周庭、雨傘運動は香港の民主化運動の重要な第一歩『乱世備忘 僕らの雨傘運動』DVD発売記念上映会



2018年7月に全国公開されて話題を呼んだドキュメンタリー映画『乱世備忘 僕らの雨傘運動』のDVD発売記念イベント、周庭と映画『乱世備忘 僕らの雨傘運動』を観る会が開催された。

3時間以上にも及んだイベントの内容は、本作の実況オーディオコメンタリー上映とトーク。雨傘運動のスポークスマン的存在だった『民主の女神』こと周庭(アグネス・チョウ)、雨傘運動で金鐘地区のブロックリーダーを務めた葉錦龍(サム・イップ)、『香港バリケード』執筆者の伯川星矢の3人が熱く語った。(2018年12月27日 LOFT9)

雨傘運動とは、2014年9月から79日間に渡り香港の若者を中心に行われた、真の普通選挙を要求する民主化デモ。最大約10万人もの参加者が、香港の各エリアを占拠した。本作は、デモの前線に立ってカメラを回していた陳梓桓(チャン・ジーウン)監督が、デモの現場で闘っていた周庭や葉錦龍とは違う普通の参加者たちの視点から描いた密着型ドキュメンタリー作品である。

本作の映像を観ながら、当時のことを振り返る周庭と葉錦龍。危険な目には何度も遭遇したという。
「警察から催涙弾をかなり喰らいました。死んじゃってもおかしくない状況で、頭に血が上りましたね」(葉錦龍)

雨傘運動は危険を伴っていたが、楽しい思い出もあったという。
「寝たり、酒を飲んだりもしていました」(葉錦龍)
「オキュパイ(占拠)エリアで18歳の誕生日のお祝いをサプライズでしてくれました。会議のない日にはWi-Fiを探して、アニメをよく見ていました」(周庭)

常に緊迫した状況ではなく、さまざまな価値観を持つ人たちとの出会いもあり、「それが雨傘運動の素晴らしいところです」と周庭は語る。

9月26日から始まった雨傘運動は時が経つにつれ、市民からの反発が強まっていった。11月後半からは警察の排除が強まり、12月15日に遂に終了。

4年の年月が過ぎた現在の香港について、ふたりの意見は一致している。
「香港は変わった」

「中国政府からの弾圧がより激しくなった」(葉錦龍)
「香港の社会の雰囲気が変わりましたし、中国政府の香港に対するポリシーも変わりました」(周庭)

だが、決して希望を捨ててはいない。
「雨傘運動は香港の考え方を変えたきっかけ、民主化運動の重要な一歩でした。香港は私の家だから、希望を持っていないとダメ。あきらめてはダメだと思います」(周庭)

取材・撮影 シン上田

『乱世備忘 僕らの雨傘運動』
マクザムよりセルDVD発売中

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