日本アニメ界の“巨神”庵野秀明を丸裸にする特集上映を実施『第27回東京国際映画祭』
日本が世界に誇れる映画祭としてその地位を確立してきた東京国際映画祭も今年で27回目を迎える。あらたな気持ちで迎える本年度はロゴを一新し、毎年会場となる六本木ヒルズのほかTOHOシネマズ日本橋や歌舞伎座に会場を設けるなど様々な部分でチェンジが生まれていく映画祭になっていく模様だ。
海外や国内から集まった映画作品を上映するのはもちろんのこと、独立行政法人国際交流基金との共催により2020年までの7年間に渡りアジアを映画で結ぶ取り組みを実施し、アジア圏での“映画熱”を世界に伝えていく。
また、世界でも熱い視線を集めている日本のアニメーション作品にスポットライトを当て発信していく取り組みとして、日本が誇る映像作家・庵野秀明氏の過去作約50作品を集めた大型特集上映「庵野秀明の世界」を実施することを発表した。
『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』などの自身が監督した作品はもちろんのこと、『風の谷のナウシカ』『超時空要塞マクロス』『火垂るの墓』など庵野氏が担当したパートだけを抜粋したマニアックな上映も用意されている。さらに学生時代などに撮影したアニメーションや本人が出演する実写作品など庵野秀明を丸裸にできてしまうのではないかと思えるような貴重な特集上映となる。
記者発表に登壇した庵野氏は「監督という仕事はいい思い出は残らないので、過去作品を観られるのはなんだか恥ずかしい」と照れながらコメント。“今後も日本がアニメで先進的な立場にいるにはどうしたらいいか?”という記者の質問に対しては「経済的な援助です。アニメーションは儲からないので、儲かるシステムがもう少し進んでくれれば、今までの培ってきたものの衰退はない」と力強く語った。
特集上映「庵野秀明の世界」の発案者でもある鈴木敏夫氏(スタジオジブリ)も登場し「宮崎駿の次に今後10年、彼に言わせれば20年かも知れませんが庵野秀明が日本アニメーションを牽引していくのだとおもいますよ」とコメント。
「庵野にはモノを作る才能がある。宮崎駿にもそれがあったと思います。これからもその才能を使って作品を作り続けて欲しい」という鈴木氏のエールに「がんばっていきます。働きます。」とはにかみながら答えていた。
第27回東京国際映画祭は六本木ヒルズ・TOHOシネマズ日本橋ほかで10月23日(木)~10月31日(金)まで開催される。
取材:有城裕一郎