のん、新バージョンに手ごたえ『この世界の片隅に』夏の再上映舞台挨拶
国内外で約70の賞を受賞してきた『この世界の片隅に』の夏の再上映舞台挨拶が行われ、主人公・すずを演じたのん、片渕須直監督が登壇した。(2018年8月15日 テアトル新宿)
第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、すずという女性の日々を描いた本作は、2016年11月12日の公開初日から途絶えることなく642日というロングラン上映が続いており、今なお支持されている。また、約30分の新たなシーンが足され「さらにいくつもの人生」が描かれた新バージョン『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が12月に公開となる。
笑顔で登壇したのんは、公開当初にもここで舞台挨拶をしており「すごく久しぶりにテアトル(新宿)に来れて嬉しいです」と挨拶し、片渕監督も「一番最初に舞台挨拶をここでして、並びも同じで。まだそういうコンビで続けられているのはありがたいなと思います」と2人揃って登壇できたことが嬉しい様子。
ずっと上映が続いていることに対して、片渕監督は「作っている時はクラウドファンディングで支援をお願いするところからはじまった映画ですが、出来上がった後も沢山の方々に応援していただいて今日に至っています」と感謝を述べ、のんも「こんなに長く作品と付き合っているのがはじめてなので、とても貴重な体験で。こんなに皆さんに愛されている作品は世界中でもこの作品だけなんじゃないかと自分で思ってしまうくらい、すごく嬉しいです」と喜びをあらわにした。
既に解禁になっている『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の特報を新たに録音した際、「すずさんを演じてから期間が空いていたので、不安な気持ちがあったんです。ブースに入って何度かやっているうちに「大丈夫だ」と思って。手ごたえを感じました」と自信をのぞかせたのんに対して、「録音したものを原作者のこうの史代先生が聞いくださって、「いままでにない大人の声のすずさんですね。すごく良かったです」って言ってくださった」と片渕須直監督が明かすと、「嬉しいです。褒め言葉ですよね?」と思わず確認する一幕も。
すずと出会った人々にもフォーカスを当てていく『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の本編録音はまだ行っていないため、のんは「これから付け足していくシーンは、こうの先生が仰るようにちょっと大人っぽいすずさんだったりするので、その部分の解釈をもっと掘り下げていきたいです」と意気込みを語った。
400館以上の劇場で上映され、動員数209万人を記録している本作。のんは「これから『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』も公開されるということで、また沢山の方に観ていただけるチャンスかなと思っています。お楽しみに!」と新バージョンについても呼びかけた。
最後に片渕監督が「機会を与えていただけるなら、まだまだこの映画の上映を続けていきたいなと思います。この映画のなかですずさんが生きている訳ですが、それだけでなく、町や人々、飛んでいる鳥たちなど、そういう空間があって。映画館が一番良く再現できるんじゃないかなと思います。これからも劇場での上映が続いていくといいなと思います」とさらなる意欲を示した。
取材・撮影 南野こずえ
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
(C)2018こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
テアトル新宿・ユーロスペースほかにて12月全国公開