異例づくめの映画祭 【第3回 MKE映画祭】潜入レポート


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異例づくめの映画祭 ――【第3回 MKE映画祭】潜入レポート――

2015年6月20日(土)、岐阜県図書館(岐阜市 宇佐)で【第3回 MKE映画祭】が開催され、多くの映画ファンを集めた。
全国から100を越える作品の中から選ばれた短編映画が三部構成で一挙上映され、観客の投票でグランプリが決定された。上映されたのは、以下の14作品。関係者が来場した作品は、その発言も紹介する。

『誰かの、ノスタルジア』(2015年/9分)
鯨岡弘識監督「女性の過去や不図した思い出と言った、哀愁じみたものを撮りたいと思って作りました」

『名無しの幽子』(2014年/17分)
齊藤雄基監督「“生と死の狭間”がテーマにありました。お祭って、そうじゃないですか、レクイエムのような」

『自分と天道虫と首吊りの部屋』(2014年/15分/監督:中村光男)

『ウェアラブル・アンドロイド』(2014年/5分)
西田啓太監督「【鉄ドン】と言うバカ映画オムニバスの企画がありまして、それに参加させてもらって撮ったバカな作品です。今回はシングル用で長く編集しました」
アリスセイラー(出演)「“ヨシコちゃん”になりきるのは、本当に難しかったです」
柴原虎之助(出演)「私の役は、よく考えると一番普通の人間です。監督の演出通りにやっただけで、普段の私はごく大人しいですし」
山川 仁(出演)「次回作があったなら、次こそは“速度を3倍”にしたいと思います(笑)」

『恋する河童』(2014年/20分)
井上博貴監督「東京都豊島区の大塚ショートフィルムフェスティバルの企画に中高生のワークショップも絡めて、成果作品を映画祭で発表しようと言うことで撮ったのが『恋する河童』です」
水之直哉「僕は、主人公の女の子の憧れの先輩役をやりました」
井上監督「ワークショップで足りなかったキャスト役をお願いしたプロの方で、もう結構出てる役者さんです」
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『うどん屋の子』(2015年/12分/監督:小田 学)

『植木屋と車椅子』(2001年/20分/監督:今野雅夫)

『熱』(2015年/14分/監督:崔 正憲(チェ・ジョンホン)※ロケ地:ソウル※)

『HATTORI!!!!』(2014年/20分)
木場明義監督「“ああ言う人たち”って普段はどうしてるのかな?とか、家族ヒーロー物みたいなのを撮ってみたいとか、色々なアイデアが忍者映画祭(伊賀の國 忍者映画祭2014)が切っ掛けで形になった作品です」

『夏~解釈その1~』(2014年/6分)
しまだかをり監督「この作品を上映する機会を頂けて、嬉しいです。ありがとうございます」
根矢涼香(主演)「“凄い緩いジェットコースターのような映画”と言うコメントを前にもらったんですが、正にその通りだと思います」

『幻獣ハンター神楽岡ヒミ子vs地獄の青竜軍団』(2015年/5分)
佃 光監督「この作品は生命の賛歌をテーマにしてるのと(笑)、怪物を産み出してしまったのは我々人類の方ではないか?と言うテーマが……今、思いついたんですが(笑)」
河合桃子(美術)「真夏の撮影だったんですが、突然豪雨になったりして結構大変でした」

『最強戦隊ジェットマン』(2011年/18分)
浦田知明監督「この作品、撮り始めの頃は一週間程度で終わらせるはずだったんですが、なんやかんやで30年掛かってしまいました。製作が長くなった中で一番ぶったまげたのが、戦隊シリーズに『ジェットマン』が出来たことでした(笑)。タイトルを変えることも考えたんですが、始めたのはこちらが先なので」

『天網』(2014年/15分※地元作品※)
大野 健監督「“天網”とは、世界に架かる網……ネット社会のことを表しています。“蜘蛛の糸”のように、私たちを縛って放さないのではないか、と」

『MIME』(2015年/5分)
野口高遠監督「オーストラリアに留学していた時期がありまして、この作品はシドニーで撮りました」

作品の上映が終わると、間を置かず観客席から選ばれた代表2名の立会の下、観客からの投票用紙が集計されていく。作業の間を縫うように、各賞が発表された。【MKE映画祭】の特徴の一つがこの部門賞で、映画祭の趣旨に賛同したプレゼンターが自由に賞を設定できるのだ。【MKE映画祭】は作品と賞の両方を一般公募している、世にも珍しい映画祭なのである。
実際、賞の幾つかはプレゼンターがノミネート作品の監督で、各々思い思いの作品に賞を贈っていた。作品のノミネートと賞のプレゼントを同時に出来る映画祭は、世界にも類がないのではなかろうか。

【D/I(ディープ・インパクト)賞】『植木屋と車椅子』
【俺の女優賞】『恋する河童』瀧澤真結
【プルチーノ賞】『HATTORI!!!!』
【オリジナル脚本賞】『夏~解釈その1~』
【ブレイクスルー賞】『名無しの幽子』
【隆盛(りゅうせい)賞】『幻獣ハンター神楽岡ヒミ子vs地獄の青竜軍団』

各賞を獲得した作品の監督に惜しみない拍手が送られる中、いよいよ集計作業が完了した。
栄えある【第3回 MKE映画祭グランプリ】を見事獲得したのは、大野 健監督の『天網』であった。
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大野監督「思ってもみなかったんで、凄く驚いてます。ありがとうございました!」

抽選会で大いに盛り上がった観客は、作品関係者・映画祭スタッフと共に全員が壇上に立った。メインMCを務めた岡村洋一氏の発声に応え、【第3回 MKE映画祭】のメインコピーが舞台から会場の大ホール全体に響き渡ると、異例尽くめの映画祭は全員が笑顔のまま幕を閉じた。

「みつけて くれたって……」
「「「……E’じゃない!!」」」

取材 高橋アツシ

【MKE映画祭】公式サイト

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