原作者・市川拓司、許しと寛容の物語『Be With You 〜いま、会いにゆきます』公開記念舞台挨拶



社会現象を巻き起こした大ヒット作『いま、会いにゆきます』が韓国で映画化!『Be With You 〜いま、会いにゆきます』の公開記念舞台挨拶が行われ、イ・ジャンフン監督、原作者の市川拓司が登壇した。(2019年4月7日 シネマート新宿)

市川拓司のベストセラー小説であり、2004年に竹内結子×中村獅童で映画化された『いま、会いにゆきます』が、時を越えて韓国でリメイク。雨の季節に起きた、ある家族の奇跡を描いた優しく温かなラブファンタジーは、韓国版ならではのエピソードや風景も盛り込まれ、違いを楽しめるのも見どころと言える本作。

原作者である市川は「2002年に書いた小説が、韓国の監督に映画にしてもらって嬉しく感じます。監督とは共通するところが多くて、だからこういう映画になったんだと納得しています。すごく原作に近く、優しい手触りがした映画」と早々に太鼓判を押した。

以前から市川の大ファンだったイ・ジャンフン監督は「お会いするのは今日が初めてで、とても感激しています」と述べ、「さっき食事をご一緒にしたんですけど、先生も私もお話ししたいことが多かったので、お互いほとんど食事ができませんでした。通訳の人もほとんど食べていないと思います」と、話題が尽きなかったようすを笑いを交えて説明。

市川も会った時の印象を「弟が来たのかと(笑)ビックリしました。写真では拝見していたんですけど、実際に会ってみると背格好も似ていて。(食事の際も)ずっと喋っていたんですけど、あれも一緒、これも一緒と。愛妻家だったり、とにかく似ているところがいっぱいあって」と意気投合を打ち明けた。

映画化についてイ・ジャンフン監督は「私はこの作品と運命的に出会えたと思っています。作品を作るまでは本当に苦労がありましたが、私が小説を読んで得られた癒しを、観客のみなさまにもそのまま届けたいと思いました」と作品に込めた思いを述べた。

小説に登場する人物のモデルについて問われた市川は「主人公のモデルは僕自身なんです。映画では水泳選手ですが、僕は陸上で。大学で実業団に行くことが決まっていて、練習のやりすぎで体を壊してしまって」と自身の経験を基にしているという。

続けて、「彼女と別れようとして距離を置いたんですけど、彼女から会いに来てくれて。高校が3年間同じクラスで、その彼女と結婚したんです。もうひとつは母親が体の弱い人で。その理由が僕を産んだ時に難産で体を壊してしまい、それまでの生活が送れなくなったんです」と “別れようと決意したのに会いに来てくれた奥さん”と“命をかけてまで産んでくれた母親”の2人がヒロインのモデルであることを告白。

本作では『私の頭の中の消しゴム』のソン・イェジンがヒロインであるスア役を務めており、イ・ジャンフン監督は「初めての作品でしたので、ここまで立派な俳優さんたちが出演してくださるとは想像もしていませんでした。でも、スア役のキャステクングの時に真っ先に頭に浮かんだのはソン・イェジンさんで。彼女しかいないと思っていました」と力強く話した。

一方、ウジン役は正直心配だったそうで、その理由は「小心者で不器用な男性の役なので、俳優さんから見るとあまり魅力に感じてもらえないかもしれないと思っていました。この映画はスア(母)とジホ(子)が引き立つ構造なので、なおさら心配がありました」と不安を抱えながらも、『ただ君だけ』のソ・ジソブに打診したところ、「この役は自分が引き立つのではなく、妻と子供が際立つよう自分はサポートに回る」と快く引き受けてくれ、最後までその姿勢を貫いてくれたと称賛。

14年ぶりの恋愛映画に挑戦したソン・イェジンだが、実はキャスティングにも協力していたことが明かされ、仲はいいが共演したことがないコン・ヒョジンを監督へ仲介したという。さらには、コン・ヒョジンが主演する作品にソン・イェジンが特別出演するという約束を交わしている秘話まで飛び出した。また「パク・ソジュンさんの登場は秘密にしていたため、公開された時に観客が驚いて喜んだ姿を見るのも楽しかった」と2人のカメオ出演を振り返った、イ・ジャンフン監督。

韓国では公開から15日で観客動員数が200万人を突破し、恋愛映画では最速記録となったほどの話題作だが、市川は「「いま、会いにゆきます」という小説は4回映像化されていますが、ソ・ジソブさんが演じている主人公が、小説で頭に思い描いていた像。どこか夢見がちで、現実味がなく、生活力も弱そうな。そういうところを体格が立派なソ・ジソブさんが演じると、自分の中でシンパシーが生まれて。監督ともシンパシーがバリバリの人でしたから、自分の中でしっくりと重なる映画だと感じました」と納得の完成度。

イ・ジャンフン監督も「この映画を観終わったあとに、隣にいてくれる人の存在がどれほど大切なのかを感じてくださったら嬉しいです」と根底にあるメッセージを訴えた。

「この映画は許しと寛容の物語だと思うんです。失敗した男が女神のような女性から、それでもいいんだよ、そのままでいいんだよと許される。許される物語が世の中からすごく少なくなっていて、裁きや罰する物語ばかりになっていると思うんですけど、観終わったあとに優しい気持ちになって帰れる物語は貴重になっているので、この映画でそういう気持ちになっていただければ」と市川は渾身のアピール。

最後にイ・ジャンフン監督が「みなさんがこの映画を気に入ってくださって、多くの方に知らせてくださったら、もしかしたらソ・ジソブさんやソン・イェジンさんがいらっしゃって宣伝をする日が来るかもしれませんので、どうかこの作品にたくさんの愛情を送っていただきたいと思います」と会場を沸かせながら呼びかけた。

取材・撮影 南野こずえ

『Be With You 〜いま、会いにゆきます』
配給:クロックワークス
(c)2018 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
シネマート新宿ほか全国にて公開中

記事が気に入ったらいいね !
最新情報をお届け!

最新情報をTwitter で