諏訪珠理、僕は僕であなたはあなたって思えたら素敵『雨ニモマケズ』インタビュー
1年前に亡くなったゴスペル音楽家を偲んだメモリアルパーティの舞台裏で、22人の人生の交錯を描いた90分のノンストップ音楽エンターテインメント映画『雨ニモマケズ』。安野澄、上村侑らとともにトリプル主演を務めた諏訪珠理にお話をうかがった。
――今回、オファーを受けた際の印象は?
演じたタツヤという役が持っているモノは、あまり⾃分で触れたことがない個性だったので、どうしようかなと。役柄をちょっと掴みきれなかった感じでした。どういう性格であれ、どういう特性であれ、演じる上でその⼈⾃⾝を特別視することはないのですが、タツヤと僕⾃⾝の距離感がわからなくて。みんなとどういう⾵に⼀緒に作っていけるかな︖っていう不安もあり、楽しみでもありました。
――タツヤを演じてみていかがでしたか?
周りのみんなが優しいなと思いました(笑)タツヤという役がみんなからの愛をすごく受けている役ということを試写会で観た時も思いましたし、撮影の時にも感じていました。
それが映像として映し出されていることは嬉しかったですね。キャストもスタッフも、タツヤに対して温かい距離だったので、居⼼地の良い空間で演じることができました。周囲の⽅々によってタツヤという役は作られたんだと思います。
――⼈を警戒している印象のタツヤですが、ご⾃⾝は⼈と関わる上で⼤事にしていることはありますか︖
無理をしないことです。マイペース的な感じですね。無理をしないっていうのは「いい⼈だね」って⾔われることが嬉しい反⾯、ちょっと苦⼿なところもあって。いい⼈かどうかって、組み合わせの問題じゃないかなって思うんですね。誰に対してもいい⼈でいなければと思って、苦しくなっちゃったこともあったけれど、それは僕の中に答えがなくて、ぐるぐる回っちゃうんですよ。何が正解かわからなくて。だから、無理をしない。⾃分の範囲を超えないようにしたら、相⼿も無理なくいられるんじゃないかなって。きっとどこかで、⾃分のものさしで⼈を測っていたりもしたけれど、僕は僕であなたはあなたって思えたら素敵だなって。
――もしタツヤが近くにいたら、友達になれそうですか︖
僕は⼈⾒知りだから友達にはなれないんじゃないですか(笑)話しかけてもらえれば仲良くなれるけど、⾃分から声をかけるのは結構勇気がいるタイプなんですよ。だから、⼆⼈っきりで部屋にいたら、お互いに本を読んでいたりとかしてほっとくんじゃないかなと。タツヤも声をかけてほしいタイプじゃないので、無理に距離を詰めることはしないでしょうね。
――物語の中⼼にいる安野さんが演じた南はどんな印象ですか︖
⾃然と⼈に意識を向けられる⼈という印象はありましたね。タツヤは南さんのことを結構前から知っているので、周りにいて当たり前の⼈っていう感覚なんだろうなと。僕は、優しさと⼈の領域を侵害することは近いと思っているのですが、タツヤはそれを感じやすいタイプだと思うんです。でも南さんはタツヤのパーソナルエリアにいて当たり前の温かい存在だし、⼆⼈の関係は尊重し合っているなと。僕はそれを南さんに感じていましたね。
――演じた役とは対照的なタイプである上村さんが演じたミナトはどんな印象ですか?
撮影の合間に、ひとりで待機していた部屋で劇中にタツヤが読んでいる本を静かに読んでいたんですよ。その部屋の前を上村くんが通った時、僕に気づいて何のためらいもなく「あ!諏訪くん!」ってサラッと入ってきたんです。それがなんだか面白くて。僕と喋りたいと思ってくれたんだ、じゃあ喋ろうか。みたいな感じになって。この人は素敵な人だなと。そのイメージはミナトにもある感じがしていて。そんな優しさは上村くんらしさであり、ミナトへの印象にも影響していると思います。
――撮影中で楽しかったこと、印象に残っているエピソードはありますか?
安野さんと⼀緒にいることが多かったですね。僕のラストシーンの撮影の時、みんなが先に帰って⼀⼈で残ることになったんですけど、安野さんが振り返って僕に向けてグッジョブサインをしてくれたんです。まるでバトンを渡してくれたみたいで、とても⼼強かったし嬉しかったですね。
――今回の中で演じてみたいと思ったキャラクターはいますか?
もう1度演じるのならタツヤがいいですけど、僕とは本当に違うなと思ったのはミナトで。踊っている時のイキイキしたあの輝きは僕には出せないから、キラキラして見えました。
――作品の見どころやイチオシポイントを教えてください。
たくさんの登場⼈物にスポットライトが当たるので、誰かへの共感やどの歌が好きだったとか、まるでアルバムを聴く感覚で何かに出会っていただけるのではないかと思います。
――最後にメッセージをお願いいたします。
個人的にも思い入れのある作品ですが、何よりもゴスペルや歌のパワーをとても感じる作品だと思うので、楽しく観ていただけたら一番嬉しいです。
取材・撮影 南野こずえ
『雨ニモマケズ』
出演:安野澄 / 諏訪珠理 / 上村侑 木村知貴 / 山中アラタ / 中野マサアキ / 和田光沙/ 福谷孝宏 / 深来マサル / 山崎廣明 / 宇乃うめの / 三森麻美 / 片瀬直 / 富岡英里子 / 笠松七海 / 生沼勇 / 神林斗聖 / 南條みずほ / 小寺結花 / 尾込泰徠(子役)
梅垣義明/ 東ちづる(特別出演) 監督:飯塚冬酒
製作・配給:ガチンコ・フィルム
(C)GACHINKO Film
公式サイト http://g-film.net/ame/
2025年2月8日より新宿K’s cinemaほか全国順次公開