~人の心を描きたい~ 『まほろ駅前多田便利軒』大森 立嗣監督インタビュー。



~人の心を描きたい~ 『まほろ駅前多田便利軒』大森 立嗣監督インタビュー。
2011年4月23日より公開の『まほろ駅前多田便利軒』。キャスティング秘話や作品に込められたテーマ、映画監督としての真っ直ぐな姿勢までたくさん語っていただきました。

質問 多田役の瑛太さん、行天役の松田龍平さん、ともにハマリ役なのですが、お二人を起用した理由は?
二人とも昔からよく知っていて、いつか一緒に仕事をしたいという気持ちがすごくあったんです。
今回は30過ぎのバツイチの役という設定なので、20代後半の彼らが今まであまりやってきていない役だと思うので、チャレンジして欲しいというか、逆にやりたいと思いましたね。

質問 行天のつかみどころのないキャラクターが微笑ましかったのですが、役作りの指示は?
役作りの指示はあまりしないですね。ある程度の設定は本に書いてありますが、基本的には(松田)龍平が作ってきましたね。

質問 『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』、今作の『まほろ駅前多田便利軒』でも伝わってきたのですが、心の葛藤や人間の描き方へのこだわりはありますか?
人間の心を描きたいという気持ちはすごくあるんですよ。心なんて描けないんだけど、その人はどういう人間なんだろうという視点でカメラを置いたりはしていますね。あと、説明的なカットをなるべく撮りたくないんです。情報としてわかるためのカットを必要以上に回していると、「なんでこのカットは長いんだろう?」とお客さんは考えるんですよ。そういう間がすごく好きなんです。その人の心の奥を撮ってやろうという気持ちで撮ってはいますね。

質問 多田、行天ともに、気ままそうに見えるけれど生きにくさを背負っているギャップが印象的でした。ご自身を例えるなら、どちらのタイプですか
多田ですね。行天にはなれないね(笑)
多田は不器用だし、俺もどっちかっていうと不器用なんで、多田の方が近いなぁ。

質問 自称コロンビア人役の鈴木杏さんにはビックリしましたが、キャスティングで苦労したことは?
(鈴木)杏ちゃんはすごく芝居ができる子だから、何をやらせてもできるだろうなという安心感はありました。一番悩んだのは、(高良)健吾が演じた、星という役なんです。若くて街を仕切っていて、映画の中では説明があまりされていない。なおかつ登場回数も少ないから、ファーストカットで星ってどういうやつなのかという存在をわからせる若い俳優って結構難しいなって思っていました。
でも、健吾ならできるかなと思って。その辺は悩みましたね。

質問 ロケで町田市を使用されたとのことですが、架空の街である『まほろ市』作り出すことについて、どのような工夫をされましたか?
『まほろ』という街を積極的に見せるのではなく、さりげなく見せていこうよという話はスタッフにしました。わざとらしくならないような空気を出そうよと。あとは登場人物ですね、キャラクターがしっかりしているので街に馴染んでくれています。

質問 『海炭市叙景』など、様々な作品で役者をされていますが、監督に挑戦したキッカケは?
もともとは8ミリ映画を作っていて、それから俳優をやったんですよ。でも、そのうちにスタッフとか観ているとやっぱり映画を作りたいなと。ちゃんとモノを作る現場に関わりたいなと思いました。

質問 役者をされているからこその、監督としてのアドバイスはされますか?
役者は緊張するからね。(笑) 緊張しない俳優も嫌いだし、緊張しすぎる俳優もダメだと思う。だから、その辺の上手いバランスや空気を自然に作るようにしてますね。

質問 今回の作品のテーマは?
愛情を相手にどうやって与えるのか、与えられるのか。自分が愛情をどう受け止められるのか。今の時代には難しく、やりにくくなったことを『まほろ』という架空の街で、彼らの中での自然体で上手くやっていくという感じです。映画の中では、お弁当屋さんに離婚の話をしたり、便利屋として依頼された仕事以上のことをするといったようなことが出てきますが、人を信頼する、お互いを認めるというような、人として大切なことを描きたかったんです。
質問 これから作品を観る方々へ、メッセージをお願いします。
少しだけハッピーになれる映画なんです。大事なことが、ちょっとわかるかも!?(笑)
そんな映画なので、ぜひ観にきてください。

取材・スチール撮影 南野こずえ

『まほろ駅前多田便利軒』 完成披露試写会のレポートは⇒ こちら

 

【ストーリー】
『誰かに必要とされることは、誰かの希望になるってことでしょ。』
東京郊外の地方都市“まほろ市”で便利屋を営むバツイチ男・多田(瑛太)と、正月にバッタリ出逢った多田のもとに転がり込んできた高校の同級生・行天(松田龍平)。
二人はいつの間にか奇妙な共同生活を続けていき、便利屋には癖の多い依頼人達ばかりで、次々と事件に巻き込まれていく。徐々に明らかになっていく過去。二人の生活はいつまで続くのだろうか……。

作品情報『まほろ駅前多田便利軒』
公開情報2011年4月23日(土) 新宿ピカデリー、有楽町スバル座、渋谷ユーロスペース 他 全国ロードショー
監督大森立嗣
キャスト瑛太 松田龍平
主題歌くるり 『キャメル』
配給アスミック・エース
公式HPhttp://mahoro.asmik-ace.co.jp/
©2011「まほろ駅前多田便利軒」製作委員会

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