柄本佑・時生、ゴドーに魅せられた柄本親子『柄本家のゴドー』初日舞台挨拶
ドキュメンタリー映画『柄本家のゴドー』の初日舞台挨拶が行われ、柄本佑と柄本時生、撮影・演出の山崎裕が登壇した。(4月20日 ユーロスペース)
柄本明という名優を父に持つ佑と時生の柄本兄弟は、それぞれが俳優として活躍すると同時に、ET×2という演劇ユニットでも活動中。2014年に、ET×2はサミュエル・ベケットの不条理劇『ゴドーを待ちながら』の公演に挑んだ。この戯曲を選んだ理由について「若いときに『ゴドー』かましとくか、みたいな感じで」と語る佑。兄弟揃って「何がおもしろいかわからないけど笑える」と魅力にハマっていったという。
そして2017年に父・明の演出による再演が決定。『柄本家のゴドー』では、『ゴドーを待ちながら』に魅せられた柄本家の3人が稽古場での試行錯誤の様子がリアルに描かれている。
父が演出を担当することは運命だったといえよう。
「いつかは(演出を)やってもらわないといけないものと思っていた」(佑)
「家で『2回目、いつゴトーやるんだ? 演出はどうする? 次やるとしたら俺だよな』と言ってきて。親父はやりたいんだなと(笑)」(時生)
演劇青年だった60年代にベケットの作品に出会い、00年には石橋蓮司と共に『ゴドーを待ちながら』に出演したこともある明。佑が「壁にチョークで1本だけ木を描く美術プランは、親父にとっての大発明だったのでは」と語るぐらいアイディアは豊富。
ふたりの息子に稽古をつけるシーンでは、さまざまな表情を見せた。実際に自身の身体で手本を見せることもあれば、論理立てて演技法を熱く語ることも。俳優としての引き出しの豊さが映し出されていた。
山崎は「柄本明の百面相という気分で撮影していた」と語る。
そんな魅力に溢れる明と、ふたりの息子によってひとつの演劇作品が仕上がっていく過程はとても興味深い。
取材・撮影 シン上田
『柄本家のゴドー』
配給:ドキュメンタリージャパン