舞台『レシピエント』制作発表
臓器移植をテーマに、エンターテイメント作品でもありながら、「いのち」について考えさせられる深い作品、舞台『レシピエント』の制作発表が行われ、主演の佐藤江梨子、加藤和樹の挨拶から始まり、終始和やかなムードとなった。(2012年1月30日)
佐藤江梨子:今回の役は目が不自由で腎臓も悪いという役です。始めてのことが凄く多く、この役を通じて色々勉強していくうちに考えることが変わってきました。目を閉じて台詞を何回も言っていくうちに、心から人に伝える言葉とか、そうゆうことを考えていて、自分自身においてこの役を頂けたことは特権だなと思っています。
加藤和樹:今回は極悪非道な取り立て屋の性格が、だんだんオタクに変貌して行くという役を演じます。臓器移植によって記憶が段々転移して行くという不思議な現象に昔から興味がありました。今回、凄く難しい役です。自分が自分自身であるということには変わりないので、誰かの記憶が入り込んでくる人体の不思議をどうお芝居で表現するかをこれからの稽古で作りこんでいけたらなと思います。そこから生まれてくる感情だったり、今まで感じたことのない何かをこのレシピエントという作品でやっていけたらなと思います。
三上市朗:臓器移植がキーワードになっていますが、臓器移植ではなくても、人は変わっていくというところを演じていきたいです。人は現状維持でいるのは安心するのかもしれないけれど、変わりたいという願望はきっとあるはずで…、ちょっとした勇気ときっかけがあれば変わっていける、と最近考えることがよくあります。そういったことを演技を通して伝えていければと思います。
橋本淳:加藤さん演じる取り立て屋会田の部下、木塚を演じます。会田が武闘派なら、木塚は慎重派で頭が切れる、作品の中では含みが多い役というのが自分のイメージです。今日から稽古が始まるので、稽古をしていく中で、G2さんの演出とのすり合わせをしっかりしていきたいです。初めての方が多いので、まっさらな中で稽古に励んでいければと思っています。
大野拓朗:取り立て屋の一員の葛西という役を演じます。今回が舞台初挑戦なのですが、腹式呼吸や発声など一から勉強しています。(取り立て屋という役を)バリバリ不良な感じで演じるのか、自分らしくヘタレでちょっと馬鹿なキャラクターとして演じるのか、G2さんに教えていただきながら、作っていきたいと思います。自分の役の幅がどう広がっていくのか、演技力がどれだけあがっていくのか、すごく楽しみです。すこしでも舞台上で目を引く存在になれるよう頑張ります。
柳澤貴彦:同じく取り立て屋会田の部下の大森役を演じます。大森は取り立て屋ですが、いわゆる取り立て屋とはギャップのある役柄です。そういったところがうまく見えるような役を演じていきたいです。舞台の上で生きているキャラクターをG2さん、演者の皆さんと作っていきたいと思います。
吉川友:私が演じるカレンという役は、売れないアイドルです。私も普段はアイドルをやっていますが、カレンのように売れていない感じで、そこは共通する部分じゃないかなと思います(笑)。今の私が舞台でそのまま出せれば良いのかなと思っています。久々の舞台なので、共演者の皆さんに負けないように必至に食らいついていきたいと思います。
G2(演出):最初この話をもらった時、臓器移植によって人が変わるなんて、そんな馬鹿なこと起こるはずないじゃないと小馬鹿にしていたんですが、そこから色んな本を読んでいくと、とても馬鹿に出来る話では無く、深い問題が潜んでいることに気が付いていきました。僕はエンターテイメント作品が作りたいので、皆さんに楽しんで観て頂けるよう、前半はコメディーに、パターンとして最初は笑って最後は泣かせるというのもあると思うのですが、でも今回の作品は、中盤以降で笑っていたのが突然ドキっとし始める。臓器移植とか、人間の死の瞬間はいつなのかということについて観に来た方がそれぞれ感じて、考えて頂ければ良いなと思っています。
『レシピエント』
公演日程:2012年2月29日(水)~3月11日(日) 会場:紀伊國屋ホール
演出:G2 脚本:桝野幸宏
出演:佐藤江梨子 加藤和樹 橋本淳 大野拓朗 柳澤貴彦 吉川友/三上市朗
主催:テレビ朝日/DHE 制作協力:ジーツープロデュース 制作:DHE@stage
【公式ブログ】http://recipient.exblog.jp/
【ストーリー】金と力しか信じない極悪非道の「取り立て屋」会田(加藤和樹)は、追い込んだ男がビルから落ちたため現場から逃走。その途中、事故に遭い生死を彷徨う。
臓器移植手術で一命を取り留めたが、手術以降、なにやら様子がおかしい。
食べ物の好みや趣味が変わるだけでなく、性格も丸くなり、以前のような取り立てをすることが出来なくなってしまったのだ。次第に変貌して行く自分に不安を覚えた会田は、臓器を提供したドナーについて調べ始める。会田のドナー、それはあの日にビルから落ちて死んだ男だった。
相反する二人が、同じ臓器で繋がった時、命を巡る運命の輪が回り始める。
そして、ドナーの姉・信枝(佐藤江梨子)との出会い。
盲目の信枝は両親を早くに亡くし、弟と二人で生きてきた。信枝の存在は、会田の人生を大きく変えていくことになる。
ドナーがレシピエントに移植したものとは一体……。
衝撃の事実、驚愕のラストが心臓に突き刺さる。この真実の痛みを忘れるな。