へのアピールを。
撮影当時17歳だった私が、全身全霊を込めて作りました。ホラーが苦手な方でも観ていただける作品になっています。
Q.同時上映される『はじめの夏』と『二階のあの子』についての紹介もお願いします。
『はじめの夏』は10分ぐらいの短い作品ですけど、ツイストが強めで衝撃があると思います。ホラーというよりはドラマ寄りです。ある母の日、香奈子は夫の帰りを待ちながら、息子と対話しているという設定で、そこからストーリーが展開していきます。
『二階のあの子』は47分です。沖縄の女の子の詩織が、お母さんが仕事を探す間だけ、おばあちゃんの家に引っ越してきました。少し痴呆症のおばあちゃんから、上の階には行ってはいけないと言われていたのですが、二階から足音が聞こえるようになって、おばあちゃんの目を盗んで二階へ上がって行って……。ふたりの女の子の友情を、ダークファンタジーを通して見つめる作品です。
Q.今後はどのような活動をお考えですか?
今年、入学した大学で映画の基礎をつけ直したいと思います。そして、この3年間、現場で学んだものと、大学で身に着けたものを活かして、将来は国際的に活躍できる映像クリエイターになれたらいいなと。英語ネイティブなので、それを活かして映画制作の役に立てたらなと思っています。
取材・撮影 シン上田
『田辺・弁慶映画祭セレクション2021』
『偽神The Second God』+小川監督の新作『二階のあの子』『はじめの夏』の3本立て
9/11(土)~13(月)21:00〜 テアトル新宿
9/27(月)時間未定 シネ・リーブル梅田