樫本琳花、満席になって嬉しいです『アリスの住人』初日舞台挨拶



映画『アリスの住人』の初日舞台挨拶が2021年12月4日、池袋シネマ・ロサで行われた。
製作・脚本・編集・監督の澤佳一郎が自身の体験をもとに、児童虐待をテーマにして描かれた本作。
性的虐待によってトラウマを抱えるつぐみ(樫本梨花)と、ファミリーホームで共に過ごす少女たちが、傷つきながらも希望と再生の道を探し求める物語である。

登壇者は樫本琳花、淡梨、しゅはまはるみ、伴優香、澤佳一郎監督。
舞台挨拶のMCを務めた澤監督から「写真ではいつもクールに映っているけど、現場のムードメーカー」と紹介された淡梨は、モデルとしても活躍する個性派俳優。しゅはまから「昨日かおとといのWEB記事の写真ではツーンとした顔してたけど」と突っ込まれると、思わず苦笑。澤監督も「一枚も笑ってなかった」と追従したが、「でも記事の内容は、淡梨さんなりに映画の背景や世界観をしっかり捉えて語っていた」と絶賛。

家族とのトラブルに悩む子供たちのケアを行う児童養護施設よりも家庭的な居住環境であるファミリーホームで、ママ役を演じたしゅはまは、澤監督からのオファーを受けての出演。
「澤監督からのオファーは嬉しかったです。プロットは拝見していたし、台本を見てこれは真剣に取り組まなくてはいかんぞと思って、自分なりに本を借りたり、WEBで調べました。澤さんの思いがしっかりあるのがわかったので、台本ができてない前でしたけど、話し合いをした後で、『ぜひやらせてください』と言いました」と振り返った。

父に心を開けない少女を演じた伴も、澤監督と密に話し合ったという。
澤監督は「取材でも伴さんが話していることだけど……」と前置きをしてから、「伴さん演じる白戸多恵は、伴さんの人生を投影しています。本当にあったことで、伴さんの過去になります。その話を伺って脚本に取り入れるときにも、書いていいのか確認しました。勝手に想像してはいけない部分だったので」と脚本の裏側を明かした。

過去の実体験を告白した伴は「最初は話すことに抵抗はあったんですけど、監督って、すごく肯定しながら話を聞いてくれるんですよ。『大変だったね』とか。その言葉によって、どんどん心が開いていって全部、話しちゃったんです。で、台本を読んだときに、私がぽろっと言ったひとことも台本にしてくださっていて。細かいところまで聞いていたんだなぁ」と感激の様子。

本作で主演に初挑戦した樫本は、雑誌『Seventeen』の専属モデルから女優に転じた20歳。
澤監督は「役者がやりたいということで、僕のワークショップに参加してくれて、そこから始まりまり、1年前に(本作を)撮影しました。その前から開いていたオーディションというかワークショップに4回ぐらい参加してもらったけど、1、2回目はあまり印象に残らなかった。でも、3、4回目の脚本を持つワークショップでは、ガラッと変わっていて、脚本を書くうちにこの人かなぁと思った」と樫本の魅力を高く評価。

難しい役どころを繊細な演技で表現して、作品に説得力をもたらした樫本。
「満席になって嬉しいです。この光景を見たかったので」
観客で埋まった場内を見渡して喜びの声を発した。

取材・撮影 シン上田

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