『莉の対』ロッテルダム国際映画祭にて拍手喝采!ワールドプレミア上映レポート



舞台を中心に活動している俳優・田中稔彦(たなか としひこ)が初監督・脚本を手がけた『莉の対』(れいのつい)が、オランダの「第53回ロッテルダム国際映画祭」のタイガーコンペティション部門にて、現地時間1月26日にワールドプレミア上映を果たした。

本映画祭にて日本から選出されたのは、Limelight部門『悪は存在しない』(濱口竜介監督)、Harbour部門『春に散る』(瀬々敬久監督)、『ほかげ』(塚本晋也監督)など、そうそうたる作品が名を連ねているなか、邦画が選ばれることが稀であるメインのタイガーコンペティション部門にて、『莉の対』は無名でありながらも会期前に全3回の一般上映がすべて完売したため、大きく期待されていることがうかがえた。

本作は、東京と北海道を舞台に出会うはずの無かった二人の男女の物語であり、とりまく周りの人たちも様々な問題を抱えていることを映し出し、人間の脆さや弱さを自然の美しさと対を成すように描いた190分のヒューマンドラマ。

街一帯が映画色に染まっているロッテルダムは温かい歓迎ムードで、観客と制作者との距離が近いフレンドリーな雰囲気。“チーム莉の対”はキャスト・スタッフ9名の大所帯で現地入りをしており、上映後に持参したキービジュアルのポストカードをお客さんに手渡しするおもてなしとともに、着物で日本らしさをアピール。歩いていると声をかけられては写真撮影に応じるなど、映画祭の盛り上げにも一役買っている。

世界初披露となる1回目(現地時間1月26日20時)の上映後には拍手喝采となり会場が一体感に包まれ、キャスト・スタッフも歓喜をあらわにした。また、田中監督は留学経験とTOEIC930のスコアを保持していることもあり、「プレミア上映をこの素晴らしい映画祭で迎えられることが非常に嬉しく、この瞬間を長い間夢に見ていました。ここにいるみなさんと共有できることがとても幸せです」と流暢な英語で挨拶し、観客をうならせた。

【ワールドプレミア上映を終えての登壇キャストコメント】
・田中稔彦監督
エンドロールが流れている間、感動で身体がしびれる感覚がありました。
上映後のQ&Aセッションに向けて心の準備をしなければいけなかったので、それがなかったら正直泣いていたと思います。3年間、どれだけこの作品に時間を費やしてきたことかと振り返りつつ、協力してくださった方々のたくさんの笑顔や、仲間と共にした苦楽の日々が心に浮かび、その全ての想いが溢れ出すのを最後までグッと我慢しました。多くの方々から「Beautiful movie!」と言っていただけたことはとても嬉しい褒め言葉だと思っています。僕にとって最初で最高のワールドプレミアになりました。

・鈴木タカラ
演じたシーンがどのように編集されたのかと期待をしながら、完成した作品をようやく観ることができました。3時間超えの作品へのお客様の感想も気になりつつ、海外ならではのリアクションを上映中に感じられたのでとても新鮮でした。

・池田彰夫
初めての観客に観てもらう日だったので1日緊張していましたが、本編が終わってエンドロールになった時、沢山の拍手に感動して涙が溢れてきました。多くの方に支えてもらい、最高の景色を見させてもらいました。本当に感謝しています。

・大山真絵子
最初に笑いが起こったのがまさかの私のシーンで驚きました。海外ならではのオープンで率直なリアクションを体感しながら、作品が完成したのだと強く実感することが出来ました。多幸感に包まれた忘れられない3時間です。

・森山祥伍
上映が終わった後に、たくさんの拍手と「Thank you!」「Amazing!」の声があがり、自然と涙が溢れました。この作品が世界の人々に届いたことをとても幸せに思います。

・永井なおき
「何もないのが僕達の強み」そんな監督の想いこそが、多くの人を呼び寄せ、惹きつけ、この作品の完成にこぎつけたのだと僕は思います。その作品がこの映画祭で輝き始めたその瞬間に立ち会えたのは、本当に幸せです。

・舘若奈
監督があの大きなスクリーンを背に観客へ言葉を述べている姿が誇らしく、グッとくるものがありました。稚拙な表現ですが「ここまで頑張ってきて良かった」と。日本式のお出迎えとお見送りも喜んで頂けたようでした!

・和木亜央
初上映当日の朝、期待と不安が入り混じりこの作品にかけた想いや撮影時のことを思い出しました。上映後にいただいた温かい眼差しと言葉に全てが報われたような気分になりました。Dank u wel.(感謝)

 

田中船長のもとに必然的に集まったクルーを乗せた”莉の対号”が、日本から遠く離れたロッテルダムという地に到着した。船長の持っている力強いリーダーシップと時々見せる少年らしさに魅了されたクルーは、それぞれの特性を活かしては新たな可能性を生み出し、そして船はどんどん大きくなっている。この航海はまだ序章にすぎない。

取材・撮影 南野こずえ

『莉の対』(れいのつい)※英題『Rei』
上映時間:190分
キャスト:鈴木タカラ、大山真絵子、森山祥伍、池田彰夫、勝又啓太、田野真悠、菅野はな、内田竜次、築山万有美/田中稔彦
公式HP:https://reinotsui.com
2024年5月31日(金)より、テアトル新宿にて1週間限定上映 ほか全国順次公開

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