原発難民となった双葉町の人々を追い続けるドキュメンタリー作品『フタバから遠く離れて 第二部』
東日本大震災を機に生じた“福島第一原発事故”。事故から3年8ヶ月経過した現在でも多くの住民が県外や県内に分断されている現状を撮り続けている本作。
一作目は震災・原発事故のショックに揺れ、埼玉県加須市に避難した双葉町の人々を克明に写しだしたことで国内外で高い評価を得た。今回の“第二部”では汚染土壌などを一時保管する「中間貯蔵施設」の建設問題やそれに伴い巻き起こった町長の交代、そして加須市にある避難所の閉鎖など大きな渦の中で未だ落ち着くことさえできない双葉町の人々を追い続けている。
この日初日を迎える舞台上には舩橋 淳監督と作品に登場する矢内 進さん、木村とし子さん、志賀欣一・峰子さん、髙玉輝一さんが登壇した。
登壇した方々は避難所となった加須市旧騎西高校に避難していたが福島県いわき市に町役場の移転が決まり、避難所は現在閉鎖。皆、加須市での生活を選択している。
監督自らMCを務め、各地の原発再稼働の動きをどう見ているのかという問いに壇上の皆さんからは「まずは現場に行ってみることだ。双葉の家なんかはまだまだ住める状態じゃない、ネズミはいるしイノシシもでる。」「我々は簡単な防護服で一時帰宅などをするが、安全だ。安全だ。というな役人なんかは完全防備の防護服になっている。防護服を着ないでも交通規制が解除になった国道6号線もおかしい。」と未だ高い放射線量が計測される国道6号線の規制緩和にも苦言を呈していた。
事故後の混乱と避難先が散り散りだったこともあり、現在双葉町の方々は家族であってもバラバラになっていることも少なくない「2~3㎞だった家族との距離感が今では200~300㎞になっていることが辛い」「現在はやっと落ち着いて生活できているが、やっぱり安心できる場所が欲しい」という悲痛な心境も語ってくれた。
最後に舩橋監督は「双葉町の皆さんがどこか安住でき落ち着くまでは撮影は続けていきます。関東に電力を供給していた福島第一原発の事故で原発近辺の方々が避難しています。いうなれば我々も共犯者なのかもしれません。なので、少しでもこの作品を多くの人に見てもらいたいです。」と力強い口調で語ってくれた。
汚染された地域で普通に生活する日は恐らく何十年と先のことだろう。3年半が過ぎた現在でも事故への関心が風化していることは否めない。作品中でも原発のあり方を協議する場面で「もう」や「すでに」という言葉が踊っていた。
そういった中でこの作品を撮り続けていく覚悟があるという監督の言葉が印象深く感じた。
取材:ユウイチロウ
『フタバから遠く離れて 第二部』
11月15日よりポレポレ東中野ほか全国順次公開