浅田さかえ監督、自分に合った学びの場を選べれば『屋根の上に吹く風は』初日舞台挨拶



映画『屋根の上に吹く風は』の公開初日舞台挨拶が、ポレポレ東中野で行われた。(2021年10月2日)
本作は、授業もクラスもテストもない学びの場を鳥取県智頭町で実践している新田サドベリースクールのドキュメンタリー。

子どもたちの個性に応じた柔軟な学びの場の実現に向けて葛藤を抱えながら実践する大人や保護者たちと、自由度の高い空間で居場所を見出していく子供たちの姿が、約1年にわたって記録されている。

登壇したのは浅田さかえ監督、作品に登場した新田サドベリースクールの現役スタッフである長谷洋介さんと、スクール出身者の鈴木日向さん。

制作に取り組むきっかけについて浅田監督は「私の夫が鳥取県出身で、里帰りしたときにサドベリースクールというユニークな学校があることを知りました。直感的に面白そうだと思いました。先生や授業がない学校というのを見たくなって取材が始まりました」と語る。

撮影が始まってから、監督自身に心情の変化があったという。
「カメラを回し始めた頃は、この子たち大丈夫かなと、3カ月ぐらいは思っていました。でも、見ているうちに私の価値観が変わっていき、子供の伸びていく力を信じることが凄く大事と思うようになりました」

本作にはサドベリーで成長していく子供たちだけではなく、スタッフの奮闘する様子も映し出されている。

子供を見守る難しさについて、長谷さんは「何を言って何を言わないか、何をして何をしないかというところは試しながら今も続いています」と考える。

現在は都内の高校に通う17歳、高校二年生の鈴木さんは自身が映し出される映画を観て、
「何年か前の自分が気付かなかったことがわかりました。これから役に立つこともあるかと思います」と述べ、「(サドベリーに行く前は)もともと普通の学校に行っていたので、公立の普通の学校に特に驚きはなかったのですけど、やっぱり学ぶことが違うと思いました。サドベリーで4年間学んで身に着けてから高校生になれたのは嬉しいなと。サドベリーに行ってコミュ力が上がり、大人と意義のある話し合いができるようになったと思います」とサドベリーで過ごした日々を振り返った。

新しい学びの場のひとつとしてサドベリースクールを取り上げた浅田監督。希望を込め、メッセージを投げかけた。
「こういう新しい学びの場がどんどん生まれてきていて、サドベリー以外にもたくさん出てきています。普通の学校ももちろんありですけど、サドベリーではないオルタナティブなスクールとか、学校に行かないという選択肢もあると思うし、ホームスクーリングという選択肢もあると思う。これからは子供たちや親御さんが自分に合った学びの場を自分で選べる世の中になるといいと思っています」

取材・撮影 シン上田

『屋根の上に吹く風は』
配給 グループ現代
(C)SAKAE ASADA
ポレポレ東中野にて公開中

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