吸血鬼の恋、“いいかも” 『恋する♡ヴァンパイア』レビュー
――吸血鬼の恋、“いいかも”―― 『恋する♡ヴァンパイア』レビュー
キイラ(桐谷美玲)は、文句なしのキュートさ。こんな吸血鬼なら、“いいかも”。
哲(戸塚祥太)は頼りなくてダサいけれど、音楽の力で変身する。これなら、“いいかも”。
ふたりを結びつける劇中歌、『コロニー』。ナツ(三戸なつめ)の歌うバージョンも、“いいかも”。
ヴァンパイアと人間との恋は、ハラハラドキドキ、そして切ない。こんな恋愛も、“いいかも”。
4月17日より全国公開の『恋する♡ヴァンパイア』は、この季節にピッタリのキラキラな恋愛ファンタジー。
“いいかも”が物語に溢れているので、いっぱい拾ってみてほしい。
『恋する♡ヴァンパイア』Story:
世界一のパン職人になる夢を持つ、キイラ(桐谷美玲)。オシャレ大好き、どこからどうみても普通の女の子なのに、たったひとつ違うのは、“ヴァンパイア”として生まれたこと。幼なじみで初恋の相手・哲にも、秘密にしていた。そんな中、キイラが12歳の時に両親を亡くし、親戚一家に引き取られることに。ふたりは離れ離れになってしまう。そして8年後。キイラが働くパン屋に、偶然、哲(戸塚祥太)が訪れる。再会を喜ぶキイラ。デートを重ねて、いつかは結婚して、子供を産んで……と夢は膨らむけれど、ヴァンパイアであるキイラの悩みは募るばかり……。ヴァンパイアと人間は恋をしてもいいの?どんな姿でも、わたしのそばにいてくれる?恋に、夢に夢中な女の子・キイラと哲の恋の行方は――?
ひとりで観るのも良いけれど、この『恋する♡ヴァンパイア』は誰かと一緒に観るのがオススメ。その誰かがもし「恋愛映画は苦手で……」なんて言うようなら、こう言って誘ってみては?
『恋する♡ヴァンパイア』が初監督作品となる鈴木 舞は原作・脚本もこなし、大山勝美氏が校長を務めたアクターズスクールで演技を、北京の中央戯劇学院で演劇を学んだ変り種。国際派なのは、監督だけじゃない。『恋する♡ヴァンパイア』は、日本だけでなくアジアのスター俳優が物語を盛り上げる。姪のキイラに溢れんばかりの愛情を注ぐパン職人夫婦・力彦とまりあには、田辺誠一と大塚寧々。お店にやってきて騒動を起こす留学生・美琪と財閥の御曹司マイクには、台湾の実力派モン・ガンルーと韓国の新星チェ・ジニョク。物語の鍵を握るのは、大御所・柄本明と香港のトップスター イーキン・チェン。
どうでしょう……あなたが一緒に『恋する♡ヴァンパイア』を観たいと思うお相手も、“いいかも”って言うのでは?
『恋する♡ヴァンパイア』を観て“いいかも”を集めたら、一緒に観た人とお互いの“いいかも”を語り合ってみよう。カップルでも、女の子同士でも、ファミリーでも、盛り上がること間違いなしだ。なんたって、“いいかも”を集めて盛り上がるのは、恋愛と同じなんだから。
さて、『恋する♡ヴァンパイア』の魅力を伝えるなら、これで“いいかも”しれない。でも、もうちょっと書きたいことがあるのだ。
この作品はキラキラな恋愛映画のふりをして、骨太なテーマを含んでいる。
それは、異文化との関係性。人種、国家、宗教、イデオロギー、個体差、価値観……現代を生きる私たちは、様々な差違と隣り合わせている。それらと如何に向き合っていくかは、個人のみならず社会の課題と言って良い。
桐谷美玲演じるキイラは、ヴァンパイアとしての自分と人間である哲との恋愛関係に悩む。物語は吸血鬼と人間との種族対立を描きだすだけでなく、“マイノリティ”としての葛藤が丁寧に活写されている。
種族の差違は、当事者には乗り越えられない決定的な障壁なのか。それとも――。
キラッキラの恋愛ファンタジーで盛り上がった後は、ちょっと立ち止まって物語を掘り下げてみる――そんなのも、“いいかも”!
文・高橋アツシ
『恋する♡ヴァンパイア』
出演:桐谷美玲 戸塚祥太(A.B.C-Z) 田辺誠一 大塚寧々 柄本明ほか 原作・脚本・監督:鈴木舞
配給・宣伝:ファントム・フィルム (C)2015『恋する♡ヴァンパイア』フィルムパートナーズ
公式サイト http://love-vampire.com/
4月17日(金)より、TOHOシネマズ新宿ほかにてロードショー