等身大のオトナ男再生記『お盆の弟』主演・渋川清彦スペシャルインタビュー


obonbrothers_08無精ひげに、はにかみ笑顔がキュートで、ダンディズムな色香が漂うカメレオン俳優の渋川清彦さん。今回はご出身の群馬県を舞台にした映画『お盆の弟』で、中年の危機に遭遇しながらも、映画監督の夢を諦められないタカシ役を好演されています。ダメダメなのに愛さずにはいられない、そんな男性を演じさせたら天下一品!キレよくぽんぽんと答えてくれる渋川さんに、生きる上で大切な姿勢をご教授いただきました。

Q:ご出身の群馬県で主演映画ですが、初めて台本を読まれた時の印象を教えてください。
渋川:どうだったかな・・・。初めて読んだ時は、嬉しい反面、これ俺、ずっと出てるじゃねぇか!って(笑)。台詞は長いし、覚えられんのかな、どうしようかなって思ったのが、率直な感想ですね。
-台詞はいつも、どのように覚えられるのですか??
渋川:永遠とひたすら読むだけ。
-ずっと出られるよりは、ちょっと出て印象を残す役の方がお好きなんですか??
渋川:これは難しいな。ちょっと出るのも、雰囲気が出来上がっているところに、ぽんと行くわけだから、やっぱり凄い緊張するし。今回はずっと現場にいるから、リラックスして出来るっていうのもあるんだけど、上手いバランスでやるのが一番いいかな。あまり忙しいのはちょっと(笑)っていうのがあるんですよね。

Q:群馬の空気とシンクロした、すっと入ってくる作品ですが、役作りはどのようにされたのですか?
obonbrothers_07.jpg 渋川:役作りは、そんなしないですね。
-いつもされないのですか??
渋川:何が役作りかっていったら、よくわかんないけど。今回は群馬の言葉だし、大崎(監督)さんもみてるし、映画監督もいっぱい知っているし、だからそういう感じでやってるというか。
-大崎監督とは作品に入られる前に「こういう感じで!」って、すり合わせはされましたか??
渋川:こういう風にやってくれとかは、ほぼなかった気が。大崎さんも、言う人じゃないんで、そのまんまで。だから現場中、ちょっと不安になった時ありますよ。大崎さん言わな過ぎるから「大丈夫なんですかね??」って、一回言ったことがあります。そしたら「大丈夫ですよ」って全部任せてくれました。

Q:モノクロだからこそ「ここが凄いな!」って、感じることはありますか??
渋川:モノクロによってどこがどう違うとか、上手く説明出来ないですね。感覚的に凄くノスタルジックだなぐらいかもしれないですね。
-とても自己主張が多い、共演者の方々の印象を教えて下さい。
渋川:光石(研)さんは凄くやり易くて、(渡辺)真起子さんもよく一緒にやっているから自然と出来るし、(河井)青葉ちゃんも自然に出来るし、岡田(浩暉)さんはつくりこんできてちょっとびっくりしました(笑)。
-岡田さん、とても絶好調な感じでしたね。
obonbrothers_03.jpg 渋川:岡田さんだから(笑)!俺は、(役を)作っていくタイプではなくて、現場で反応するタイプだと思ってて。岡田さんは「これはこうだ!」って、凄く役作りをしてきたんだと思う。

Q:同郷の岡田さんとされた、印象的なエピソードはありますか??
渋川:岡田さんの地方では、こういう言葉遣いをするとか。俺は渋川で、岡田さんは太田ってとこなんだけど、大分離れてるから、多少違うんだよね。岡田さんの方が、歳も上ってこともあって、親父さんが使っている言葉も使ったりもするし。
-普段は、地元の言葉を使われることが多いですか??
渋川:ほぼ標準語で、よくつっこまれるのが語尾くらいだから。「~だんべ」っていつも言うんだけど、「だんべ!だんべ!」ってよく突っ込まれる。「やってるんだんべ」は、「やってるんだろ?」みたいな。

