【インタビュー】それぞれの『Father』


IMG_3220父と子をテーマに、3つのオムニバスからなる映画『Father』。
今回、『俺の屍を越えてゆけ』主演の尾関伸嗣、父親役の水野直。『手を伸ばせば』主演の青柳尊哉。『ヴァージンロード』主演の桜木梨奈。そして『俺の屍を越えてゆけ』では、優しく包み込む母親役を演じている、黒田福美にインタビュー。

◆数々のドラマや映画で確固たる存在感を放ち続けている、女優・黒田福美。役者としての姿勢、本作への強い思いを語っていただいた。

本作に出演されて感じたことは?IMG_3211
映画って、大映画会社が作る作品もあれば、送りたいメッセージがあって、今回のように持ち出しで作られたハートウォーミングな作品も沢山あると思うんですね。俳優であるからには、そういうことを抜きにしていい物に参加させていただきたいですし、若い方と一緒に仕事をすると、反省させられる部分も見えてくるんです。自分たちが陥っている迷路のような部分や、初心をもう一回思い出すように。俳優にはキャリアは関係なく、1つの舞台に立ったら同じ。演じることの喜びや新鮮な味わいがありまして、とっても楽しかったです。

父親という存在について。
母親は、苦労させたくないからガミガミ言ってしまうんですけど、父親って一歩引くんですよね。その子の人生だから見守るというスタンスで。でも、一家の責任を取る時、絶対出てくるのは父親ですので、腹のくくり方はやっぱり違いますね。今回、どの作品にもそういう部分ってあったんじゃないかなと思いました。誰にでも父親のいない人はいないので、どこかに父親のあるべき姿、いないとしても父親のような物、心の中の父親など色々あると思うんです。

父親っていうのは寡黙で物は言わないけれど、全てを支えているからこそ何かがあるということに、つい気が付かないことって多いと思うんです。今回の作品では父の在り方が様々に描かれているので、存在意義を改めて振り返る映画になってくれたんじゃないかなと思います。

 

◆最初で最後の親子喧嘩を描いた『俺の屍を越えてゆけ』より、主演・尾関伸嗣、父親役・水野直。
◆ 養女と知った娘と父の複雑な心境を映し出した『ヴァージンロード』より、主演・桜木梨奈。
◆目が見えなくなった父と息子たちの葛藤と幸せを問う『手を伸ばせば』より、主演・青柳尊哉。
今回の役を演じた上で、それぞれの実父への思いを語っていただいた。

尾関伸嗣 『クロコーチ(5話,6話)』(TV)、『軍師官兵衛』(TV)などに出演予定。IMG_3127
ウチの親父は少年野球の監督をやっていたり、今回の作品に出てきた昔っぽい感じで。殴られたりとか、昭和な感じです。なので、今回の父親も違和感なく関係性を作れたかなって思ったので、そういう意味では自分の親父にも感謝しています。
昔、ボコボコにされた時があったんですけど、あの時の殴った親父の気持ちって、自分も大人になったので何となく分かる気がしました。

水野直 『彼岸島』(TV)、『清須会議』(映画)などに出演予定。
本作は、拳と拳のキャッチボールのようなものが伝えたいメッセージとしてありまして。それは、演じていても言葉とかで伝えるだけじゃなく、お互いの思いを感じられました。僕にも子供がいたら、こんな関係がいいなと思いました。

青柳尊哉 『清須会議』(映画)、TBS2014年1月期ドラマ(TV)などに出演予定。IMG_3150
作品は父が倒れて目が見えなくなるという設定ですが、これを作る時に色々考えたんですけどリアルじゃなかったんです。どう考えても自分優先だったんです。そこまでできるかなぁとか。でもきっと揺れるんだろうなぁと思ったので、自分の中の内側の振れ幅だけは大事にしようと思いました。
でも最近、実際に父親が倒れてしまって。その時に自分が想像していた以上に動揺して、予想以上にダメになるというか。父親がいなくなるということ、ずっと大きいと思っていた物がいなくなる怖さを痛感しました。

桜木梨奈 『死神ターニャ』、『華魂』(映画)などに出演予定。
10歳の頃にお父さんがガンで亡くなって。IMG_3071子供の頃はガンって言われてもピンとこなかったんです。お母さんに「今日お見舞い行くよ」って言われても友達と遊ぶことを優先していて。しかも治ると思っていたので、死ぬなんて思っていなかったんです。でも、病状が悪化して、言葉が喋れなくなって…だから、もっと色んなことを喋りたかった思いと「お父さん、ごめん」っていう気持ちがずっとあったんです。
今回の役で、お父さんと一緒にヴァージンロードを歩いたんですけど、ジロウさん(父親役)も私のことを本当の娘のように思ってくれていて。私にとっても本当のお父さんなんです、気持ち的には。本作はお父さんのことを考えて欲しいってテーマなので、私のような思いはしてほしくないですし、お父さんにちょっと電話してもらえたらとか、そういう気持ちになってくれたら嬉しいです。

☆こちらの記事も併せてお読みください☆  ⇒ 笑顔と涙の『Father』初日舞台挨拶

IMG_3224初日舞台挨拶の裏側でキャストへの声がけや準備に笑顔で勤しんでいた、『手を伸ばせば』の正木佐和(左)。『俺の屍を超えてゆけ』『手を伸ばせば』の撮影を担当した道川昭如(右)をはじめ、劇場に行けばアットホームさに触れられ、思わず温かい気持ちになるだろう。製作の経緯は、プロデューサーである美斉津明子が、本音で語り合うことないまま亡くした父への長年の想いから始まった。それに賛同するように集まった監督、キャスト、スタッフなど多くの方が本作への協力を申し出た。さらには製作費の一部はクラウドファンディングによるもの。公開を迎えるまでの中で、関わった方々の想いがスクリーンに刻み込まれていることを感じずにはいられない。
そして、作品を支える全ての存在こそが『Father』である。

取材:スチール撮影・文 南野こずえ、取材:吉田遊介

『Father』
シネマート新宿にて、11/2(土)~11/15(金)公開!
11/2(土)から11/8(金) 10:30~モ-ニングショー。スクリーン2(62席)
11/9(土)から11/14(木)20:45~レイトショー。スクリーン2(62席)
最終日11/15(金)のみ 21:15~ スクリーン1(335席)

当日:一般¥1800/大高¥1500/小中シニア¥1000  ※チラシにお得な割引券が付いてます!
© ㈱アルファセレクション 配給アーク・フィルムズ
公式サイト http://www.father-movie.com/

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