エスプレッソを、もうひとつ【Star☆T】映画プロジェクト潜入記


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2011年、『小坂本町一丁目映画祭』(通称:こざほん)を主催する【M.I.F.】(“Mikawa Independent movie Factory” 通称:ミフ)制作のケーブルテレビ番組から、一組のアイドルグループが生まれた。
豊田の星、TOYOTAのスターを目指すことを標榜し名付けられた“豊田市のご当地アイドル”は、2015年には東京でワンマンライブを成功させるほどの成長を遂げた。その名を、【Star☆T】(スタート)と言う。

デビュー5周年を迎える2016年を前に、Star☆Tは新たな挑戦を開始した。それが、豊田アイドル映画プロジェクト【restart】である。
・Star☆Tメンバー出演
・舞台は豊田市内
以上2点のお約束で、6本の短編映画が完成した。Star☆Tは、映画上映と、書き下ろし新曲である映画主題歌を中心としたライブパフォーマンスとをセットにしたライブツアーを敢行した。2016年1月31日にセンチュリーシネマ(名古屋市 中区)から始まった【restart】ツアーは、東京、浜松、福岡、大阪を巡り、4月6日には映画主題歌集サウンドトラックCD&作品DVDをパッケージした『restart Soundtrack & Movies』が発売された。
そして4月10日、凱旋ツアーファイナルが開催され、豊田市福祉センター(豊田市 錦町)ホールにはStar☆Tメンバーのみならず【restart】全6作品の監督が登壇した。

『Girls Be Ambitious!』
出演/森本凪彩 木戸怜緒奈 千賀璃奈 朝空詩珠紅
監督/坂本保範
ストーリー/
仲良し4人組(森本凪彩 木戸怜緒奈 千賀璃奈 朝空詩珠紅)は、今日も人生ゲームをしながらガールズトーク。でも、ひょんなことから将来の夢の話になって――。4人がひたすら会話する1シチュエーショントークコメディ。
坂本保範監督「出身は大分県なんですけど、豊田で働いて、もう25年くらいになります」
――豊田は、どんなところでしょう?
坂本監督「車が無いと、生きていけないなって思いました(笑)。それは冗談としても、やっぱり“車の街”ですよね」

『豊田の星』
出演/misola 橋本佳那 ちさと 和久田朱里
監督/久保耕平
ストーリー/
「自分が信じられる様に……」っとお願いをした美和(橋本佳那)は突如としてしの(misora)に襲われる。
絶対的な力を持つしのに追いかけられ香織(和久田朱里)や恵美(ちさと)を倒さてしまう。
追い詰められた美和は果たして……
豊田の街中を疾走するアクション映画。
――Star☆Tちゃんの印象は、如何でしたか?
久保耕平監督「……よう、走ってくれたなって(大笑)。とにかく良い場所を見付けたら、「取り敢えず、走ってみようか」って感じでした」
橋本佳那「撮影は2日間だったんですけど、その内の半分はとにかく走ってました」

『カゲノワズラ』
出演/牧野凪紗 中野采美 島﨑友莉亜 木戸怜緒奈 寺田みなみ 脇田敏博 足立晃三 諌山雄吾
監督/諸江亮
ストーリー/
優雨[ゆう](牧野凪紗)には足の不自由な妹・緋奈[ひな](中野采美)がいた。緋奈の母親がわりの優雨は遊ぶ時間もない。そんな優雨の前に、もうひとりの緋奈が現れる――。じわじわとした恐怖が迫るホラー。
諸江亮監督「撮影中は牧野さんが引っ張ってくれて、凄くやりやすかったです……中野(采美)さんの良い所を引き出してくれたりして」
――牧野ちゃん、よかったね。褒められちゃったね。
牧野凪紗 (照笑)

『Documentary of Star☆T〜誰がモナカをたべたのか〜』
出演/橋本杏奈 Star☆Tメンバー
監督/大塚玲未
ストーリー/
Star☆Tの活動を追う撮影クルーがメンバーに取材をする中、ライブリハーサル中にある事件が起こる。なんでもないはずだった小さな事件が、少しずつメンバーの関係を崩していく。
――“フィクション”って出てましたが……
大塚玲未監督「残念ながら、作品に登場した“伝説のモナカ”は、つたや(製菓舗)さんに行っても無いんです(笑)」
――杏奈ちゃん、もしも“歌が上手になるモナカ”と、“ダンスが上手くなるモナカ”と、“勉強が出来るようになるモナカ”があったら、どれを選びますか?
橋本杏奈「……“勉強”で……(場内爆笑)」

