スピンオフで、お も て な し 『ENOLA』DVDリリース記念イベント潜入記


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――スピンオフで、お も て な し――『ENOLA』DVDリリース記念イベント潜入記

「“男”って感じの部屋っすねぇ……」
古着屋【CLOVER】(名古屋市 中区 千代田)2F特設ステージは、こんな一声で静寂が破られた。

2015年7月3日(金)夜、6/26に映画『ENOLA』がDVDリリースされたのを記念して、【ENOLA 7/3 CLOVER ~Universal Studio’s 鶴舞~】なるイベントが開催されたのだ。

『ENOLA』は、愛知インディーズ映画界の雄・林 一嘉監督が金城学院大学 後藤ゼミの協力を得て製作した最新作で、3月のシネマスコーレ(名古屋市 中村区 椿町)公開時は連日の満席で大変に話題となった。※『ENOLA』鑑賞記

【ENOLA 7/3 CLOVER ~Universal Studio’s 鶴舞~】は、オープニング・アクト『天野とコウセの事情』で幕を開けた。『ENOLA』で主演・コウセ役を演じた元井“コーフィー”康平氏が冒頭の台詞と共に入場し、程なく天野役・石上 亮氏も登場すると、この“『ENORA』のその後”を描いたスピンオフ劇は俄然ヴォルテージが上がった。【グレート家康公「葵」武将隊】在籍と言う共通点のある二人は流石に阿吽の呼吸で、前 服部半蔵・元井さんが現 本多忠勝・石上さんの口上を述べるサービス精神は、武将隊が掲げる“おもてなし”の心を伝えていた。

そんなサービス精神は、続くコスチューム・チェンジ・ショーでも遺憾なく発揮された。『ENOLA』の衣装だけでなく、イベント会場をも提供した【CLOVER】店長・スミス氏のコーディネートにより、コウセ・天野の“If”を体現したファッションショーは、メインMC・迫“フェアリー”はるみ氏の粋な掛け合いにより観客に絶好のシャッターチャンスが次々と訪れた。迫さんは【あいち戦国姫隊】で、まつ(前田利家 正室)を担当されていた。なるほど、“おもてなし”が溢れるはずである。

ファッションショーの熱気冷めやまぬステージでは、続いて元井・石上・スミス三氏のよるトークショー『ファッションと映画』が始まった。スミス氏の造詣はファッションだけでなく映画全般にも及び、『BTTF』や『SW』など広範な作品を引用するトークで会場を大いに沸かせた。
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21:00が迫る頃、イベントはインターミッションに入った。1Fでは『ENOLA』グッズ販売の他に、【CITY DINING MACY’S】(名古屋市 中区 大須)によるケータリングが行われており、『天野とコウセの事情』の小道具でもあったコロナビールやジャスミンティー、焼きそばが大変な人気となっていた。『コウセと焼きそば』と名付けられたこの焼きそば、『ENOLA』ロケ地・瀬戸の名がネーミングに含まれていることは、迫さんのトークで始めて気付いた。

そして、『ENOLA』監督・林 一嘉氏を迎えたイベントのフィナーレ、トークショー第2弾『ENOLA補完計画 ~ぶっちゃけ監督どうすか~』が始まった。

迫(MC)「質問は、事前に観客の皆様から頂いてます。まずは……DVDが出て、率直な感想は如何ですか」
林「あまり良い答えじゃないでしょうけど……僕の作品はこれで何作目かのレンタルなので、「ああ、始まったな」と言う感じです。名古屋から発信する映画がこんなたくさん全国に並ぶ監督って、僕が唯一なんです。やったことないことをやるとなると、責任みたいなものがあって……「今からまた営業しないといけないな。宣伝しないといけないな」と言ったプレッシャーの方が来ちゃったって感じです、いつものことながら」
石上「監督、監督……DVDばか売れですよ、今日!」
林「目が恐いんだけど?」
元井「コロナ(ビール)3本飲んで、酔っ払ってるんですよ……石上さん、酒弱いのに(笑)」
迫「じゃあ、なんで飲んだの(笑)?」
林「レンタル店の皆さん、地元映画だって分かってないんです。昨日も、瀬戸のお店に行ったんですけど、誰も知らない。「これ、ここで作ったんですよ。あそこで撮ったんです」って(ジャケットの)裏を見せて、ポスター貼ってもらって、縦並びを横並びにしてもらってきたんです」

迫「一番楽しかった場面、大変だった場面、気に入ってる場面はどこですか?」
林「大変だったのは、ラストシーンです。4月なのにメチャクチャ寒くて……スカイダイビングやってるみたいな風で、体が揺れてたくらいでした」
迫「楽しかったことは?」
林「楽しかったことは……無いです。「この後に編集とか待ってる」と思うと、大体現場って憂鬱なもんですけど……とにかく、体調が悪かったんですよね」
石上「体調悪いって言うから、クランクインの前にラーメン食わせたんだけどね……それでまた胃が痛くなっちゃったとか(笑)」
元井「ずっと「腰が痛い」って……」
林「内臓から来るんですよね。背中が痛くて、歩けなかったんです。映画撮る時じゃなかったかも知れないですね……休んでなきゃいけなかったのかも(笑)」

迫「もし他の役を演じるなら、誰の役がいいですか?」
林「いや……考えたこともなかったですね」
石上「俺はありますよ……監督の役を演りたかった。劇中にいっぱい出てくる可愛い女の子と絡めるから!」
林「そんなの、絶対やらせないですよ(笑)。……楽しかったこと、思い出しました。主役の子(広瀬咲花)を連れて帰りたかった(一同爆笑)」
石上「問題発言ですよ、それ(爆笑)」
林「迎えに行きたかった……僕の願望ですよ?」
元井「これ、動画にも残ってるんですよね?」
石上「公開告白(笑)!?」
迫「主役の女優さんは、監督の彼女なんですか?」
林「違いますよ!好きな人はいっぱいいますから」
元井「ええ!?」
石上「マジっす!?いや、監督の恋って結構大事で、映画に影響するじゃないですか。で、監督と主演女優さんの結婚とかあるじゃないですか。常に恋してるってことですよね……最近は?」
林「複数の人が好きですね」
元井「複数と付き合うとは言ってないですよね……好きになるのは自由、みたいな?」
林「でしょ?」
迫「皆さん……好きになるのは、自由です。ってことで(笑)」

迫「最後に、今日お集まりの皆様に一言を」
林「『ENOLA』を買ってください!観てください!ですよね、やっぱり」
元井「(笑)……買ってくれない人は、どうなっちゃうんですか?」
林「いや、どうもなんねえけどさ(一同爆笑)!どれだけ俺たちが骨身削ってやったと思ってんだよ!?ってことですよ(場内爆笑)」
石上「(爆笑)……「お前(石上さん自身)も、買えよ!」ってことですね(笑)?」
林「そりゃ、そうだよ(一同爆笑)!」
石上「でも、広瀬さんにはあげちゃうんでしょ?」
林「……あげるよ、そりゃ(場内爆笑)」

こんな調子でトークショーは大変な盛り上がりのうちに幕を閉じ、イベント終了後も即席のサイン会に並ぶ『ENOLA』ファンの列は、いつ尽きるとも無く続いた。

夜更けの中央線西通は、店名である【CLOVER】の看板の文字が人だかりで消えつ見えつスペルを眼に写した。
“OVER”……
“LOVER”……
……なるほど、“恋人以上”と言うことか――。

取材  高橋アツシ

『ENOLA』公式サイト

古着屋【CLOVER】公式blog

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