『Lily』―ありがとうを込めた― 中島 央監督インタビュー
『Lily』 中島 央監督 インタビュー
―誰にでも人生を変える愛がある― 数々の映画祭に招待され、世界的にも注目を浴びている中島 央監督に、『Lily』制作に込められた熱い想いを語っていただきました。
Q. 監督デビュー作の短編『リリィ』を基に長編化した後、再編集に時間をかけたとのことですが、その理由は?
長編映画を作り、1つの大きな壁を越えたという嬉しさが先行していました。ですが、映画祭で上映したとき、言いたいことが全然伝わっていないと痛感して、何度も何度も編集を重ねました。
Q. 主人公の脚本家が物語を書けずに苦悩する姿が印象的ですが、自身のご経験ですか?
そうです。(笑) 1時間半という上映時間のなかで説得力を持たせるため、経験をリアルに表現できる脚本家を選びました。長年付き合った彼女も個人的な経験ですし、こんなにも素敵な女性がいるんだよということも描きたかったんです。
脚本を生み出さないと、映画すら作れないという状況に追い込まれたときに、自然に『Lily』が誕生しました。これこそが自分が作りたい作品であり、「俺はここにいるんだ」という叫びのようなものが無意識に出たことは嬉しかったですね。
Q. 男性目線と女性目線の恋愛が描かれていますが、この辺のこだわりは?
私小説的な背景を描いていますが、そのままだと観る人には興味も持ってもらえないんです。そして、娯楽的にも楽しんでもらえるよう、伝えたいことをどのように表現するかにこだわりました。
Q. 全編アメリカで制作した経緯は?また、映画監督になった理由は?
アメリカにずっと住んでいたことが大きな理由ですね。 父親が熱心な映画ファンで、子供の頃から浴びるほど映画を観ていました。途中で寝ると「もう一回観ろ」と言われるくらいの英才教育を受けていましたよ(笑)
映画自体が大好きなので、恩返ししたい気持ちがありました。意識して映画監督になりたいと思ったことはないですし、監督という言葉に酔ってしまうようにはなりたくないです。伝えたいんだ、繋がりたいんだという想いを作品にしました。
Q. 『Lily』が数々の映画祭で上映され、注目を浴びていますが、今後の活動は?
自分の作った作品は合わせ鏡だと感じています。人の気持ちに立つことを忘れてはいけないし、作品と一緒に成長していきたいです。いつかは、スタンディングオベーションをしてもらえるような、人に衝撃を与えられる作品を作りたいという強い気持ちはあります。
Q. 公開を控えた今のお気持ちを教えてください。
公開が本当に楽しみです。編集の最中、この映画は日の目を見ないで死んじゃうんじゃないかという恐怖感もありました。ですが、どうしても伝えたくて完成しました。音楽も、映像も全ての面でカッコいいと思えるモノをぶつけたい、そして喜んでもらうことができたら嬉しいです。
映画に対して、ありがとうという気持ちを込めて制作しましたし、何よりも、観てくれたかたにありがとうと言いたいです。
作品情報 | 『Lily』 |
公開情報 | 2011年4月2日(土)より、シアターN渋谷にてロードショー |
監督 | 中島 央 |
キャスト | ジョシュ・ロング、レベッカ・ジェンセン、ジョン・ボーレン、ルアナ・パラーモ 、キャリー・ラトルッジ |
配給 | アルゴ・ピクチャーズ |
公式HP | http://www.lily-movie.com/ |
制作 | スーパーフィルムメーカー・インク ©2011 SUPERFILMMAKER INC.All Rights Reserved. |
取材・スチール撮影 南野こずえ
取材・アシスタント 藤田和彦