『豊田女子大学付属高校探偵同好会』
出演/島﨑友莉亜 牧野凪紗 萩野陽向子 高木公介 森了蔵 松本高士 高橋佑奈
監督/中屋充史 脚本/中屋充史・小管諒太 撮影/柿崎知也
ストーリー/
探偵同好会に所属するクルミ(島﨑友莉亜)、カナコ(萩野陽向子)、マイ(牧野凪紗)の3人は今日も探偵の研究に余念がない。怪しげな喫茶店で活動にいそしむ中、いかにも探偵風の男と得体のしれないおじさんととんでもないことが巻き起こる!?ファンタジーコメディ。
中屋充史監督「豊田には『小坂本町一丁目映画祭』にも何度か来させて頂いてまして、街はもちろん良いんですが、とにかく人が素敵な街だと思ってます」
――リアル女子高生3人、如何でしたか?
中屋監督「リハーサル含めて撮影期間は4日あったんですけど、若さなのか1日1日の成長のスピードが凄くて、見ていてこっちも楽しかったですね」

『ハローグッバイ』
出演/和久田朱里 安藤笑 橋本杏奈 林美憂
監督/谷口雄一郎
ストーリー/
亡くなった祖母の家で暮らすのぞみ(和久田朱里)と、友人で同居人の真由美(安藤笑)。そこに同居する為訪れた真由美の友達、陽子(橋本杏奈)、そして、いつも遊びにくる後輩のほのか(林美憂)。4人の短くてささやかなひと夏の生活を描くヒューマンドラマ。
――Star☆Tの印象は、どうでした?
谷口雄一郎監督「2日半で撮ったんですけど、予想以上に皆さん凄くて……僕が教えられることの方が多かったと思います。僕は撮る時、結構お芝居粘っちゃう方なんですが、今回どんどん良くなっちゃって……。長回しのシーンもあったんですけど……あれ、実は8回(カメラを)回してるんです……ごめんね(笑)」
和久田朱里「ケンカのシーンだったんで、掴み合いが本気になってくるんですよ(笑)。吹っ飛ばすシーンなんか、笑に本気で飛ばされました」
安藤笑 (笑)

6本の作品が上映された後、各賞が発表された。【restart】ツアーでのファン投票が集計され、女優賞が決定したのだ。
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助演女優賞
安藤笑(『ハローグッバイ』)「恥ずかしいですが、全力で素敵な作品に参加できたので、助演女優賞と言う素敵な賞を頂いて、とっても嬉しいです。投票してくださった皆さん、観に来てくれた皆さん、本当に有難うございます」
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敢闘賞(特別賞)
萩野陽向子(『豊田女子大学付属高校探偵同好会』)「助演女優賞は獲れなかったんですけど、敢闘賞と言う凄い賞を頂いて本当に嬉しいです。投票してくださった皆さん、ありがとうございました」
中野采美(『カゲノワズラ』)「初めての演技で敢闘賞と言う賞が獲れて、凄く嬉しいです。ありがとうございます」
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主演女優賞
和久田朱里(『ハローグッバイ』)「この企画があると聞いて、谷口監督と「絶対獲ろう!」って言ってて、笑とも「W受賞、絶対するよ!」って言ってたのが叶えられて、本当に良かったです。この映画に出させて頂いて、もっともっと演技を真剣にやりたいなって気持ちになって、良い経験をさせて頂きました。本当に有難うございました」

休憩を挟み、オーディエンスお待ちかねのライブパフォーマンスが幕を開けた。6作品の主題歌を中心としたセットリストに、観衆は大いに盛り上がった。

ライブの終盤、Star☆Tを卒業する千賀璃奈、林美憂、森本凪彩にファンからの花束、メンバー全員からの手紙が手渡され、ホールはすすり泣きの声が響いた。そんな湿っぽい空気を吹き飛ばしたのは、やはりStar☆Tの歌とダンスだった。
ステージを所狭しと駆け回る――いや、観客席に次々と降りてくるメンバーに鼓舞され聴衆も立ち上がり、Star☆T15人と観客が一体となったライブのフィナーレは、【restart】のツアーファイナルに相応しい大団円となった。
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2016年は『小坂本町一丁目映画祭』の開催が今のところ未定だと聞く。楽しみにしている映画ファンには淋しい限りであるが、豊田市の自主映画制作現場は燃え滾っている。
【三河映画】第二弾作品『Ben-Joe』(監督:岩松あきら)は先月クランクインを迎え、順調に制作が進んでいるそうだ。
そして、【restart】が新たな可能性を示してくれた。Star☆Tは、ライブパフォーマンスだけでなく、俳優業でも“スター”になれるのだ。

“こざほん”に負けないくらい盛況だった【restart】ツアーファイナルで映画作品の魅力を知った聴衆は、次回の『小坂本町一丁目映画祭』にも脚を運んでくれるに違いない。

取材 高橋アツシ

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