斬るべし!来るべし!!観るべし!!! 『猫侍 南の島へ行く』鑑賞記


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斬るべし!来るべし!!観るべし!!! ――『猫侍 南の島へ行く』鑑賞記――

無双一刀流免許皆伝で、付いた渾名は“無敵の斑鬼”。やたらめったら腕は立つが、人が斬れぬ故に解雇(りすとら)の憂き目。家族とも離れ、嗚呼ひとり切り――否。この斑目久太郎、独りではない。懐に相棒・玉之丞、猫侍は今日も征く。
古今東西唯一無二の“癒し系動物時代劇”『猫侍』が、スクリーンに帰ってきた。劇場版二作目となる今作は、その名も『猫侍 南の島へ行く』。

劇場公開2日目となる2015年9月6日(日)、名古屋では109シネマズ名古屋(中村区 平池町)、センチュリーシネマ(中区 栄)の2スクリーンで舞台挨拶が行われ、渡辺 武監督、北村まゆみトレーナー、そしてそして、玉之丞こと“あなご”(♀)が会場を埋め尽くしたファンの前に立った。
両会場とも入場時には、玉之丞のお出迎え――ウェルカムならぬ“ウェルにゃム”があり、観客の笑顔で溢れかえった。

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――渡辺監督は、『猫侍』ドラマ版(2013年10〜12月)と、『猫侍 SEASON2』(2015年4〜6月)、及び今回の映画『猫侍 南の島へ行く』の監督をされてますが、モットーは何でしょう?(司会進行︰飯塚達介プロデューサー)
渡辺 武監督「楽しめるように、そして、猫が如何に可愛く見えるかを心掛けてやってきたつもりです」
――猫を可愛く撮るコツと言うのは?
渡辺「彼女は、放っといても可愛いので(場内笑)……お客様もお分かりなように。なので、特に何かって言うのは無いですね。久太郎(北村一輝)との係わり合いで、どう言う風に久太郎を見ているか?と言う、そこで玉之丞からどんな台詞が聞こえるかな?と言うのを心掛けて撮っています。まぁ久太郎のやることなんで、常に突っ込んでるとは思いますけど(笑)」
北村まゆみトレーナー「撮影ではダブルスタンバイで出演してるんですが、9割方この“あなご”が演じております。この子は常に、上から目線なんで(笑)。部屋に放していても、先ず一番高いポジションを取ろうとします」
――猫同士でもそうなんですか?ドラマの一話目では、他の猫がいっぱい出てましたが
北村「絶対に仲間には入らないです……究極のツンデレなんで。だから、二人っきりになった時のデレ具合にやられちゃうんですよね…私生活でも(笑)」
――主演の北村一輝さんとの相性も凄く良かったと思います
北村「ひと目合ったその時から、二人は惹かれ合ってるなと言うのは分かってるんですけど……あなごも分かってるんですよ。「あなた、私のことが好きでしょ?」って振る舞いなんですよね。それにまんまと一輝さんが乗ってるって言う。スクリーンで見えてる関係性そのままなんですよ。だから、演技と言うより限りなくドキュメンタリーに近い感じです(笑)。久太郎の声は(北村一輝さんの)普段の声より低いんですが、あなごの名前を呼ぶ時は地声よりも高い声で仰るんですよ(場内笑)。そして、必ず額の匂いを嗅ぎながらキスをすると言うのが、毎日の慣わしでした」
――北村一輝さんとあなごさんとのシーンは、監督からは色々と注文されたんですか?
渡辺「いや、特には……抱っこする向きくらいで……」
あなご「にゃあ(場内爆笑)」
渡辺「(笑)……まぁ、その程度です(笑)。彼女は暴れたりも、逃げ出そうとか動いたりもあんまりしないので、カメラの都合の良い向きに向かせるだけのことで……それもまぁ、北村くんもベテランなんで」
――斑目久太郎はとても特異な存在だと思うんですが、そもそもどう言うキャラクターを目指したんですか?
渡辺「僕らは割りと時代劇とかでも、かつての先輩たちの遺産で食ってる所があるんですが……例えば、三船敏郎が猫を飼ってたら面白いだろうな、とか、そう言う所から始まってるので。本当は、普通のこと考えたりとか……そう言うのって、きっと笑えるだろうな、と」

