菅田将暉、俺がずっと泣いてた『タロウのバカ』公開記念舞台挨拶
日本映画の常識をぶち壊す問題作『タロウのバカ』の公開記念舞台挨拶が行われ、主演のYOSHIをはじめ菅田将暉、仲野太賀、豊田エリー、植田紗々、大森立嗣監督が登壇した。(2019年9月8日 テアトル新宿)
本作は社会からはじき出された3人の少年の純粋で過激な疾走を描いた意欲的な作品。その衝撃的な内容には公開当初から賛否両論が巻き起こり、大きな話題を呼んでいる。主人公タロウを演じるのは、今作が俳優デビュー作となる16歳のYOSHI。大森監督により抜擢された期待の新星だ。
戸籍すらなく、一度も学校に通ったことがない少年タロウ(YOSHI)「何者でもない」タロウにはエージ(菅田将暉)、スギオ(仲野太賀)という高校生の仲間がいる。エージ、スギオはそれぞれやるせない悩みを抱えているが、なぜかタロウとつるんでいるときは心を解き放たれる。空虚なほどにだだっ広い町をあてもなく走り回る3人。その奔放な毎日に自由を感じていたが、偶然にも一丁の拳銃を手に入れたことをきっかけに、それまで目を背けていた過酷な現実に向き合うことになる-。
MC 作品の感想をいろいろtwitterで見たんですけど、「YOSHIさんの存在感が凄い!」っていう感想が沢山ありますね。
菅田 よかったね。YOSHI、そういうのどうなの?
YOSHI ネットで毎日見てるけどね。凄いよ、賛否両論が。「コイツは生意気だ」とか「タメ語だ」とか。すいません!みたいな。そういう感じなんですけど。
菅田 大丈夫だな(笑)大丈夫だよ。
MC YOSHIさん、「ここのシーンは凄く撮影が大変だった」って場面はどこですか?
YOSHI えーっとね。自分的には最後のシーンで泣くところがあるんですけど。「泣く」っていうことを、あくまでもプライベートな話なんですけど「一番ダサいこと」って思っちゃっている自分がいて。けどタロウになったときに、色んな事があってスギオが死んでいって、エージが死んでいって、「ここで泣かなきゃいけないんだ俺は」っていうので、心の決心っていうか。そこが一番大変でしたね。
菅田 スムーズだったもんね。
YOSHI 三回目ぐらいで号泣したけどね。でも将暉が一番凄かったけどね。
菅田 俺がずっと泣いてたからね。
YOSHI 目にクマができてたもん。
大森監督 もう、将暉がなぜか泣いてるっていう。
YOSHI 一番泣いてるのは将暉だった。
菅田 YOSHIがね、一生懸命泣こうとしてるんですよ。集中したいんだけど集中できなくて。あの奮闘がね。格好よかったですけどね。
MC 菅田さんは、今回の役を演じられてどうでしたか?
菅田 俺、本当あんまり何も考えてなかったんですよ。大事にしなきゃいけなかったのはもうほんと、この三人の時間が。なんていうのかな…?一瞬の青春というか。心の底からカメラの前で笑い合うことなんてまあ無いから。そんな事が出来たっていうのが、この映画の個人的な熱い所かな。楽しかったですよ。銃の下りの場面だって。
YOSHI 俺たちあのとき辛かったよね?マジで。
大賀 服脱がされたもん。本当に…重かったし。でもYOSHIが楽しそうだったんだよ。
菅田 そうなんだよ!
YOSHI あれはマジで面白かった!
菅田 「服脱げ」って言われて、大賀は嫌そうに脱ぐんだけどYOSHIはちょっと嬉しそうなんだよ。「なんで嬉しそうなんだよ!」って思った。
仲野 ずっと嬉しそうだった。
YOSHI なんか脱ぎたくなっちゃって(笑)
MC 大賀さんにとっては辛いシーンではありましたけど、このメンバーと作品を作るっていうのは最高だったんじゃないでしょうか?
仲野 楽しかったですね。将暉は前から知ってますけど、その関係性の中にYOSHIっていう偉大な新人が登場して、三人のグループ感が奇跡的だったって思いますけどね。
撮影当初から天真爛漫で垣根を感じさせないYOSHIに対し、大きく戸惑いを感じていたことを告白した仲野は、菅田に「大賀さんはずっとイライラしてた」と暴露され苦笑。「いつからYOSHIさんを受け入れたんですか?」という問いかけに対し「未だに受け入れられない…」と回答し、会場の観客たちを笑わせていた。
取材 福井原さとみ
『タロウのバカ』
配給:東京テアトル
©2019「タロウのバカ」制作委員会
テアトル新宿ほか全国公開中