Q:劇中に出てくる「面白い人特集」に、渋川さんが出られるとしたら、どんなエピソードを披露してくださいますか??
渋川:え?なに?俺がなんか面白いことやるって??(笑)。映画の真似なんだけど、『グリース』ってジョン・トラボルタ(主演)ので、確かタバコを口の中に隠すの。それはやって、よくやけどしてた。
-それは、たくさん練習されたのですか??
渋川:練習した!そりゃ、するでしょ!やけどもした。でも酔っぱらってるから、大丈夫なんだよ(笑)。見ててかっこいいな、すげぇーなと思って。で、これ(タバコ)を口に入れたまま、トラボルタは確かね、鼻から煙出したんだよ。そこまでは中々。

Q:映画の中でも言われてましたが、かっこ悪い人ってどんな人だと思いますか??
obonbrothers_04.jpg 渋川:結構あるけど、凄くあるんだけど、上手く言えないな。何か、金に汚い奴はかっこ悪いし。
-今までご自身で、こういう時はかっこ悪いなって思うことは??
渋川:例えば、割り勘なのにちょっと高くて、だけど言えないみたいな。これ全然違うじゃない!みたいな時も、そんな金のことで言うの嫌だし。千円貸しているのに、全然返って来ないとか。千円くらいいいやって、自分で貸したのを忘れているくらいの方がいいんじゃないかな。
-逆にかっこいいと思うのは、どんな人ですか??
渋川:いっぱいいるけど、法に触れてても何か正しいことってあったりして、それを自信持って出来ている人は、凄くカッコいいなと思うし。いっぱいいるよ?職人さんとか、やっぱり根本がかっこいいなと思う。
-何の職人さんに、一番惹かれているんですか??
渋川:何でも!寿司屋の職人でも、何か作っている大工の職人でも。

Q:大切な人を元気付けるための、必殺技って何かありますか??
渋川:必殺技?!面白いね(笑)。ないね。
-実際にそういう人が近くにいたら、どうされますか??
渋川:お兄さんみたいな人がいたら、まぁ、特に何かするとかじゃなくて、なんとなくいるとかじゃないかな。
obonbrothers_06.jpg -ご自身が元気ない時は、どうしてほしいですか??
渋川:ほっとくかな。時間が(解決してくれる)。そう考えると、そこまで落ち込むってことはないかもしれない。自分が悪いことやってて、「あー」って思うことあるけど、すぐ忘れちゃうかも。
-寝たら、残らないタイプなんですか??
渋川:そう!寝たら残んない風だと思う。
-本当は、表に出さないようにされているのではないですか??
渋川:それもあるかもしれないけど、そこまで引きずらないかも。でも俺ね、最近出てないけど、円形(脱毛)が昔よく出てて!映画でも出そうと思って、『ナイン・ソウルズ(豊田利晃監督)』って、実際あるんだけど。鈴木卓爾さんの役が、円形脱毛症にしようかって感じだったんかな?(円形脱毛って)やっぱり、隠すようにするじゃん?でも出したら、大丈夫になるんじゃないかなと思って(笑)。豊田さんに「実際ありますよ!使っていいっすよ」って、そしたら「じゃ、使おうか」ってなって、そしたら、ちょっとそういう役になったんだな。
-出てる時は、寝て忘れられれば、みたいな感じですか??
渋川:長かったのは、半年ぐらいの時もあるからね。そうすると、やっぱり気になるじゃん。ずっと気にしてるから、治らなかったりして。で、いつの間にか時間が経つと忘れていくんじゃない?

