生きづらさを抱えた女性たちのストーリー 『人形たち~DearDolls』×『BirdWoman』 公開記念舞台挨拶



4人の女性監督によるオムニバス映画『人形たち~DearDolls』と 『BirdWoman』の公開記念舞台挨拶が4月8日、池袋シネマロサで行われた。

登壇者は大原とき緒監督、西川文恵監督、海上ミサコ監督、吉村元希監督。
司会は前東京国際映画祭ディレクターの矢田部吉彦氏が務めた。

4作品の短編映画で構成されている本作を制作した動機を、プロデューサーを務めた大原監督は「生きづらさを抱えている、社会的な困難を抱えている女性をテーマにこれまで映画を作ってきました。今回、文化庁ARTS for the future! 2で補助金をいただけそうなので、女性の監督だけでオムニバス映画を作ったらいいなと思って、こちらの監督たちに声をかけました」と語る。

各作品の共通テーマである『人形』が決まった経緯は、「4人で話し合いをして人形をテーマに決めました。人形は自分自身を映すものでもあるし、愛でられるけど飽きられたら捨てられてしまう。そんな存在に自分たちを重ねてみようとテーマにしました」とのこと。

ホームレスの男女のラブストーリーを描いた自身の監督・主演作『Doll Woman』については、「最初は私が書いたのですが没にして、『BirdWoman』でも脚本を頼んだオランダ人のGertjan Zuilhofにお願いしました。コロナになってから、駅で若い女性のホームレスが増えたのを見て、私にとって彼女たちは他人ではないという話を彼としていたので、あのような内容を書いてくれたのでは」と振り返った。

人形×縄文という発想が斬新な『JOMON わたしのヴィーナス』を手掛けた西川監督は「自分が好きな縄文時代や原始時代の女性像を作品に取り入れたいと思いました」とコメント。
感情に訴えかける音楽とダンスシーン、意外性のあるナレーションなどを、矢田部氏は絶賛した。

『怒れる人形』は、姉にしつこく迫るセクハラ上司に怒った妹が、カウボーイになりきって退治を試みるコミカルな復讐劇。海上監督は「昨年の春、大原監督からオファーを受けて、少女ではなく男子の人形を探していたときにカウボーイがヒットしました。被害者であるお姉ちゃんを主人公にしないで、その周りで大暴れする妹に視点を置いて撮ったらどうかなと思いました」と完成の背景を述べた。

フランス映画のテイスト溢れる『オンナのカタチ ヒトの形をして生まれながらも存在消されしモノの情景』はセンスある映像と言葉で魅せるメッセージ性が高い作品。
「ゴダール風の作品を作ろうと、去年7月頃の段階からありました。作中のセリフではアニエス・ヴァルダとか言ってるんですけど」と吉村監督。「セルフドキュメンタリーの部分は最初なくて、後からつけ加えました」と制作秘話を披露した。

取材・撮影 シン上田

『人形たち~DearDolls』× 『BirdWoman』
配給:movies label will
池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開中。
シアターセブン(大阪)にて4月15日(土)~4月21日(金)公開

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