内田慈、渋川のカツラに「気付かなかった」『神と人との間』初日舞台挨拶



世界的大文豪・谷崎潤一郎の作品『神と人との間』が初日を迎え、主演の渋川清彦をはじめ、内田慈、山田キヌヲ、萬歳光恵、根矢涼香、内田英治監督が舞台挨拶に登壇した。(2018年1月27日テアトル新宿)
本作は谷崎の3作品を連続して映画化した企画「TANIZAKI TRIBUTE」の栄えある第1作目であり、第30回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門ではプレミア上映で公開された。

町医者の穂積と親友の売れない漫画家の添田は、熱帯魚屋で働く朝子に恋をしているが、穂積は身を引き添田に朝子を譲る。やがて2人は結婚するが、添田は愛人を作り、朝子を虐待。挙げ句の果てには穂積と朝子が不倫をするように挑発をするー。マゾヒストとサディストが入り乱れ、愛することの醜さを浮き彫りにした、最低な三角関係のラブストーリー。

なぜ数ある谷崎作品の中でこの作品を映像化しようと思ったのか?との質問に、内田監督は「この映画は谷崎潤一郎本人の話(細君譲渡事件)がベースになっていて、とんでもないことをやらかしているんですけど。人間の本質的なものをつねに描いているからですね」と感慨深げ。

本作品は現代劇として蘇らせてはいるが、小説の魅力を生かして特殊な台詞回しで脚本を構成したため、主演の渋川は毎日「台詞が覚えられない」と嘆いていたそう。台詞回しに合わせ設定や衣装を変えたという徹底ぶりには、監督の谷崎文学への強い想いを垣間見ることができた。

劇中での渋川の衣装に話題がうつると、「渋川さんが渋川さんに見えない」という感想があがり、渋川本人も、「皆言いますよ。分かんなかったって」と少し嬉しそうな様子。穂積の役作りのためカツラを被り、さえない感じを出すためにチェックのシャツをジーパンに入れるなど、洋服に無頓着な雰囲気を演出したそう。朝子役の内田は「(渋川が)カツラだと気付かなかった」と驚いていた。

一般的なイメージで、添田役の戸次と渋川のキャスティングは逆という見られ方をするのでは?という問いかけに対し、内田監督は「配役ってイメージどおりの配役が世間一般では行われると思うんですが、逆の方が、観てる方が「こうきたか」みたいな印象を持ってもらえる。僕個人もカメラの後ろで楽しみたかった」と楽しそうに話す。「変な役が多い人には普通の役を、渋川さんみたいなかっこいい人は汚したくなる」

舞台挨拶は終盤を迎え、最後の質問「貴方は穂積派ですか?添田派ですか?」究極の選択を女性キャスト全員で回答することになり、苦笑する面々。

萬歳「男性にはいろんな良いところがあると思うんですが、どっちも嫌です」
内田「どっちとかいうことは無いんですけど、オラオラしてる男が私ほんと嫌いなんですよ。オラオラしてる男って真の部分ではすごくこじらせてて、分かりずらいよ!みたいな感じで。だから穂積のほうが良いです」
山田「私自身昭和の女なので、譲られたら譲られてしまうと思うのですが、穂積さんは譲っちゃだめでしょ!私の手を誰かが握ったら、死ぬまで手を離さないでほしい」
根矢「両極端過ぎて、結論どっちも嫌なんですけど、穂積も穂積でやっぱり駄目だし、添田ももちろん嫌ですし、普通の人が良いですね」

最後に、主演の渋川より「ちっちゃい映画なんですけど、頑張ってやってるんで宜しくお願いします。気が向いたらSNSに色々やってもらえると」と締めの挨拶が行われ、終始和やかな雰囲気で舞台挨拶は終了した。

取材・福井原さとみ スチール撮影・南野こずえ

TANIZAKI TRIBUTE『神と人との間』
© 2018 Tanizaki Tribute製作委員会
1月27日よりテアトル新宿にて絶賛公開中! 2月10日より『富美子の足』2月24日より『悪魔』

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