Q:夢を追い続けるための秘訣は、何かお持ちですか??
渋川:なんだろう。秘訣はないな。なんとなく続けられている気もするからね。
-考えない方が、いいものですかね??
渋川:性格によると思うけど、凄い一生懸命やって、ちゃんと出る人もいるし、凄い一生懸命やっているけど、出ない人の方が結構多いけど、逆にちょっとサボっているやつの方が、良かったりする感じもするんだよね。身体を作った方がいいけど、ちょっとめんどくせぇなって思っているとか。食欲に、ラーメンに勝てなかったりとか。なんだろうね、わかんないよね?こればっかりは。
-今は何に興味がありますか??
渋川:突っ込んでくるね(笑)。日本の色々なところに行きたいな。まぁ、どっか行って、古いラーメン屋とか探すのが。

Q:神様に願掛けをするとしたら、色々な所に連れて行って下さい!って感じですか??
渋川:するとしたらね。あまりしないけど。こうやってる(手を合わせている)だけ。無心、無心。こうやって、風の音聞いているの。
-住所を唱えたりはしないんですか??
渋川:しないしない!(映画で)初めて知ったもん。
-願い事はされないのですか??
渋川:最近ないかも。「いつもありがとうございます、これからもお願いします」みたいな。それがお願い事かも(笑)。

Q:では最後に、ご自身で映画を作られるとしたら、どういうプロットになりますか??
obonbrothers_05.jpg 渋川:作るとしたら『小原庄助さん(清水宏監督)』みたいな、やっぱりそういう映画が好きなのかな。凄いのんびりしている映画で、伝説の小原庄助さんって実在した人かな?『会津磐梯山(「小原庄助さん なんで身上つぶした 朝寝 朝酒 朝湯が大好きで それで身上つぶした ああもっともだ もっともだ」と歌われている)』って歌があって、そういう企画がいいな。大河内傳次郎っていう凄い時代劇俳優スターがいて、その人の役は、地元で代々のお金持ちなんだけど、借金してまで、人のために全部金使っちゃうの。人の頼み事を断れない人で、家を潰しちゃうんだ(笑)。で、奥さんが「あなたはなんでそういう人なのかねぇ??」って。すると、「いいだろう、別に。自分が苦労するよりいいだろう?家柄より、人柄だよ!」みたいなこと言うんだけど、かっこいいなっと思って。
-やっぱり、お金気にしない人に・・・
渋川:っていうことじゃなくて(笑)。うん、そうだね。(お金を)気にしない、そういう『小原庄助さん』みたいな映画を作りたい!だって、ロバに乗ってるんだよ?(笑)。ロバに乗って、毎日何をする訳でもなくさ。「酒飲もうか」っていったら、すげぇ付き合ってさ、「俺んち来い!」って、そういうのんびりした映画がいいかも。寅さんもそうじゃん!寅さんもさ、お金ないけどさ、「いいよ、持ってけ」って、いつも間違えて、百円札じゃなくて一万円札渡しちゃう。(財布をぱんって出して)これで払っておけって、全然入っていないっていう(笑)。とりあえず、かっこいいね。
-今回の映画のかっこよさは、ちょっとのんびりしているところですかね??
渋川:かっこよさは別にそんなない。これはいいんじゃないかな?別にかっこよくなくて。かっこ悪いのがいい、みたいなところじゃない?だって、この人も別にお金の為じゃないもん。好きな映画の為に、なんかやろうとしてるからさ。

取材:佐藤ありす

【STORY】
obonbrothers_02.jpg 兄弟仲良くボチボチと、、、
不惑を目前に妻子と別居中で、兄マサルの暮らす実家に戻ってシナリオ作りに励む売れない映画監督のタカシ。悪友の藤村を通して知り合った女性・涼子を気に入ったタカシは、涼子のような女性が兄と付き合ってくれれば安心だと考え、頻繁に会う機会を作っていたが、涼子はタカシに対して本気になってしまう。一方、妻からはついに離婚を切り出され、なんとか妻の気持ちをつなぎとめようと躍起になるタカシだったが、映画の企画はうまくいかず・・・。

お盆の弟
監督:大崎章
脚本:足立紳
音楽:宇波拓
出演:渋川清彦、光石研、岡田浩暉、河井青葉、渡辺真起子
配給:アルゴ・ピクチャーズ
(C) 2015映画「お盆の弟」製作委員会
7月25日(土)より新宿K’s cinema、8月1日からシネマテークたかさき他、全国順次公開!
ステッカー付き、前売り券も要チェック♪

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