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『SEASON2』で加賀へ……愛する家族の元へようやく帰った久太郎。
だが、平穏な暮らしは数分も続かず、他藩の剣術指南役に旅立つことと相成る。またも、単身……否、ザリガニ籠(玉之丞入り)だけが供の長道中。
今回の往き先は、南国・土佐――。

渡辺「『SEASON1』とかは、割りと時代劇ちゃんとやってみようか?ってスケべ心もありつつ(笑)……要は“人が斬れない侍”って言う物凄いトラウマみたいな重たいものがあって、家族ともそれが切っ掛けで離れ離れに……リストラを受けて、ひとり単身赴任していると言う……割りと重いテーマを掲げてしまったものですから、どうしても一つ弾けられない所がありました。『SEASON2』に関しては、それを一回取っちゃおう!と。そうなると、“亭主元気で留守がいい”じゃないですが、久太郎も自由になれるし、皆も自由になれると。すると、ああ言うお馬鹿なことになって行くんですね(笑)」
北村「映画は、更に南の島に飛んじゃってますからね(笑)」

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辿り着いた先は、土佐……なんですか、本当に?
島の人々、長老のお宝、それを狙う倭寇(?)の面々……
さあ、頼んだぞ、斑鬼!!

――あなごさんは、何か他の作品には出てるんですか?
北村「今は『猫侍』の宣伝活動に専念しておりますけれども(笑)、CMで前作の平田 薫さんと共演しています。高齢なので、『猫侍』以外の長期のお仕事はお断りしてるんです(笑)」

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今回、なんと玉之丞にロマンスが!?
エキゾチックな魅力あふれる南国育ちの“ヤムヤム”には、ツンデレお嬢・玉之丞もメロメロで……さあ如何する、久太郎?
ロマンスの果てには、もしやもしや、白×黒“斑”の愛の結晶!なんてことも――?

――あなご様と北村一輝さんとの関係性は完璧だと思うんですが、最初から狙ってのキャスティングだったんですか?(観客からの質問)
渡辺「猫は3匹……でしたっけ?」
北村「選択肢なかったんですよね(笑)」
渡辺「白い猫って、なかなかいなくて」
北村「ちょっとシャイな子が多いので」
渡辺「3匹連れてきていただいて、3匹とも使おう!ってことに……要は、性格が全然違ったので。彼女(あなご)はビジュアル系(場内笑)、“さくら”って言う子は若いから活発に動き回るんでアクション系として、もう一人……もう一匹、ちょっと年を取った“さくら”がいて、これはまぁ……保険(場内爆笑)。保険と言うか、皆の“癒やし”の為の存在で(笑)。でも、ここぞと言う場面で良い芝居をしたのが彼女(年長さくら)で……『SEASON1』でも、本番になって突然……」
北村「そろーり、そろーりと動き出して、あらどうするのかなぁ……って思ったら、一輝さんの膝の中に入っていったと言う(笑)」

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縺れに縺れた諍いごとも、ふたりに掛かれば一件落着。
久太郎と……
玉之丞と……
ふたり揃って、“猫侍”!

北村「リアクションをして、観ていただけると有難いなと思います。笑って、泣いて、楽しんで、それを伝えていただければと思います」
渡辺「テレビシリーズでぶっ飛んだ話が何本かあったと思うんですけど、そんな毛色の話です。85分、思いっきり笑っていただければと思います。どうしても映画館は静かにしなきゃって空間になってしまうんですけど、そんなことはこの際関係なく、大いに笑っていただければと。久太郎と玉之丞を楽しんでいただき……最後の最後にちょっとサプライズがありますので、それも楽しんでいただければと思います」

“ユルい”は、即ち“ユルす”である。
『猫侍』の真髄は、ここにある。
癒し系動物時代劇の到達点……それは、“LOVE&PEACE”!
“LOVEの記憶”を、久太郎と玉之丞は教えてくれる……にゃん♪

取材 高橋アツシ

映画『猫侍 南の島へ行く』公式サイト

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