監督・齊藤工×高橋一生『blank13』舞台挨拶(したコメ)



下町の魅力をコメディ映画を通して堪能できる『第10回したまちコメディ映画祭in台東』(略称したコメ)が、にぎやかに開幕。ゲストが一斉に登壇したオープニングセレモニーでは、小松政夫、LiLiCo、軽部真一アナなど個性豊かな面々が揃った。(2017年9月16日 浅草公会堂)

萩本欽一は「今日はタキシード着て良かったと思います。高橋一生さんと握手してもらいました。本当によかった!」と欽ちゃん節で挨拶をし、『blank13』の齊藤工監督は「(服装が)ハリー・ポッターですが、上映する作品は『ハリー・ポッター』ではありません(笑)総合プロデューサーのいとうせいこうさんが10年築いてくださったステージに、自分の作品を素晴らしいキャストと戻って来れたことを光栄に思っております。祭りなので、楽しんでいってください」と力強く映画祭をアピールした。

オープニング作品として『blank13』が上映され、齊藤工監督、高橋一生、神野三鈴、金子ノブアキ、大水洋介(ラバーガール)、大西利空が舞台挨拶に登壇し、ティーチインが行われた。

俳優の齋藤工が「齊藤工」名義で監督を務めている本作は、主演の高橋一生と兄弟役の齋藤工が、リリー・フランキーが演じる失踪していた父の葬儀で、参列した人たちから空白だった13年間の父の姿を知っていくストーリー。葬儀という厳粛な場に佐藤二朗をはじめとした強烈なキャラを揃え、笑いと温もりが込められた意欲作であり2018年2月に公開予定。

MC 監督としてどんな思いでいますか?
齊藤工監督 これは、バラエティの放送作家のはしもとこうじさんの実話なんです。この物語をとても面白可笑しく僕に話してくださったんです。面白いなと思いながらも、どこか他人事じゃなく、心当たりのある物語だと思ったんですね。そこからはじまった制作過程で。はしもとさんのご家族に感謝したいです。

Q. ロケを組む際に、どんなところに重点を置いて探されたのですか?
齊藤監督 この物語は、ほぼ2シュチュエーションで葬儀場と回想で出てくるアパートの2ステージにしました。足利市がすごく協力的ということもあったし、いろんな環境も整ったんです。撮影期間は1週間で、その時間の中で十分に撮れると思いました。

Q. 大きなお葬式をやっている隣で、主人公の父の小さなお葬式をやっているシーンがありますが、どちらで送られたいですか?
大水洋介 絶対あの(主人公の)お父さんじゃない方がいいです!
金子ノブアキ 下北沢生まれで実家が葬儀屋さんなんです。子供の頃からいろんなお葬式を見てきました。人の価値はそこで決まらないんけど、大事な人が来てくれるのが嬉しいので……どっちかは決めらんね!(笑)
神野三鈴 私も決められないし、選べないとは思います。忘れられない自分との思い出をわざわざ喋りに来てくれる人生がいいです。
高橋一生 どうしても比べてしまうと思うんですけど、自分の人生を自分が肯定しないとはじまらないと思うんですよね。自分のことを好きになってあげるとか。比べてしまう人がすごく多くて、隣の庭ばっかり見てて。自分の庭を綺麗にしていこうというメッセージが『blank13』には入っていると思います。僕は甲乙つけがたいです。
齊藤監督 (劇中にも出てきますが)泣き屋っていう、知らない人の葬儀を盛り上げるという職業があって。来ている人はどう感じているかをこの映画で描きたかったことでもあります。

Q.高橋一生さんが着ていた劇中での白いTシャツは自前ですか?
高橋 自前じゃないです!(会場笑) 

Q. 高橋一生さんの野球のフォームが微妙だったんですけど、実際は野球はやっていましたか?
高橋 やってはいました。僕の体のコントロールの仕方だと思います。すいませんでした! 

Q. 葬儀のシーンで個性的なキャラクターが揃っていますが、監督の思いやエピソードは?
齊藤監督 あそこが肝になるなと思っていました。キャスティングは原色を強めにお声掛けして奇跡的なメンバーが集まってくださったなと。設定だけはお伝えして、基本的には長回しで後半はドキュメントで。何が起きても撮り続けることにトライし、僕がリスペクトしている方たちをキャスティングさせていただきました。 
大水 1時間以上ずっと回していて。村上淳さんが「俺はさっとやって終わるから」って言ったのに……フリで(笑)でも、何をやっても佐藤二朗さんが突っ込んでくれるんで安心してできました。
齊藤監督 (佐藤二朗さんは)セコムみたいなもんなので(笑)」
高橋 僕はなんとか(笑わずに)乗り越えた感じですね。
齊藤監督 実際のお葬式って笑っちゃいけないから、ちょっとのことが面白かったりして。うちの母が昔、白シャツのインナーに「岐阜郡上祭り93」っていうのを着ていてそれが透けて見えていて、みんなクスクス笑っていて。その頃からお葬式ってシュールな空間だなと思っていました。

齊藤監督から「友人枠というか、精神的に刺激をもらっている、日本映画の救世主だと思っている方をお呼びします」と、山田孝之がサプライズで登場した。

山田孝之 全然(作品に)関係ないんですけど。齊藤くんから「お元気ですか?」ってメールが来て「近々お会いしたいですね」って返したら、「16日とかどうですか?『したまちコメディ映画祭』があるんですけど」って。みんないるんだったら行っちゃおうかなと思って。
齊藤監督 福山雅治さんもこの作品をサポートしてくださったり、変則的な生まれ方をした映画なんです。山田さんは、こういう役者さんがいたらいいなと思うような役者さんなので、いつかご一緒できたら。孝之さんと一生さんって最高じゃないですか!

MC 最後にメッセージをお願いします。
齊藤監督 ミニマムな世界の話なんですけど、それが他人事じゃないという物語になっていると確証しております。ニーズのあるところに低空でも飛行し続けるような上映スタイルを目指しています。

いとうせいこうから最後の締めをリクエストされた山田は「記念すべき第10回目ということで、これからも『したまちコメディ映画祭』が多くの方に好かれる映画祭になることを心より祈っております」と部外者でありながらも見事に締めくくった。

取材・スチール撮影 南野こずえ

『第10回したまちコメディ映画祭in台東』
2017年9月15日~18日開催中!

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