不適切な時代に輝いた青春が蘇る『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』レビュー



故人となった今も人気が高い映画監督の若松孝二が1965年に設立した若松プロダクションを舞台とした青春映画『青春ジャック 止められるか、俺たちを』の続編といえる本作。バブル目前の今から約40年前、若松(井浦新)が名古屋で映画館を設立する。シネマスコーレと名付けられたそのミニシアターに若い人たちが運命的に吸い寄せられていった。

若松から支配人に任命された木全純治(東出昌大)、シネマスコーレでアルバイトを始める大学の映研所属の金本法子(芋生悠)、若松に弟子入りを決意する浪人生の井上淳一(杉田雷麟)など映画に魅了された人々が、夢と現実のギャップに悩みつつ泥臭く生きる様が心を打つ。この時代に青春を過ごした者の多くは、懐かしさを覚えるであろう。

今でいう常識が通用しなかった映画界。特に若松プロでは不適切なことがまかり通っていた。過酷な日々であったが、井上は必死に喰らいつく。常に怒鳴られながらも、映画への情熱と時々垣間見られる若松の優しさが夢を繋ぎ止め、やがて監督を任せられるようになるのだが。

本作の脚本・監督を務めた井上が、過去の自身を主役に据えて青春を振り返る群像劇ゆえのノスタルジックなテイストが心地よい。同時にシネマスコーレと若松の歩みが、側近ならではの視点から繊細かつリアルに描かれている点も見逃せない。若松の特徴を捉えた、生き写しのような井浦の演技は驚愕といえよう。雰囲気や話し方などの模倣力が抜群に高いのだ。他の映画監督や作品に対するガチな批評が飛び出すシーンは爆笑必至。若松の背中を眺めてきた井上にしか書けないセリフだ。若松ファンや作品に触れたことがある方ならタマらないはず。赤塚不二夫、昭和の河合塾、美加理などのエピソードも興味をそそられるだろう。無論、誰もが楽しめる青春映画なので、予備知識がなくても何ら問題はない。

文 シン上田

『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』
配給:若松プロダクション シネマスコーレ
©若松プロダクション
2024年3月15日(金)テアトル新宿ほか全国順次公開

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