竹野内豊、コミカルにやったつもりはない『カツベン!』公開記念舞台挨拶



活動弁士を夢見る青年の姿を描いた『カツベン!』の公開記念舞台挨拶が行われ、成田凌、黒島結菜、永瀬正敏、高良健吾、竹中直人、井上真央、竹野内豊、周防正行監督が登壇した。(2019年12月14日 丸の内TOEI)

映画にまだ音がなかった約100年前、映像に合わせたしゃべりをする「活動弁士(カツベン)」が活躍していた。青年・俊太郎(成田凌)は小さな映画館で働きながら活動弁士を夢見ており、酔っ払いの活動弁士や自信家の活動弁士など、曲者揃いの群像劇を描きながら、映画のはじまりをコミカルに映し出したエンターテインメント作品。

活動弁士を演じるために半年間の特訓の様子などを収めた約2分半の特別映像が流れた後、スポットライトを浴びた成田が登場。

厳寒(げんかん)の時節、森羅万象(しんらばんしょう)、白い吐息を漏らす折から、賑々(にぎにぎ)しき御来館を賜りまして、関係者・出演者一同になり代わり、主演・成田凌、厚く厚く御礼申し上げます。
この映画は、映画を愛する皆の力で艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越え、なれど苦労は詳しく言わぬが花の吉野山。多くのみなさまにご覧いただけますよう、日々宣伝活動にいそしんでまいりました。

思えば、ともに走り続けてきた、この616日。私自身、片時たりとも『カツベン!』を忘れたことはございません。昨日、初日を迎えましたこの作品は、もはや皆々様のものでございます。これからも映画『カツベン!』をご高覧の程、宜しくお願い申し上げます。

活動弁士として劇中さながらの力強い口上を見事に披露し、拍手喝采。続けてキャスト陣と監督を呼び込んだ。「こんなに緊張する舞台挨拶ははじめて」と成田はホッとした表情を見せ、「昨日まで鼻水ズルズルで。咳も止まらなかったんです。朝起きたらピタッと治っていて。これが『カツベン!』の力かと。主演の力かと」とニヤリ。

成田の口上を舞台袖で見守っていた永瀬は「すごいよ、すごい!全国で毎回上映の前に今の映像を流したらいいと思います!」と絶賛し、高良も「成田君の口上、素晴らしかったです!初日に合わせて、僕も(口上が)あるだろうなと思ってきたんですけど、きっとこれからも無いと思います(笑)」と笑いを誘った。

井上は「全国の劇場で、色んな世代の方の笑い声が響くと思うととても嬉しく思います」とコメントし、竹野内も「映画の原点が知ることができる作品ですので、多くの方にご覧いただきたい」と呼びかけた。

本作が映画初主演となる成田は、初日に友達と劇場で観たと話し「すごくウケていました!『カツベン!』の中に出てくるような賑やかさみたいなものを感じて。大声で笑うおじさんがいて、どんどん伝染していくんです!嬉しかったです!」と興奮しながら語った。

170本以上のプロモーション活動をこなしてきた成田だが「楽しかったですよ。背負ってやっていると思える場所というか。街で「『カツベン!』観るね!」ってすごく言ってもらって。でも、僕なんかより監督の方がやっているので」と周防監督に話を振り、「『カツベン!』について語らせたら、右に出るものはないってくらい、磨き上げられています!」と語る周防監督は、キャンペーンで全国を回り、約400媒体の取材を受けてきたという。

先輩活動弁士・山岡役の永瀬は、成田を「太陽みたいな存在でいてくれた」と話し、成田はずっと憧れを抱いていた永瀬との共演について「嬉しかったですよ。ただただ質問攻めしていました。出演されている作品のことや、プライベートを色々知りたくて。なので、くっついて歩いていました。ファンです!」と嬉しそうに明かした。

活弁のトレーニングについて高良は「一生に一度、出会えるか出会えないかの役。「大変だったですか?」と聞かれますが、全然大変じゃない。ずっと楽しかったです。映画に対する思いが増した作品」と振り返った。

商売敵の社長令嬢・琴江を演じた井上は「周防組を楽しませてもらえました。監督からモガのファッションを思い切り楽しんでと言われましたし、登場するたびに色んな衣装を着させていただいて。わりと庶民の役が多かったので、新鮮でしたし勉強になりました」と撮影時のエピソードを述べた。

熱血刑事・木村役の竹野内は、とてもコミカルなキャラクターだが「コミカルにやってるつもりはなかったんです」と話すと、会場からはドッと笑いが起きた。さらには「念願の周防監督作品に出れるので、すごく力んでいったんですが、竹中さんや渡辺さんがのびのびされていて。自分もラクに遊び心を持ってやりました。竹中さんが周防監督にセリフ確認をしても、本番になると全然違うことを言うんです。真面目な顔をしているのが大変でした」と、竹中のアドリブに振り回されたことを吐露。

「来年、叶えたい夢は?」との質問に対し、成田は高良と九州に行く約束を叶えたいと話し、「(九州で)活弁やろう!」と高良も乗り気。さらには永瀬も「僕も九州なんで。活動弁士もやったので。高良君の出身の熊本から(永瀬の出身)宮崎へと旅を」とキャンペーンとしてさりげなく東映にアピールする一幕も。

一昨年に富士山に登ったという黒島は「登山をしたい。日帰りで行ける山」と話し、井上は「オリンピックを生で観たいですね。スポーツ観戦が何でも好きですが、チケットが一枚も当たってないので」と一大イベントを心待ちにしているようす。

最後に成田が「口上をやらせていただけて、こんな機会がないので嬉しかったです。100年前に娯楽の王様と言われていた活動弁士について、初めて触れた方も多いかと思います。その責任をもって、私たちはやったと思っています。楽しかったと言ってもらえれば幸せです。歓喜雀躍(かんきじゃくやく)、身の幸せでございます。誠にありがとうございました!」と再び声を張り上げて挨拶し、締めくくった。

取材・撮影 南野こずえ

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