佐藤健、松岡のアドリブを「さすがですね!」と絶賛!『ひとよ』公開記念舞台挨拶



家族のあり方を問う、骨太な日本映画に豪華キャストが集結!『ひとよ』公開記念舞台挨拶が行われ、佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、MEGUMI、佐々木蔵之介、白石和彌監督が登壇した。(2019年11月9日 TOHOシネマズ 日比谷)

壊れた家族の再生をテーマにした本作でメガホンを取ったのは『彼女がその名を知らない鳥たち』、『孤狼の血』などを手掛け、名だたる俳優たちが出演を熱望する白石和彌監督。白石組初参加となる主演の佐藤健を筆頭に、実力派が顔をそろえた。15年前に父を殺した母(田中裕子)との再会を機に、一夜にして激変した人生を歩んできた子供たちの葛藤や絆を描く、ヒューマンドラマとなっている。

母と15年振りに再会したが、素直に受け入れられない次男・雄二役の佐藤は「改めて、映画はたくさんの方に支えられて作られているんだなと感じました」とコメント。その理由について「監督はじめスタッフのみなさん、共演者のみなさんに助けられました。何とかしてくれるから大丈夫だろうという気持ちで、ノープランで臨みました」と今回の撮影スタンスを明かした。

上手くコミュニケーションが取れず、歯がゆさのある長男・大樹を演じた鈴木は「観た方の感想が違って。誰に共感するかが違うんですよ」と感想の意見交換をすすめた。今年の5月に撮影し、瞬く間に公開を迎えられた白石監督は「(登場人物の)一人一人の状況は、苦しい環境や思いを抱えていて。でも撮影自体は楽しく、僕にとっても特別な時間でした」としみじみ語った。

「僕自身、寂しくなる映画が好き」と話す佐藤は、キャラクターとの別れを惜しむ寂しさだと言い、本作について「この家族の先が観たい」とか「どう生きていくかを想像する」という感想を耳にして嬉しいようす。

共感するシーンやセリフの話題になり、佐藤はニヤけながら「泥酔した園子が『まだ吐くよ』というセリフ(笑)」を挙げると、会場は笑いが溢れた。すかさず白石監督が松岡のアドリブであることを明かすと「さすがですね!」と佐藤が褒めちぎった。また、母の介護で苦しむ弓(筒井真理子)の「私も私の時間が欲しい」とのセリフを挙げたのは松岡。「何か責任を一身に受けている方は、あの言葉が出てくるんじゃないかなと思って。あのセリフは強烈でした」とコメント。

鈴木は、劇中で登場する雑誌「デラべっぴん」のイントネーションで揉めるシーンを出すと、大樹の妻を演じたMEGUMIも「緊張感が続くシーンが多い中で、兄弟が解けていく瞬間みたいな。話している内容は面白いけど泣けました」と同感した。いっぽう、タクシー会社の従業員・堂下を演じた佐々木は、父を殺した母が子どもたちと別れる時に「(子供たちを)抱きたいのに、抱かず。15年後にガシッと抱く」とのシーンに心を揺さぶられたという。

家族を描く上でとても大切にしたのがタクシーのクラッシュシーンだと話す白石監督。「今後この家族がどうなっていくかは、ちゃんとぶつからないと先に進めない。その象徴としてクラッシュせようと思った」というこだわりとともに「雄二はこんなに運転が上手いんだ、と撮りながら思っていました」と運転テクニックをほめられて、照れくさそうな佐藤。

もう一度家族を繋ごうと切磋琢磨する長女・園子役の松岡は、ピーナッツを佐藤に向かって投げるシーンで、髪にピーナッツがついたためNGになったはずだが「使われているのはそのピーナッツのカットだったんです!」と暴露すると「こんなにピーナッツを付けてカッコいい人いるかな」と笑いを交えて白石監督がOK理由を説明した。

“家族とは何か”というテーマでトークが行われ、白石監督は「最も大切なものですし、子供としても親から頂いたものや思いもあり、親としても子供には無償の愛を捧げたい。面倒くさいけど、愛おしいと思える存在」と発言し、MEGUMIも「最も大事にしなきゃいけない存在」と話した。

佐々木は「家族とは、共鳴し合えるものかなと。辛いことも悲しいことも嬉しいことも、同じように一緒に響き合える存在」と言い、松岡は「学校も会社も、他人と向き合わなきゃいけなくて。そういう時に足場になってくれている。友達や恋人は時期によって変わることもあるけれど、ずっと踏ん張らせてくれる場所」と土台のような存在であると説明。

鈴木は「最も濃い人間関係かな。一緒に過ごした時間だけでなく、血の繋がりや繋がっていないも含めて、いい意味でも悪い意味でも切りたくても切れない。社会の中で一番濃い関係性だと思います」と話し、佐藤も「大切な存在であることは揺るがない。僕は30歳で、これから家族を築いていく立場として捉えると、憧れかな」とコメントした。

最後に佐藤が「素直になれなかったり、家族や誰かと向き合う時には、一度クラッシュするくらいぶつかり合う必要があるもしれないと、白石監督が取材でおっしゃっていて。僕も素直な気持ちを言えるタイプではないので、みなさんもクラッシュするくらいの気持ちでぶつかって欲しいなと思います」と力強いメッセージを残し、降壇した。

取材・撮影 南野こずえ

『ひとよ』
公開中 配給:日活
(c)2019「ひとよ」製作委員会

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