『いのち』京都国際映画祭ノミネート!スタジオリマップ制作秘話


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優しさと温もりを兼ね備えた歌声を持つ、シンガーソングライターhiwaの新曲『いのち』。言わずと知れた名曲を世に送り出し続けている、音楽家・コモリタミノルが楽曲を手掛け、数々の映画祭での受賞を誇るスタジオリマップがアニメーションでPVを担当している、豪華なコラボレーション作品。

本PVは『京都国際映画祭2015』にもノミネートされ、会場では涙を流していた方も多々。スタジオリマップが生み出す作品には、必ず人の心を動かすブレない芯が存在する。たかがアニメ、されどアニメ。感動に理由は要らないと素直に認めざるを得ないだろう。基盤となる絵コンテをYORIYASU監督が描き、エイイチがアニメーションで命を吹き込むというスタンスのスタジオリマップ。作品が生み出される過程で、ふたりは必ず衝突する。そう、今作でも・・・。
前記事【『hiwa「大切に歌い続けたい」スタジオリマップが手掛けた最新PV『いのち』】
の続きとなるインタビューです。

せっかくなので、ハンカチ片手に『いのち』PVをどうか最後までご覧いただきたい。

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まずは、スタジオリマップのご紹介。ヒゲも髪もフサフサな関西人がYORIYASU監督、ツルツルを隠している方がエイイチさん。ちなみに、おふたりは同い年です。

Q.制作する上で、苦労した点はありますか?
エイイチ 「ブログで書いている絵をコモリタさんに気に入っていただけたんですけど、ブログの絵はあまり細かく書いてないんです。コモリタさんからの依頼が「優しい絵」だったので、YORIYASU監督からもらった絵コンテのストーリーを、あの絵で表現することが難しかったですね。苦労したことでもあり、自分の絵で書けたから面白かったです」

エイイチ 「いつもはYORIYASU監督が、絵コンテとキャラクターデザインや動きや雰囲気など、作品の基盤になる部分を作っているんですけど、今回に関してはキャラクターのデザインとかも僕がやらせていただきました。僕自身、小さな子供がいるため、しぐさや表情がリアルに表現できたと思いますね」

Q.コモリタさん、hiwaさんの反応はいかがでしたか?
エイイチ 「コモリタさんが、絵コンテを見た段階で号泣してくださって。じゃあもう絵コンテでいいじゃんとスネた時もあったんですけど(笑)アニメーションができた時も号泣されていまして。あぁ、満足してもらえて良かったなと思いました。hiwaさんも「すぐ誰かに見せたい」と号泣してくださって。「誰かに見せたい」そう言ってもらえのるは一番の褒め言葉なんですよね」
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Q.今回はエイイチさんがキッカケとの事ですが。
エイイチ 「散々、監督にお世話になっているので、この仕事を僕から紹介できたのは、恩返しの一部分ができたかなという思いはありますね。ぶっちゃけ、ひとりでやろうと思ったんですけど(笑)オレが作るとカラオケビデオになっちゃうんで。人を感動させることを得意としている監督なので、やっぱり一緒にやってもらって良かったです」

Q.曲を聴いて、どのようなイメージで制作しようと思いましたか?
YORIYASU監督 「曲を聴いて、パッと全体像が浮かんだんです。時間がなかったのでそこからが大変で。外で考えようと思ったんですけど、その日は湿気がすごくて暑くて。そのまま1日考えてたんですけど、帰って靴を脱いだらめっちゃ臭くて。足汗かいてて。靴の臭いが取れず、新しいのを買いました。靴は今もベランダに干してます(笑)」

エイイチ 「それ、靴の話じゃん(笑)」

YORIYASU監督 「そのくらい、頭で一生懸命考えてたら、汗が足に……今まで無臭を貫いてきたのに。」
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YORIYASU監督 「臭くないから嗅いでみて」
記者 「・・・あ、臭くないですね!」
エイイチ 「俺のも!俺のも!」
記者 「あの、なんか、ちょっと変なニオイが・・・(以下自粛)」

Q.えっと・・・制作段階で、衝突したり意見が合わなかったことは?
YORIYASU監督 「初っ端からケンカしました」

エイイチ 「毎回、YORIYASU監督とはケンカするんですけど、初日にケンカしたのは初めてで。初日に和解できたんですけどね。仲直りした後、お互い気を遣うような「いいよ!」「ごめんね!」というあの優しい時間があって(笑)。初日ですごく揉めたけど、お互いギアがガチっと入ったかなと思いました」

YORIYASU監督 「今後も、もっと言い合ってやっていかないと、いい作品って生まれないんですよね。人と人だし、同い年だし。理解するところは理解し合って、ダメなところはダメって言ってやっていくのが理想です。気遣ってしまうとダメなんですよね」

エイイチ 「毎回、ケンカしないといい作品はできないんですよ。家で作業するってのは可能で、通勤時間を減らすことを考えたら会社に行かず、家で作業した方が効率はいいんですよ。でも、今回のケンカもフェイスブックやLINEとかで言っていたら、たぶん修復はしなかったですね。実際に会って、目を見て言い合うってのが大事なんだなって。本作を通して改めて思いました。俺は足臭くないですし」

記者 「はい、ありがとうございました(笑)」

作品を生み出す上で、経験や実績、ともに過ごす時間の積み重ねによって独自のスタンスが形成され、映像にも人となりがあるように、制作側の思いや背景が必ずにじみ出る。しかし、どんな人たちが作っているのか、どのような経緯があったのかを記事を通して知っていただくことで、生み出された作品はさらに意味を持つのではないだろうか。

“言葉にして、面と向かって本気でぶつかり合う”
分かり合うよりも分かち合うように、お互いを認める絆があるからできること。一緒に笑うことも欠かさない理想的な信頼関係が、非常にうらやましくある。そんな彼らを追い、書き伝え続けることが私の使命だと信じたい。スタジオリマップがテッペンを獲るまで。

取材:南野こずえ  イラスト協力:エイイチ

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