伊藤沙莉「ただいま」という雰囲気だった『風のマジム』舞台挨拶
映画『風のマジム』全国公開舞台挨拶が行われ、主演を務める伊藤沙莉をはじめ高畑淳子、染谷将太、シシド・カフカ、尚玄、肥後克広、芳賀薫監督が登壇した。(2025年9月13日 新宿ピカデリー)
「南大東島の風邪に吹かれて育つサトウキビで特別なラム酒を造りたい」と思い立ち、社内のベンチャーコンクールを活用してビジネスを立ち上げ、契約社員から社長になった女性の実話を基に描かれる本作は、平凡に生きてきた主人公・伊波まじむの夢と彼女を支える人々の真心の物語。原作は人気作家原田マハの小説『風のマジム』心が晴れ渡る、爽やかで愛おしい物語が誕生した。
伊波まじむ(伊藤沙莉)は那覇で豆腐店を営む祖母カマル(高畑淳子)と母サヨ子(富田靖子)と暮らしながら、通信会社・琉球アイコムの契約社員として働いている。まじむは沖縄弁で『真心』を意味する言葉で祖母がつけた名前だ。
いつも祖母と一緒に通うバーで、ラム酒の魅力に取り憑かれたまじむは、その原料がサトウキビだと知る。折しも社内ベンチャーコンクールが開催され、まじむは、南大東島産のサトウキビからラム酒を作る企画で応募するが、それはやがて家族、会社、島民をも巻き込む一大プロジェクトへと発展していく―
MC 沖縄でも舞台挨拶をされていたかと思うのですが、何か反響はありましたか?
伊藤 沖縄を舞台にした愛がたくさん詰まった映画でもあるので、沖縄の方たちがどう受け取ってくださるかは結構ドキドキしていたんですけれどすごく温かくてですね。方言とか私たちがすごく気にしていたところを大変お褒めいただいて良かったな、と思いました。これで堂々と全国にお届けできるなと思って。沖縄の方たちが認めてくださったのがとっても嬉しかったですね。良いエンジンになっていると思います。
MC 高畑さん演じるおばぁを初め、個性豊かなキャラクターが揃っていますけれども、現場で印象に残っていることがあったらエピソードも含めて教えていただけますか?
伊藤 いろいろあってすごく楽しい時間だったのですが、一個だけとっても感謝していることがあって。沖縄はすごく暖かいと思っていたんですね、でも私たちが行ったのは12月だったので思いのほか寒かったんですよ。私半袖とかしか持っていなくて。肥後さんとご一緒した時に『沖縄って意外と寒いんですね』と話をしていたら、次の現場の時に2着ほど洋服を買ってきてくださって!服を。パーカーとロンTを!そんなことあるんだ!と思って。めちゃくちゃ大事にしています。
伊藤は肥後の優しさに感動したエピソードを熱弁。肥後は照れくさそうに「いやいや、僕も沖縄出身ですけど、あの去年12月は特に寒かった。東京より寒いんじゃないかなって思ったから良かったです」とほほ笑み、会場を和ませていた。
家族との時間が密に描かれている本作について、伊藤は「本当にリハーサルの時から『ただいま』っていう雰囲気だったんですね。大先輩方との共演ですけれども緊張しないっていうか、そういう雰囲気を高畑さんと富田さんが作ってくれました」と嬉しそうにほほ笑んでいた。
取材 福原さとみ
『風のマジム』
全国公開中
©2025映画「風のマジム」
©原田マハ/講談社