続編希望120%!一生青春!『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督インタビュー



映画の面白さを改めて体感させてくれ、不思議と勇気を与えてくれる『カメラを止めるな!』。本作に出会えた喜びと興奮を、誰かに伝えずにはいられないこともムーブメントの要因と言えるだろう。監督・脚本を務め、今後の活動にも注目が集まる上田慎一郎監督にインタビュー!

Q.様々なメディアで『カメラを止めるな!』が取り上げられていますが、大ヒットしている実感はどのようにして感じましたか?
6月23日に2館から上映がスタートしましたが、当初は3週間の上映予定で、動員5000人を超えようという目標でした。それでも、この規模のインディーズ映画にしては高いハードルなんです。初めの頃は映画ファンの男性が多かったんですけど、徐々に客層が変わってきて。女性や若い方が増えて「あらあら!」と思ったんです。上映してくれる映画館が増え、アスミック・エースさんが配給に入り、大きな事態へとなりました。「2館から100館」や「何万人動員」と言われて、数字としてビックリしますけど、実感は掴みづらかったですね。

最初の2週間くらいは、毎日のようにみんなで舞台挨拶に行っていたのですが、お客さんから受け取る熱量が半端なかったので、これは遠くまで行けるかもしれない、すごい事になるかもしれないという予感はしていました。

街中で『カメラを止めるな!』のTシャツを着ている人とすれ違ったり、「隣のカップルがカメ止めの話をしていた」というツイッターを見たりとか、自分の生活の中に『カメラを止めるな!』という言葉が現れてきたり、オファーや驚きのニュースが数時間に1本入ってくる状況なので、実感を手の上に出して確かめている暇がなく、飛んできた球を大事に受け取って、投げ返すのが精一杯という嵐の日々です。

Q.しゅはまさんが演じる日暮晴美の特徴的なポーズ「ポンッ!」が生まれた経緯を教えてください。
護身術自体は実際にありまして、それを参考にして作りましたが「ポンッ!」という声を出す部分は自分でアレンジをしたという感じです。

Q.観る方たちに、何を一番訴えたいと思って製作しましたか?
訴えたいと思ったことはないんです。テーマやメッセージを考えるというのは映画の教本にも色々書いてあり、映画祭などでも偉い方に「この映画は何が言いたいのか?」を問われる事もあるんですけど、正直「うるさいな」と思ってしまうこともありました(笑)

テーマやメッセージは、自分の中からにじみ出てくるものだと思っているんです。まさに映画の中での「出すんじゃない。出るんだよ」というセリフのままで。テーマを設定すると、それに縛られて映画の自由さがなくなるし、押しつけがましくなってしまう。出るがまま、にじみ出るままに任せて、僕は面白さがど真ん中にくる映画を作ろうと。もちろん、テーマやメッセージがあることも大事ですが、僕はそのためにある映画にはしたくなかったんです。にじみ出るままにやっていたので、色んな解釈をしてもらえたのかなと。

Q.『カメラを止めるな!』の続編の可能性についてですが、ご希望として何パーセントくらいありますか?(スピンオフを含めて)
希望として、120%です!
と言っても、僕自身に明日何かが起きてしまうとかもあるかもしれないので、気持ちとして120%作りたい感じです。

Q.とても温かいファンが多いという印象ですが、ファンの方たちから受けた「熱々ポイント」は?
今は種類が増えましたが、初期は公式グッズがTシャツとパンフレットとポスターだけで、ファンの方がキーホルダーやバッジなどを作ってプレゼントしてくれました。公式Tシャツも色が黒と白しかなく、この黄色も手作りのプレゼントで。ほかにも、掛け時計や濱津さん(日暮隆之役)を象った粘土細工など、様々なオリジナルグッズをファンの方が生み出してくれて。それを劇場のロビーで受け取ったり、ツイッターで見かけるとすごく嬉しいです。

思春期に、ハリウッド映画をよく観ていたので映画を好きになったんですけど、SFとかは大嘘だらけのフィクションじゃないですか。そういう映画を浴びるように観て、映画監督を目指そうと思ったんです。フィクションが僕の現実を変えました。だから「陸上をやりたかったけれど、勇気がなかった。カメ止めを観てからはじめました」とか「諦めていたことに、もう一度挑戦します」など、この映画が観てくれた方の現実を動かしたという感想に、これ以上ない喜びを感じます。

Q.リピーターが非常に多いですが、上田監督にとって何度も観てしまうくらい好きな映画をいくつか教えてください。
映画館で観られなかったのが残念ですけど『愛のむきだし』は繰り返し観ています。あと『桐島、部活やめるってよ』『花とアリス』『横道世之介』は何度も映画館に観に行きました。ほかにも『パルプ・フィクション』『マグノリア』『ラヂオの時間』・・・挙げ出したらキリがないですね(笑)

Q.映画監督を目指したきっかけ、影響を受けた映画はありますか?
小さい頃からロボットと怪獣を戦わせて物語を作ったり、中学生の頃には、お父さんが買ってくれたハンディカムで友達と映像を作ったりはしていました。お父さんに映画館に連れて行ってもらったり、友人宅の書斎に映画のビデオが沢山あったので、それを借りて浴びるように観ていたらハンディカムで映画を撮るようになって。大学や映画学校に行ったりはしていないので、映画を観て、撮って、体で学んでいったという感じです。

Q.「出すんじゃない、出るんだよ」といった名言が沢山盛り込まれていますが、上田監督の座右の銘や大事にしている言葉を教えてください。
一生青春です!

Q. 劇中で「安い、早い、質はそこそこ」というセリフがありますが、上田監督のキャッチコピーがありましたら教えてください。
自分で付けたわけではないのですが、20代前半の頃に無謀で無知で自信過剰だった時があったんです。ポジティブの塊みたいな。「小説を出してベストセラー飛ばすぜ!」とか「世界一の映画監督になるぜ!」など、ビックマウスをネットに書いていたら、「遠回りしないで映画だけをやれば」など、大人たちが諭しにきてくれるんですけど、それをポジティブに切り返していたんです。どんなことを言われてもワクワク、テカテカして返していたので、その時期は“ワクテカ”と呼ばれていましたね。スローガンという感じでは「100年後に観てもおもしろい映画」はあります。

Q.夢に挑戦している方へ、ご自身の経験も踏まえた応援メッセージをお願いします。
若い頃に、詐欺に遭ったりホームレスになったりという失敗をしてきたんですけど、失敗がすべて今に繋がっていると思うんです。成功よりも失敗する方が人生面白い。

成功に甘んじて守りに入るのではなく、いつでも転べる準備はできているというか、挑戦は続けていきたいと思います。何も挑戦しないと失敗はないので、若い頃は失敗を集めるくらいの気持ちで生きた方が人生楽しいし、先々に利子をつけて返ってくると思います。

取材・撮影 南野こずえ

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■暴走!ロケ地めぐり『カメラを止めるな!』&上田監督トークショー

『カメラを止めるな!』
(C)ENBUゼミナール
配給:アスミック・エース=ENBUゼミナール
大ヒット公開中!

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