松坂桃李の“究極の熱演”に爆笑!『彼女がその名を知らない鳥たち』初日舞台挨拶



『彼女がその名を知らない鳥たち』が初日を迎え、W主演の蒼井優と阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊、白石和彌監督が舞台挨拶に登壇した。(2017年10月28日 新宿バルト9)

「共感度0%、不快度100%」のコピーが掲げられている本作は、過去に付き合っていたクズな男・黒崎を忘れられずにいる十和子と一緒に暮らす不潔な男・陣治。十和子が妻子持ちのゲス男・水島と関係を持っていることを知った陣治は、それでも執着を絶やさないというストーリー。全員が最低だが、隠された真実とともに究極の愛とは何かを突きつけられる。

開始早々に阿部のマイクが入らないトラブルがおき、隣にいた竹野内がさっとマイクを渡すと客席からは「優しい!」と歓声。照れくさそうにしている竹野内に対して「優しいんですよ」と阿部が輪をかけ、和やかムードではじまった。

自分勝手な十和子を演じた蒼井優は、男性3人との共演について「それぞれに対して違う面を見せていけたらと思った。阿部さんとのシーンはホントに汚いところが多くて、松坂さんとはキラキラした場所での撮影で、竹野内さんとは嘘みたいに白い家や白い砂浜で。3本の作品を撮っている感覚」と本作の見どころを語った。

不潔な男・陣治役の阿部サダヲは、関西弁での演技について「言葉にすごく苦労しました。鬼のような方言指導がいて厳しかった。大阪でしか撮れない絵が撮れているけど、僕のシーンは汚いところばかりで(笑)」と笑いを誘った。また、水島を演じた松坂桃李は共感してもらえない役どころについて「最初と比べて後半は憎悪が湧くくらい落差がでるんです。薄い感じが自然とわかると思います」とゲス男っぷりをアピール。

一見、誰もが落ちそうになるクズな男の黒崎について「こういう役どころが今までなかった。どんなイメージで演じたら良いかを監督に相談したら「最低で最高だったらいい」と言っていただいた」と竹野内豊は役作りに悩んだことを吐露すると、白石和彌監督は「今までの映画でクズをいっぱい撮ってきましたが、黒崎は擁護のしようのないクズなんです。しかし、台本では描き切れていない悲しみや孤独の感情がないまぜになっている男だからこそ、竹野内さんなら表現してくれると思った」とオファーの理由を明らかにした。

「究極の○○なエピソードを教えてください」という質問に対し、蒼井は「“究極の寒がり”です。今の時期ぐらいがギリギリロケに出られるんですが、近年の私のスケジュールを考えても真冬は舞台をやってて。痛いよりも寒いという感情が一番嫌いです」と寒さに弱いことを告白。

阿部は「“究極の選択でお芝居をはじめたこと”が一番良かったですね。芝居をはじめる前はトラックの運転手をしていて、演じた陣治みたいな感じで、金髪でヒゲも生やしていたのでもっと汚かったんです。そんなやつがここに立たせてもらって。芝居をやっててよかった!と。でも陣治の格好は心地よかった」とまんざらでもなかった様子。

松坂は「“究極に怖かったこと”があって。過去にカンボジアで撮影をしていた時、アンコールワットの朝焼けを1人で観に行ったんですよ。そうしたら現地の5人ぐらいの男がナイフを持って駆け寄ってきたんです。これはヤバイと思って、アンコールワットの中に逃げ込んで観光客の人に助けてもらったことがありました。怖かったです」と危険な体験を吐露。

竹野内は「俳優をやっていて、いい時も悪い時もありましたが、今回の白石監督の現場は映画に対する情熱が深い人だと感じて。“究極の映画への白石愛”みたいな」と監督への敬意を表した。

白石監督は「この映画を撮っていて“究極の熱演”ってこういうことだなと。(松坂)桃李くんが最終カットで熱演してくれて。ありがとう!と思いました」との言葉にキャスト陣は「熱演でしたね」と言いながらも爆笑。同シーンで共演していた阿部が「早くはけてくれと思ったもん」と続けると「だって、そういう指示があったんだもん」と松坂はタジタジに。

最後の挨拶で阿部が「余韻に浸れる、色んなことを話し合える映画で、愛とは恋愛とは何だろうと。いい映画に出させていただいて本当に嬉しいです。僕が持っているのは“竹野内様”って書いてあるマイクなんですよ(笑)すごく嬉しいです。いい映画だと思ったら友達とかに伝えてください」と笑いを込めつつ呼びかけた。

「今日からこの作品をみなさんと共有できることが嬉しいです。今年亡くなられた中嶋しゅうさんの最後の映像作品になっています。芝居の面白さを私に教えてくださった偉大な偉大な先輩で。差し出がましいけど「国枝役はしゅうさんでどうですか」と監督に提案させていただいて。私の夢が叶いました。びっくりするほど気持ちの悪い役ですけど、愛らしい方なんです。しゅうさんの姿と松坂さんの熱演を目に焼き付けていただけたらなと思います」と思いのたけを語った蒼井が締めくくった。

取材・スチール撮影 南野こずえ

『彼女がその名を知らない鳥たち』R15
新宿バルト9他 全国公開中

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