短編映画の魅力が詰まった『パルマジャパン国際短編映画祭2024』授賞式レポート



『パルマジャパン国際短編映画祭2024』が2024年3月23日にキネカ大森にて行われ、3年目の開催となる今回は『ブリュッセルファンタスティック国際映画祭』と業務提携しており、西ヨーロッパの選りすぐり作品もラインナップ。まさに映画祭のスローガンのごとく「世界VS日本 どっちがスゲェか見きわめろ!」な内容となっている。

短編映画の魅力は、一見簡単に作られているようで実に「ち密」に制作されている。わずか数分で観客をその世界に連れて行き、喜怒哀楽を刺激して去っていく。そんな作品を一日中映画館で鑑賞できる本映画祭のタイムテーブルは、約70分の中にジャンルを問わず4、5作品が組み込まれている5部で構成されており、1部からの通し参加はもちろん、途中参加もできるシステム。

映画祭の主催である藤井秀剛監督は、今回からの国際化について「日本は世界と比べて映画祭が意外に少ない。文化祭的なノリが多く、内輪だけで盛り上がって国内しか見ていないような映画祭ばかりに思える。国際映画祭でしかも変わった映画祭が出来ないかなと去年あたりから考えていた」と語り、自身の新作短編映画『樹海で首を吊る』はクロージング作品として上映された。樹海に入って行く自殺志願者の男とそこで出会った男との物語だが、首の裏が終始ゾワゾワし、最後には唸るほどの余韻が残るクロージングにふさわしい映画となっていた。

受賞結果は以下のとおり。

■PALMA BOLEX(グランプリ)
『Memories of the moon』Antoine Dricot監督

■PALMA ECLAIR (準グランプリ)
『私の愛を疑うな』浅田若奈監督

■最優秀監督賞
『陰謀惑星』鬼木幸治監督

■最優秀俳優賞
『私の愛を疑うな』高橋ユキノ

■ビスタビジョン賞(最高のアイデア賞)
『母乳』賀々贒三監督

■シネマスコープ賞(今後に期待するホープ賞)
『CDD:CORPUS CRISIS』M. ティカル監督

グランプリであるPALMA BOLEXを受賞した『Memories of the moon』は『ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭』の推薦作品。Antoine Dricot監督の来日は叶わなかったものの、ビデオレターで喜びをコメントした。
準グランプリのPALMA ECLAIRを受賞した『私の愛を疑うな』 は、最優秀俳優賞にも選ばれておりダブル受賞という快挙を成し遂げた。浅田若奈監督は「クイアな二人を撮影したのですが、私が生きていく中でずっと感じていたことや抱えていた怒りを凝縮させた作品。“個人的なことは生理的なこと”という言葉があるように、これを発表することで観た方になにか波紋が広がるように残っていただけたら」と力強い思いを語り、本作について藤井監督は「世界は幸せって求めて当然だよねの中で生きている。でも日本は幸せいっぱいじゃダメっていう空気というか呪いがある中『私の愛を疑うな』は幸福を追求して何が悪いという日本映画では珍しい映画だと思う」と称賛。

シネマスコープ賞(『CDD:CORPUS CRISIS』)を受賞したM.ティカル監督は「私の初めての映画上映でした。めっちゃ感動してます」と流暢な日本語で喜びを語り、ビスタビジョン賞(『母乳』)の賀々贒三監督は「この映画はアイフォンで撮りました。映画技術を持たざる若者にアイフォンがあれば映画が撮れると伝えたかった。共に映画に一歩足を踏み入れてくれたらいいなという思いで作りました」とコメント。
また、『啓示への抵抗』の本間湊監督は入賞は逃したものの「映画館で上映されることが一生に一度あるかないかなので嬉しかった。映画の優劣はないという考えなんですけど、撮りたいものができたらまた応募したい」と次回への意気込みを笑顔で語った。

授賞式が行われたレセプション会場では、普段はなかなかお会いできない制作者や映画関係者に直接感想や作品の裏話を気軽に聞けるアットホームな雰囲気に包まれおり、制作者だけでなく観客にとっても一期一会の出会いを生み出した『パルマジャパン国際短編映画祭2024』。受賞作など厳選された6作品が「パルマジャパン国際短編映画祭セレクション上映」として、2024年3月29日から4月4日までキネカ大森にて上映が行われる。

取材:内野ともこ 撮影:南野こずえ

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