宮沢りえ、海外進出に意欲!『紙の月』記者会見
『第27回東京国際映画祭』コンペティション部門にて、日本作品から唯一のノミネートとなった『紙の月』の記者会見が行われ、宮沢りえ、池松壮亮、吉田大八監督が登壇した。本作は、角田光代の同名小説の映画化であり、宮沢にとっては7年ぶりの映画出演作。(2014年10月25日 六本木ヒルズ)
Q.コンペティション部門の日本代表作品ですが、受賞への自信は?
吉田監督:競争ですからね、その言葉の意味は理解しているので負けたくはない。
宮沢:妥協なくこれ以上の事は出来ないと思って挑んできました。その積み重なりで出来上がった映画なので自信があるといえばありますし、胸を張って皆さんにお届けできます。
池松:コンペを目指して作った訳ではないですけど、選ばれたからには自信を持っていい結果を待ちたいです。
Q.海外から出演オファーがあったら受けますか?海外での活動に興味は?
宮沢:素敵な監督、素敵な脚本があればどこへでも飛んでいきたいです。
Q.「ためていた物をすべて注ぎ込んだ」とのことですが、それは何だったのですか?
宮沢:30歳の時、演劇を作る場に携わった時にあまりに自分の無力さに驚いて、このままじゃいけないと思って。出来るだけ舞台に心も時間も費やし、「40歳でちゃんと舞台の上に立っていられる役者になりたい」という目標を立てました。たくさんの発見があって、学んだことがあって豊かになった事がいっぱいあったんです。40歳になってみて、バランスよく映像と舞台をやって行こうと思った時にこの作品(のオファー)が来て。私はタイミングって大事だと思っているので、やろうと思った時に来たというタイミングがすごかった。「7年間ためておいたというか、自分が得たものを映像の世界に放出しよう」と思ったんです。
吉田監督:世界的な舞台の演出家とお仕事をされていて、一方では映画から距離をとっていたので、映画の人間としては悔しいというか。オファーした時に、彼女が引き受けてくれたのは自信になりました。タイミングが良かっただけってのは後で知ったんですけど(笑)
宮沢:グッドタイミングだけではなくて、監督にもちろん興味があったんです(笑)
池松:この仕事をやっていると、いろんな女優さんに出会いますけど、これだけ1つの作品に身も心も投げられる人をはじめて見ました。
平凡な生活をしていた銀行員の梅澤梨花(宮沢りえ)。夫との暮らしに不自由はないが、どこか空虚を感じていた。外回り中に買い物で手持ちのお金が足りないことに気付き、顧客のお金を少しだけ借りてしまう。ある日、大学生の光大(池松壮亮)との出逢いによって、普通だった生活も金銭感覚も梨花も、徐々に狂いはじめる―――。
『桐島、部活やめるってよ』以来、吉田監督の待望作品となる本作は、地味で真面目な女性を演じている宮沢が横領に手を染めるに従い、どんどん美しくなっていく姿には圧巻。監督が宮沢を選んだ理由がスクリーンからにじみ出ているのは言うまでもない。さらには、計算高い若手を演じる大島優子、監視カメラのようなベテランの小林聡美という両極端な存在が作品を引き立てている。狂気には必ず覚醒が訪れるが、彼女が本当に手に入れたかったのものとは―――。
観終わったあと、「お金ってコワイ!」と痛感せずにはいられない。
取材・スチール撮影:南野こずえ
『紙の月』
キャスト:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司、小林さとみ、監督:吉田大八
2014年11月15日より公開
『第27回東京国際映画祭』会期:2014年10月23日~10月31日
http://2014.tiff-jp.net/ja/